細面で色白、シャープな目元はキツネ顔と呼ぶのだろうか、鼻の横の黒子が目印みたいでチャーミング、一番上の釦だけがとめられた黒いカーディガン、それに取り付けられた小さな石の飾りが、照明の当たる方向でチラチラと光を放った。
俯いて、自己紹介カードにペンを走らせている背中がピンと伸びていて、知的で怜悧な印象を受ける。
正面に腰を下ろすと、清純な空気の層が箸山には見えた。マイナスイオンに満ちている。挨拶を交わしカードを交換する。透き通り軽い、心地よい高音だった。
カードに目を落とす。
「鶴ヶ崎絵美梨 27歳 webデザイナー」
箸山は何から話そうか逡巡した。(続く)