「無責任な飼い主をなくせば、殺処分はゼロになる?…」


動物愛護の現場でよく耳にする言葉であり、多くの人が疑いなく納得するスローガンです。しかし、本当に「愛情を持って大切に飼っている人」なら、殺処分の可能性はゼロと言い切れるのでしょうか?

結論から言えば、どれほど愛していても、リスクは残ります。

数値で見る「万が一」ではなく「百が一」の現実
「まさか自分が」「万が一のことがあれば」——人はそう考えがちです。ですが、確率で考えるとどうでしょうか。

成人が定年を迎えるまでに亡くなる確率は約5%と言われています。これを40年間で割ると、1年間で約0.125%。犬や猫の平均寿命である10〜15年のスパンで考えると、約1.25%になります。

つまり、飼い主がペットより先に旅立ってしまう確率は、言葉通りの「万が一」ではなく、実に「百に一以上(百が一)」の現実的な確率なのです。

保健所に持ち込まれる理由の「裏側」
実際に保健所に収容され、悲しくも殺処分となってしまう犬猫たちの背景を見てみてください。保健所は基本的に、勝手な都合による「無責任な引き取り依頼」を安易には受け入れません。

行政のデータや現場の実情を紐解くと、収容理由の6割以上が「飼い主の死去・入院・施設入所」などの健康上の理由です。

これは決して、ペットを捨てたかったわけではありません。愛していたにもかかわらず、飼い主の本意ではない形で離れ離れになってしまった結果なのです。リスクアセスメント(リスク管理)の観点から見ても、「無責任さ」ではなく「想定外の悲劇」が殺処分を生んでいることが推測できます。

「他人事」から「自分事」へ

「自分は最後まで可愛がるから関係ない」と無関心でいることこそが、実は最大の盲点です。

愛犬・愛猫を守るということは、日々の世話やフード選びだけではありません。「自分に何かあったとき、この子をどう守るか」まで準備して初めて、本当の愛護と言えるのではないでしょうか。

殺処分を無くすために訴えかけるべき相手は、一部の悪質な「無責任な飼い主」だけではありません。「自分には関係ない」と思っている、全ての愛犬家・愛猫家(=無関心な飼い主)なのです。

愛するペットの未来と、殺処分のない社会を実現するために。

何より、大切なことだからこそ「他人事」をやめ、未来のリスクに備える「自分事」として考えたいですね。