時は命 | エキセントリックギャラクシーハードボイルドロマンス         

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〜文学、お笑い、オートバイを愛する気高く孤独な三十路独身男の魂の軌跡〜 by久留米の爪切り

人間には三つの欲がある。食欲、性欲、そして睡眠欲(海水浴、と主張する識者もいるがここでは割愛させて頂く)だ。



その時、僕が最も満たしたかったのは、食欲だった。タッチパネル式の券売機に千円札を投入し、伝統の久留米とんこつしぼり、あっさり600円の釦を押した。



そこは、JR久留米駅構内、通称「ぐるめ食堂」入ってすぐ左手、久留米市城南町2-34フレスタくるめ2F「満一 GOLDLABEL JR久留米駅店」さんだった。


20時過ぎの店内に客は一人もいなかった。広々とした空間を独り占め、誰にも気兼ねせず、遠慮なく寛げそうだ。よく磨かれたステンレスシンクみたいなカウンターテーブルが銀色に輝いている。シャツの袖を捲くり上げ肘から先をぺとっと密着させると、ひんやり心地よい。黒っぽい床、スケルトン仕様の背凭れが付いた椅子、壁に大きな筆書き、赤いスポットライト、見渡すとラーメン屋らしからぬシックでお洒落な内装である。席に腰を下ろす前に、ちらりと嘘みたいな光景を目にした気がしたが、きっと僕の見間違い、嘘だとやり過ごして時を待った。


何も起こらない。


取り敢えず水が欲しい。僕は立ち上がり、厨房に目を遣る。嘘じゃなかった。さっき見た光景と全く同じで何も変化していない。上下黒い服装の店員氏は、厨房の作業台に突っ伏して眼を瞑り口を開けている。睡眠欲をほしいままに全開だ。経営理念 を曲解して、大いに実践しているのか。或る意味では熱心な社員かも知れないが、本当に夢を見たら駄目だろう。そういうことは書いてない筈だ。意味が違っている。そのまま僕が帰らなかったのは、この店が前払い制、だったからに他ならない。五回目のすいませんで目を開けた店員氏は、食券を掴むと特に悪びれもせず、火のスイッチを入れて調理を開始した。



すり鉢状の器が大きい。ラーメンの量が少なく見える。葱とチャーシュー、シンプルなラーメンだ。麺は細く一口目は粉っぽかった。あっさり、を選択したが塩気はそこそこ強い。普通に豚骨、臭みが無くて食べやすい。悪くない味だけど、これといって特筆すべきものが思い浮かばずインパクトに欠ける。全体に一風堂的なスタイリッシュなラーメンを指向されているみたいだ。器のゴールドが格好いい。金粉も入れてみたらいいかもしれない。




満一 ゴールドレーベル フレスタ久留米店ラーメン / 久留米駅
夜総合点★★★☆☆ 3.4