最近、クマの痛ましいニュースが相次ぎ、地域の皆さんの不安や恐怖は計り知れません。
それでも、恐怖の壁だけで隔てられてしまうのは本当に悲しいこと。
もっと良い共存の道がきっとあるはずだと信じています。
もしかしたら、私たちの愛するワンコたちが
そのヒントを教えてくれているのではと願っています。

むかしむかし、山のふもとの小さな村に、木こりのおじいさんが住んでいました。
ある雪の日、木こりは倒れた木の下で小さな熊の赤ん坊を見つけました。ちょうど生まれたばかりの子犬三匹もいたので、四匹を一緒に育てました。
子犬たちはクロ、シロ、チャー。子熊はクマと名付けられ、四匹は兄弟のようにじゃれ合い、寄り添って育ちました。
やがてクマは大きくなり、木こりは言いました。
「お前は山の熊だ。帰る時が来たよ」
クマは悲しそうに頷き、満月の夜、山へ帰っていきました。
月日は流れ、三匹の犬は村を守る立派な番犬「ドッグディフェンダー」になりました。
ある秋の夕暮れ、山から大きな熊が下りてきました。村人たちが怯える中、クロ、シロ、チャーが飛び出します。
牙をむきかけた瞬間――三匹は立ち止まりました。
「……クマ?」
熊はゆっくりと座り、昔と同じ優しい目で三匹を見つめました。
再会の喜びは束の間でした。
「お前は帰れ。ここはお前の場所じゃない」クロが静かに言いました。
クマは小さく頷き、鼻を三匹にそっと寄せてから、背を向けました。
山へ帰る大きな背中を、三匹はただ見送りました。
それきり、クマは二度と村へは来ませんでした。
でも、満月の夜、山の奥から聞こえる低い声は、きっとクマの「元気か?」という問いかけだと、三匹は知っていました。
「元気だよ、クマ」
風に乗せて、いつも答えを返していたそうです。