おはようございます。
ヴォーカリスト兼ボイストレーナーのKです。
今回は誰しも陥りがちな発声に関するある
「罠」
についてのお話です。
歌にご興味ある方でしたら日常的に音楽に触れ
る機会は多いでしょう?
そこである事に障害を感じるはず。
そう、音域です。
プロの歌手達って、さも当たり前のように高音
域まで自然に歌っているように聞こえますよね
。
聞いてる分には楽そうに歌っているけど実際歌
ってみたら全然違った・・・
こんな経験をお持ちの方は多いのでは?
なぜこんなことが起きるのでしょう??
今回のテーマはここです。
ご興味ある方はお読みください。
では早速本題。
結論はタイトルに書いた通りですね。
mid2Fより上の音階で
の地声はありません‼︎
これです。
そもそもmid2Fとはどこの音域?
こう疑問を持たれる方もいますでしょう。
mid2Fは真ん中の「ファ」音です。
一般的な男性が地声で歌える最高音階がここ。
カラオケによく行かれる方が
「この曲はキーが高いんだよなあ。。。」
と思われる楽曲は必ずこのmid2Fよりも上の
音階が登場します。
特に昨今のJ-POPはこのmid2Fよりも上の音
階が登場する楽曲が多く存在しますね。
国内外のヘヴィメタルはもちろん、
髭男、まふまふ、ビジュアル系もほぼそう。
流行りの曲は自分の音域では歌えない。
自分には歌の才能がない。。
こう思われる方は決して歌の才能がないわけ
ではないのでご安心ください。
ここには「ある」秘密があるんです。
とはいえ。。。
いやいや、どう聞いても地声で歌っているよう
にしか聞こえませんよ。
こいつなに言ってるんだ。
こう思われる方もいますでしょう。
そんなあなたはプロ歌手の見事な技術に騙され
てます‼︎(笑)
ちなみに僕もそうでした。
ここでタイトル回収しちゃいましょう。
mid2Fよりも上の音階を自由自在に歌える人
は・・・
裏声を地声のように加工して聞かせる技術を
誰かに教わったか、もしくは独学で習得して
いるんです。
変な話、地声のみを10年鍛え続けても音域は
mid2Fから上に広がることはあり得ません。
これは100%、お約束します。
そもそもね。。
人間の声を発声器官ではなく楽器として捉え
るのであれば裏声の方がよほど可能性を感じ
させます。
裏声のメリット。
全体的にふわっとした音色で低音域に下がる
ほど急激に声量も減退するが地声のように音
域に制限がない。
地声と比べて極端に共鳴が明るく高音域では
ガラスを割ってしまう位に強烈な音波を発生
させられる。
散々使っても決して声が枯れることはない。
こんなとこでしょうかね。
僕の師匠も昔、こんなことを言及してました。
歌声に地声は要らない、裏声で全て歌い切れる
のであればそれが最高の状態。
当時は僕も
「この人何言ってるんだろう?頭おかしくなっ
ちゃったのかしら・・・」
こう思ったものですが今ならよーくわかります
(笑)
本当にスミマセン・・・
さて、ここまでは裏声の優位性について解説し
てきました。
そうは言っても、皆様にはまだ疑問が残ってま
せんか?
裏声が音域が広く歌に向いているのは理解でき
たがそもそも裏声で歌っても地声のようなパワ
ーは出せずふわふわした歌声になってしまう。
この脆弱な声が地声のように力強く鳴るように
なるとはとても思えない。
これ絶対に皆が思うはず。
これはある意味正解。
裏声はどこまで言っても所詮、裏声です。
仮に裏声のみを10年鍛え続けても音域が広が
るくらいでしょうね。
決して音質は変化しません。
なので裏声を加工して行く必要があります。
コツは二つです。
1、共鳴腔は口腔と鼻根に留意し
て決して眉間よりも上には持っ
ていかない
2、1が出来た上で声帯を閉鎖さ
せる。
理屈的に解説するとこうなります。
共鳴は声楽のように全身に拡散させず、口先に
集中させてその上で声帯の閉鎖筋群を使って声
門を極限まで閉鎖させることで裏声の音質は劇
的に変化します。
それこそ地声にしか聞こえてこないくらいにね
。
これが国内外問わずプロの歌手の高音域発声の
秘密です。
なんですが実際、歌っている最中に上記のよう
な事を意識しつつ歌うことなんて無理。
そもそも声帯の閉鎖筋群は脳みそから指令を出
して自発的に閉鎖させることはほぼ不可能。
もし自発的に声帯を閉鎖させようとしたのなら
ば喉自体を力ませてしまって共鳴が胸腔に下が
って来てしまい無理な発声を強いることになる
でしょう。
この状態はいわゆる一般の方が無理な高音域発
声をしに行ったような状態の声です。
喉の筋肉はすぐへたるし、ピッチもフラットし
てくるし声帯を痛めますし何より音が汚くなり
ます。
声帯の閉鎖筋群が自発的に動かせるのであれば
もっと楽に上手くなるかもしれませんねえ。。
だからボイトレは教えるのが難しい。
ではどうすれば良いのか???
ここであなたのナビ役になるのはご自身の耳の
みです。
裏声の母音の音色を積極的に鋭くなるように音
質を変えていってください。
この過程で声帯閉鎖筋群は強烈に鍛えられます
。
当然ですが、最初は上手くいきません。
声はひっくり返るし、息漏れのようなノイズっ
ぽいエラー音が出たりピッチも安定しません。
ですが実はそこが最もあなたの声で最も美味し
いポイント。
裏声でありつつも最も地声に近づいた声。
ちょうど、地声と裏声の真ん中に当たる部分。
野球に例えるならバットの真芯って感じ。
このエラー音がたくさん出るポイントに留まっ
てしばらくの間、辛抱強く練習して行きます。
声帯の閉鎖が強まると徐々にこのエラー音は減
ってきますからね。
で、ある程度この訓練が進むと気づくんです。
「あれ、これ地声と変わらなくね?」
って事にね。
そしてこの声はむしろ今まで使ってきた地声
より非常に使い勝手が良い声です。
裏声の明瞭な響きを持ちつつも地声のような
パワフルさも併せ持ち声区を気にせず無理な
くmid2Fを跨いだ音階も楽に歌えます。
そして何より裏声の最大の弱点でもある中低
音域での急速な声量の減退も起こりません。
このポイントさえ掴めてしまえばあとはあな
たの好みに合った音質の声を作っていけば良
いのです。
アンザッツの使い方次第で色んな歌声が作れ
ますからね。
それこそ、リトル・リチャードのようなロッ
クな歌声も作れますしディオのような強烈な
シャウト唱法も可能です。
こんな感じで今回は裏声をより地声のように
聞かせられる方法論について解説して行きま
した。
これっていわゆる近代ボイトレのミックスボ
イスのメソッドとは少し違うかなと思います。
ミックスボイスメソッドの原点に当たるベル
カント唱法に基づいてますね。
では今回は以上です。
お読みいただきありがとうございました。