津福エレジー | エキセントリックギャラクシーハードボイルドロマンス         

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〜文学、お笑い、オートバイを愛する気高く孤独な三十路独身男の魂の軌跡〜 by久留米の爪切り



「ラーメン」は400円と非常に廉価な一品であるものの、玉子にチャーシュー、海苔、メンマ、葱とフルラインナップのトッピングで、スープ表面を覆い尽くす豪勢な見た目だった。卓上の紅ショウガは、気持ちよく全開に真っ赤に染まっている。これを加えれば完成だ。スープは油膜が張り、飲むと口周りがべろべろになるが、其の実、あっさり軽やかな味わいである。勿論、豚骨の旨味と甘味も含まれている。中太麺が丁度良い塩梅にスープを吸って柔らかめに茹で上がっている。これがいい。カタメン信仰は邪教である。丸好 と同じ臭いを嗅ぎ取った。これぞまさに食堂系ラーメンの真骨頂だ。



「まつばラーメン」は久留米市津福今町457-7に、目立たず静かに控え目に佇んでいる。うっかりすると見過ごしてしまいそうな外観だ。正面には四階建ての市営津福団地が棟ごとに番号をふられ、のっそりと聳え立っている。色褪せ古びた外壁、空き地に伸びた草、まばらに停められた車を眺めると、団地に住んだ経験は無いが、郷愁に似た淡い感情を抱いてしまう。


正方形みたいに四角い店内は狭く、豚骨の香りがぷおんと漂っていた。床タイルがいい具合に黒ずんでいる。四人掛けのテーブル席が二つ、畳の小上がり席が一つ、それに厨房に面してカウンター席が伸びていた。毛羽立ち薄汚れた畳が長い歴史(多分)を物語っていた。窓際に観葉植物の鉢が並べられ、水槽に小さな魚が泳いでいる。白いテーブルは家庭的な温かみがあり、食卓感が溢れていた。灰皿が完備され漫画もなかなか種類が揃っている。全体に昭和な古っぽさがあるけど、不潔感は無い。きちんと清掃してあるのが分かる。ここは団地住民の憩いの場なのだろう。昼時に乳飲み子を連れた粗野な家族がラーメンを啜る光景が目に浮かぶ。


以前、この店の前の通りには、地場スーパーとして筑後地区に13店舗展開し栄華を誇った「タイホー」があった。小学生の時は親に連れられ、しょっちゅう訪れていた。その二階の小さな本屋(コーナー?)でブラックジャックを立ち読みしていたことを何故か鮮明に覚えている。



まつばラーメンラーメン / 津福駅
夜総合点★★★★ 4.0