俺が「中国家庭料理 丁丁」に飯を食いに行った時は、グレイの雲が低く垂れ込めて、降っているのか降っていないのか判然としない細かな雨粒が、気まぐれに空から落ちていた。昼過ぎからパッとしない天気が続いていて、濡れたアスファルト道路が黒く染まっていた。
夕方の六時頃、久留米市東町25-47に徒歩で辿り着いた俺は、黒色の折り畳み傘を閉じると、肩掛けデニムバッグから「巡礼冊子 」を取り出し、赤色に縁どられた自動扉正面に立ち、右手で長方形の押しボタンをプッシュした。自動扉は当たり前のようにスムーズに左に作動し、俺は難なく店内に入ることが叶った。清潔な白い壁紙が目に映り、解放感が広がり、おいしい夕食にありつける予感がひしひしと神経組織に伝わってゆくのを感じた。天候とは無関係だった。
大連出身らしい店主が独特のイントネーションで言った。厨房へ店主は引っ込み、俺は窓際の対面式二人掛けテーブル席に一人で座った。向かいの椅子にデニムバッグを置き、ロバート・B・パーカーの文庫本を手に取った。白いテーブルには彩り鮮やかな、十字に編み込まれたランチョンマットが敷いてある。窓とテーブルの隙間に淡いグリーン色をした青島ビールの空き瓶がずらりと並べてあり壮観だった。その上には、大きなパネルが数枚飾られ、中国東北部・大連の街が生き生きと躍動している様子が切り取られている。
「これ、本当に熱いよー」
底抜けに明るい口調で店主が注意喚起してくれる。果たしてそれは、本当に熱かった。湯麺には水餃子が3個入っている。水餃子は、モチモチとした食感が特徴で、肉と大根の旨味が詰まったジューシーな具は、味付けをしっかりしているので、そのままでも美味!と「巡礼冊子 」に掲載されていたが、実際食べてみると、たしかにその通り、間違いなかった。厚みがある餡に味が良く染みていて、一口目から旨味を感じる。噛むと熱々でじゅわっとたっぷり詰まった肉が現れる。これは傑作だ。スープは何と表現すればよいだろう。滋味深くあっさり、万人受けしそうな優しい味だった。ザーサイのコリコリした食感でご飯が進んだ。
中華料理は辛い、という固定観念を覆す、健康に良さそうな優しくほっこりする料理だった。
http://tabelog.com/rvwr/002224433/

俺は「夜のセットB 800円」を注文した。目に付いた中で一番安いものを選んだのだ。

特製湯麺、ご飯、ザーサイ(小鉢)という内容だ。ザーサイも湯麺も茶色っぽくて、色味に乏しい。
底抜けに明るい口調で店主が注意喚起してくれる。果たしてそれは、本当に熱かった。湯麺には水餃子が3個入っている。水餃子は、モチモチとした食感が特徴で、肉と大根の旨味が詰まったジューシーな具は、味付けをしっかりしているので、そのままでも美味!と「巡礼冊子 」に掲載されていたが、実際食べてみると、たしかにその通り、間違いなかった。厚みがある餡に味が良く染みていて、一口目から旨味を感じる。噛むと熱々でじゅわっとたっぷり詰まった肉が現れる。これは傑作だ。スープは何と表現すればよいだろう。滋味深くあっさり、万人受けしそうな優しい味だった。ザーサイのコリコリした食感でご飯が進んだ。
中華料理は辛い、という固定観念を覆す、健康に良さそうな優しくほっこりする料理だった。
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