僕はアラスカに行った。パスポートなんて持っていなかった。そんなもの、必要では無かった。
久留米市東町25-23、一番街アーケードの側道に「とんかつ・洋食 アラスカ」さんはある。
真鍮のドアハンドルを右手で握り、扉を押し開けると入店を知らせる、りゃーん、という高音が鳴り響いた。壁側に背凭れと座面ともに緑色のソファー席が一列、その正面にテーブルと椅子が並べられている。対面式の二人掛けテーブル席は、お一人様でも気兼ねせずに座ることが出来る。勿論、ソファー側にゆったり凭れかかって寛ぐ。
焼けたチーズの匂いが漂う。グラタンの香りと非常に良く似ている。ごはんの上にカツとハヤシソースとチーズが載った丼である。スプーンを入れると、ダラリとチーズが伸びて、スライスされた玉ねぎのシャキシャキ感と絡まる。丼の縁辺りの白米はハヤシソースにたっぷりと浸かり、ビチャビチャでリゾット風、淡い赤色に染まり、トマトの風味が強い。カツはなんとも薄く、衣の姿が消えている。初めから無かったのかも知れない。上等な油を用いた痕跡の見えない、極めて庶民的な白いカツは、大きな食堂なんかで出てきそうな、親しみやすく、食べ慣れた味がした。丼は大きいが底は浅いため、量は丁度良い。
天井の丸いスピーカーからラジオの野球中継が流されている。広島巨人戦だ。マエケンが投げているらしい。
大して興味のないセ・リーグの試合の模様をなんとなく聴きながら、新聞を広げると、元校長買春、の記事。14歳から70歳までの女性、と書かれていた箇所に目が釘付けになり、堪らず飲んでいた水を噴き出してしまう。
彼は、些かストライクゾーンが広過ぎる。
アラスカレストラン (レストラン(その他) / 西鉄久留米駅、花畑駅、櫛原駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.6



