弾丸MIDNIGHT | エキセントリックギャラクシーハードボイルドロマンス         

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〜文学、お笑い、オートバイを愛する気高く孤独な三十路独身男の魂の軌跡〜 by久留米の爪切り

唐突に閃光が走る。スピードガンは、ぶっ壊れた。

弾丸ライナーが俺を襲った。大きく見開いた双眸は確かに、白い放物線の残像を捉えた。黒い盆に着弾したそいつは、小さく柔らかな、白い点だった。

一粒の米、だ。

その白米の原産地が何処なのか、国産であろうと、オーストラリア産であろうと、それはどっちだって構わない。俺には見分ける力は無いし、はっきり言ってどうだっていい。この時、問題だったのは、ただ一つだけだ。ふつふつ沸き上がる“怒り”の感情をどう処理するか、という一点だ。俺は殆ど反射的に胸中に去来した激情を極めて直線的に吐露して憚らなかった。目の前の、牛めしを奢って呉れた先輩に対して。

「きったねえ!何してんすか!」

「いや、違うって。こん肉の滑るけん、仕方なかって」

丁度十年、俺より年嵩な先輩はよく意味が通らない言い訳をかました。単純に変な箸の握り方をしているからだ。だから先輩は米を飛ばしたのだ。それも、かなり勢い良く。
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深夜、俺たちは久留米市通町1-16「松屋 久留米通町店」にいたんだ。何組かの、どれも余り金を持っていなさそうな若者たちが、この世に楽しい事なんて一つもない、という顔付きで、半ば義務的に飯を食っていて、爪楊枝がごく自然に床に転がっていた。深夜特有のヌメッとした虚脱感が身体に纏わりつき、店ごと気怠く退嬰的な空気に包まれているみたいだった。俺の顔は脂ぎっていた。
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「旨辛ネギたま牛めし並」390円に「生野菜セット」150円を食べた。生野菜セットには半熟卵を選択した。牛めしにも半熟卵が付いている。つまり俺はその夜、ダブルエッグ、二羽の鳥の命を奪ったんだ。ポン酢、バーベキューソース、カルビソース、一味、紅ショウガ、卓上に備え付けられた薬味、調味料はなんでも牛めしにぶち込んでやる。筋っぽい牛肉は、アメリカ・カナダ産で、玉ねぎは中国・国産らしかった。その二択がどちらなのかは俺には全然分からない。凡ゆるソース、薬味が半熟卵と相俟って米はびちゃびちゃだ。殆ど、肉入り粥と化した。濃い味だ。

チェーン店の味、たまには悪くない。
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