夕方、その店は強い西陽に容赦なく晒されていた。
陸上競技場正面に位置する、久留米市合川町2257-1、ニュー瑞山ビル1F「たんたんたまご
」さんである。
ある有力な情報筋から仕入れた資料によると、そこは何と、久留米ラーメンランキング堂々の第7位に輝いているのだという。
白黒の市松模様が描かれた床がポップな雰囲気を醸し出している。直角的な背凭れの付いた回転椅子がカウンターに並んでいる。赤と黒、交互に革張りのシートである。見た目に楽しい内装だ。壁に矢鱈と歌手「植田真梨恵
」のチラシの類いが貼られている。店主の令嬢らしい。久留米に於けるキャサリンズバー
的なノリであろうか。
「和風担々麺」600円を注文した。
提供までの時間に、無料コーナーの、ニラもやし、大根キムチを頂く。どちらも大変うまい。
和風担々麺のスープ表面に浮いている、黒い墨汁の染み、みたいなものは、店主の説明によれば、黒胡麻であるらしい。たしかに胡麻の風味が鼻に抜ける。いい香りだ。ざらっとした口当たりを一瞬感じるが、思い過ごしのようで、飲むとあっさり、さらっとしたスープだった。麺は細いストレートだ。ちょい辛、を誂えたものの、辛さは殆ど無い。
普通にあっさりおいしい担々麺である。万人受けするだろう。ちょっと量が少なかったかな。店主は物腰が柔らかく、とても丁寧な接客スタイルで好印象だった。