4月18日 なくならない児童虐待、若者を抹殺する日本/「体罰一律禁止」の法制化に反対 ② | 高澤 一成 「真の哲学者とは」

高澤 一成 「真の哲学者とは」

■哲学・社会学・社会思想に基づく「社会衰退の克服論」
■成人道徳教育(啓蒙)の必要性と、道徳と自由の両立


 なくならない児童虐待、若者を抹殺する日本/「体罰一律禁止」の法制化に反対②

 

 「日本人を救うためにメディア権力と戦う」

                        哲学者 高澤 一成



 ■道徳を破壊するメディア権力

 

 

    

 

 ※こちらの図に関する叙述は、後日投稿予定の「なくならない児童虐待と若者を抹殺する日本/「体罰一律禁止」の法制化に反対①」をご覧下さい。

 

 

 

 


■パワハラ防止義務化、法制化へ

 「道徳の必要性」を認めない、思考停止した日本の無知すぎる政治家とメディア権力

(2019年3月9日 朝日新聞)


 なぜ道徳が必要なのか、まだまだ道徳に否定的な人が大多数である多くの日本人に対してわかりやすく説明したいが、まず第一に、戦後70年もの間、メディア権力が道徳を排斥したことによって、個人の道徳観で任されていた領域にたとえば、パワハラ防止法案など、結果的に新たな法規制ができる流れになってしまい、メディアが道徳を否定することによって法権力が強化され、自由のない社会に向かってしまっているためである。
 日本社会全体の道徳観の崩壊により、電通、ワタミなどのブラック企業、あるいは農業機械メーカー「スガノ農機」の前社長に代表される道徳のない社長など、著しく傲慢、横暴で、自己本位的な経営者や上司が社会問題となり、また、「道徳の必要性」を知らない政治家が、自分たちが当選するためだけに、このような社会問題に便乗して、安直な法規制に走って、パワハラ防止策を企業に義務付ける法案を閣議決定し(3月8日)、結果的にメディアが道徳を排することによって、会社の裁量や自由の領域を法権力で制限する動きに大きく舵(かじ)を切り始めている。

 

 「社会性」としての道徳とは、相対悪の自由を制限するものであると同時に、無味乾燥した、無機的な法権力から国民の自由を守るためのものでもある

 ところが日本では国体的な修身であるとか、徳川幕府という時の権力に迎合(げいごう)して、国民に身分制度を強いた林羅山のような、主観的な儒教道徳が定着しており、また、日本ではそうした先入観だけが強く、主観道徳に対する戦後の反動は自然であるが、同時に哲学や社会学で「社会性」として論じられるような、理性的で普遍的な道徳までもが失われることは社会そのものの危機とみなしていいのである。

 

 「何を以てパワハラというのか?」はパワハラを受けた社員の主観によるところが大きく、無論、電通、ワタミ、スガノ農機のように、証拠が残っていて、多くの社員が明確な被害を被っているのではない、自殺者を出したり、集団訴訟されないような、新聞沙汰に発展しないケースが大半なのである。

 事実、「人材育成や指導が阻害される」という懸念が企業で広がっており、上司のパーソナリティや気質に対する、社会経験が少なくて社会性の乏しい若手社員や女性社員による過敏な反応、あるいは社会全体の道徳崩壊によって、モンスターチルドレンのような若い人も出てきており、ありもしないパワハラによって、上司や企業そのものが陥れられるような、法の知識を悪用したケースも想定される。

 

 道徳を排した人権主義を突き詰めて行けば、間違いなくヘーゲル哲学よろしく、双方が権利を主張する、「不毛な人権闘争の訴訟社会」になっていくのである。それは日本独自の「和を以て貴しとなす」の精神性(=自己正当化を批判するキリスト、ヘーゲル)や日本企業独自の集団主義を破壊するだけではなく、会社内に分裂と対立とを生み出す「だけ」である。

 

 「日本の組織は共有の道徳に支えられている (P.86-P.88)」

 「22 組織は道徳に支えられる (P.485-P.502)」  (西部 邁著「国民の道徳」産経新聞社)

 

 結果として、リベラルや内心の自由を第一義としているはずのメディアが、自らの無知、無思想、無哲学、つまり哲学や社会学で論じられる普遍的な道徳という概念を、国民を支配するために利用された儒教道徳と混同してしまって、「社会性としての道徳」の必要性を知らないことによって、やみくもに70年もの間、道徳を否定、あるいはテレビなどのメディア空間から抹殺、排除することで、児童虐待、いじめ自殺、あおり運転、パワハラ、特殊詐欺という今日の社会衰退を助長し、さらには日本企業の自由と裁量とを制限する法権力の拡大と、人権闘争と訴訟社会による日本の社会秩序の破壊に加担しているのである。

 

 

 

 

 

■児童虐待対策には道徳が必要であることの証明 ―メディア権力から子どもたちを守る!―

 

 私は以前、「摘発されない児童虐待は全体の9割以上あり、これら9割以上の児童虐待は理論的に、親の道徳でしか止められない」と述べたが、厳密に言うなら、子どもに対する傷害で逮捕された親も、いずれ親子関係を修復するためには改心しなければならず、すなわち道徳が必要であって、つまり「摘発されたケースに対しても道徳が必要」なのである。

 

 それでは以下の3つの重大事件における道徳の必要性について理論的に証明したい。

 

①相模原の障害者施設殺傷事件では、容疑者の措置入院の解除が問題とされた。

②目黒区の児童虐待では、引っ越した親に対する児相の引き継ぎに問題があったとされた。

③野田市の児童虐待では、教委が父親にアンケートを渡したことが問題視された。

 

 だがすべては道徳を否定したいか無視したい人権主義者か、哲学を知らない行政の詭弁(きべん)か妄言である。

 まず (1) 「措置入院を早く解除された人すべてが同様の事件を起こすわけではなく」、むしろ (2) 「予定よりも早く解除されたほとんどすべての人がそのような事件、ましてや重大犯罪すら起こさない」のであって、因果関係が全く成立しないことが容易に証明される。

 

 すると「植松被告本人だけ」に対する措置入院の因果関係を言う人がいる。

 しかし植松被告はすでに逮捕されて社会にはいないので、それはすでに当たらない。

 つまり道徳の必要性を否定したいために、この事件「だけ」の付帯的な一つの要因「だけ」を取り上げて、これから起きるであろう、本件とは全く関係のない他の凶悪犯罪のケースに当てはめて、普遍的な対策として取り入れようとしているのであるから、日本の行政や学者は理論的に物を考えることができない「思考停止」の状態なのである。

 また、すべての人間は予言者ではないので、もし我々人間に、「事件前に植松被告だけの措置入院を延長させておいて殺傷事件を防ぐ」ことができるのであれば、この地上のすべての犯罪がなくなるのであって、荒唐無稽(こうとう むけい)で無意味な議論なのである。

 そしてJ.S.ミルの言うように、取り返しのつかない犯罪をなかったことにすることができないから、未熟な社会の構成員に対する道徳教育が必要なのである。

 

 この事件を受けて、ある評論家はラジオで「より多くの監視カメラの設置の必要性」を主張したが、事件が起きた施設にはすでに20数台の監視カメラが設置されていた(渡邊哲也氏。この発言以外は高く評価している。)

 これから未来永劫、犯罪史上に残るような凶悪殺傷事件はおろか不法侵入すらほとんど起きないであろう日本全国津々浦々にある障害者施設にそれ以上の監視カメラを置いて、24時間監視する体制をとれというなら、それは税金ではなく、この評論家自らのお金で設置すべきであろう。

 

 「措置入院」の話に戻るが、むしろ植松被告とは全く違う境遇にある、道徳のない人が同様の凶悪事件を起こす可能性がある。

 では、どのようにすれば障害者施設殺傷事件のような凶悪犯罪を未然に防げるかと言えば、植松被告のような、道徳を教えられていない若者に対して、理性的な道徳<社会性>の必要性をメディアで伝える以外なく、それは国民を支配するために身分制度を強いたような、日本特有の国体的な儒教道徳ではなく、たとえば最も重要な哲学であるヘーゲルで言うような、「相対悪」の自由に対する「制限」である。

 

 しかし、道徳に否定的な政治家、行政、学界、メディアにはそのような「1+1=2」の理性が通用しない

 

 むしろ私が仮に事件前の容疑者に対して、社会学の権威であるデュルケムの言う「道徳による理論的な説得」をしようとすると、道徳に否定的な全共闘世代が支配的である無知、無思想な学界やメディアは「道徳は内心だー」と騒いで、私の行動を非難、妨害するだろう―。

 しかし、私が日本の若者に説得としようとすることは社会性であると先に述べた。

 

 だが道徳が内心であるのは、もっぱら「相対善」(どちらかといえば良いこと。ex. 「二宮金次郎みたいになれ」とか)の領域であって、「相対悪をしない」道徳とは、哲学、社会学における「社会性」であり、つまり内心ではなく、たとえば、憲法に書かれている「公共の福祉に反しない」というような社会的なこと、社会性である。

 

 このようにして、同様に②、③においても、教委が父親にアンケートを渡したことについて法律家である郷原信郎氏が何と言おうが、問題とされたことと事件との因果関係は「全く」成立しない。

 

 まず第一に、栗原勇一郎容疑者が教委からアンケートを受け取ってから、心愛ちゃんを殺害するまで1年以上が経過しており、「そのアンケートが殺害の大きな動機である」とするには相当無理がある。

 また、たとえば私が「子どもの内心が知りたい」という、我が子を溺愛する過保護の親であり、教委に無理難題を言うモンスターペアレントだとして、それが達成できたからと言って、必ず私は自分の子どもを殺すだろうか? 

 ましてこれから親にアンケートを渡すことを未然に防げたとしても、児童虐待とは関係ないケースもあるだろう。

 無論、そのことが事件に多かれ少なかれ影響する可能性はあるが、それは哲学で言う「偶然性」、つまり「どうでもいいこと」であって、ましてや事件を起こした動機の一つにすらなりえず、あくまで第一の原因である児童虐待の「必然性」は「親に道徳がないこと」である。

 

 逆に言えば、アンケートを渡さなかったら栗原勇一郎容疑者は突如改心して、子どもを虐待することを思いとどまるだろうか? 

 事実、それ以前にすでに母親にもDVをし、心愛ちゃんがアンケートに書いたように、当然虐待もしており、郷原氏が言うように「アンケートを渡さないこと」でDVや児童虐待をやめることはなかったし、道徳によって理性的に説得されない限りは止めることはできないのである。

 

 但し私は、「教委に責任がない」と言っているのではなく、教委も適切な対応をしていれば、心愛ちゃんが大人に失望して、声を上げられなくなったことはなかったかもしれないので、適切な対応はすべきだったのである。

 しかしそれでも、心愛ちゃんを救えた可能性は極めて低く、100%確実に心愛ちゃんを救う術は、唯一「密室の犯罪者」である父親を道徳的に改心させることだけなのである。

 虐待される前に父親を殺すべきという意見もあるが、心愛ちゃんにとっては他人ではなく実の父親であり、やはり父親を改心させることしか真の解決はないのである。

 

 そして私が言いたいのは、これらの事件を①~③のどうでもいい偶然性「だけ」で済ませてしまうのは、朝日新聞、フジテレビ、NHKを始めとする、こうした事件を飯の種にしている、道徳に否定的で無知・無思想なメディアの「思うツボ」であり、日本全国の子どもたちを危険にさらすことに他ならないのである。

 

 「自由論」で有名な社会思想家のJ.S.ミルですら「取り返しのつかない犯罪をしてから道徳を教育するのでは遅すぎる」と言っており、児童虐待の第一の原因とは、「親が成人するまでに道徳を教育されていないこと」であり、つまり道徳を排斥してきた戦後メディアの責任なのである。

 

 「道徳を教育すること」と言っても、難しく考える必要は全くなく、ヘーゲル哲学的に言えば、「道徳の必要性を知ること」だけで事足りる話である。

 逆にそれ以外の哲学的な道徳の定義については、ここでは一切書かない方がいいので省略する。

 ただ一つだけ言えるのは、道徳とは多くの日本人が考えているような作法や具体的で個別的な命令では断じてなく、またそうあってはならず、つまり、もしそうであれば否定されてしまうので、あくまで普遍的かつ抽象的な概念ということである(ほとんどの哲学者、社会学者、社会思想家が道徳について論じている以上は)。

 

 

 

 

■スクールロイヤー(学校内弁護士)では児童虐待の解決策にはならない

 

(2019年2月19日 朝日新聞)

 

(2019年2月19日 朝日新聞)

 

 「児相と弁護士 虐待対応で連携」(2019年2月19日朝日新聞)とあるが、これは哲学・道徳にうとい行政と、無知で道徳を全否定したい左派メディアの詭弁(きべん)である。

 事実、児童虐待の9割以上は摘発されず、理論的に言って、虐待の証拠を見つけるために、すべての家庭に監視カメラをつけて24時間365日監視するのでなければ、道徳以外どうすることもできない。

 

 また千葉県野田市の事件では、栗原勇一郎容疑者が児相と教委に対して恫喝したことだけをやり玉に上げているが、「弁護士で対応できるモンスターペアレント」と「児童虐待」とは全く別の問題であり、NHK、フジテレビ、朝日など、ほとんどのメディアは「論点のすり替え」をしている

 

 そしてスクールロイヤー(学校内弁護士)に関しても、そもそも、いじめの大部を占める「無視、悪口、仲間はずれ」は違法ではなく、よって、これもまた、モンスターペアレント対策「だけ」である。

 たとえばNHKの「ニュース7」では、社会を学ぶ場であるべき学校が、安直に弁護士を利用することで、いじめを受けている子どもの親と法的に対立する構図に持ち込んで、これを良しとしまっている。

 そして、この親がモンスター化してしまった原因である、大元のいじめ問題については、完全に背を向けて、いじめを受けた子どもの親から学校を守るためだけに、弁護士にすべてを丸投げしているだけであり、職務放棄しているに等しい。

 スクールロイヤー(学校内弁護士)は、いじめの大分を占める「無視、悪口、仲間はずれ」など、個人の好き嫌いや内心、自由の範ちゅうに入ってしまういじめについては理論的に言って無意味であり、「道徳の必要性」で対応せざるを得ないのである。

 また、朝日新聞で掲載された「全国各地の児相に弁護士の配置義務付け」という声も、コスト面や人材不足の現状では不可能であるし、そもそもが9割以上が摘発されない児童虐待と、モンスターペアレントとは全く別問題であるため、全く無意味である。

 

 そもそもいくら法で親を罰したところで、親が道徳的になって、改心しないかぎり「和解」はない。

 

 またこのようにメディアが「スクールロイヤーの必要性」だけを喧伝(けんでん)して、「児童虐待対策」という大義名分で、つまり児童虐待をする親に対する道徳の必要性ではなく、日本の子どもだけに不要な権利を付与する動き、たとえば八木秀次氏が警鐘を鳴らす「児童に関する権利条約」、「高松市や川崎市の子ども条例」、「生徒人権手帳」のセックスするかしないか自分で決める権利など、左派イデオロギーによる「子どもの人権運動」の犠牲として、各家庭で子が親に不要で倒錯した権利を主張して、川崎市では学校の教師が子どもの権利におびえ(週刊新潮)、しつけを阻害し、親と子が対立したままであり、日本社会の秩序を破壊するものである。

 

 発展途上国ではない今の日本社会に全く不要な、左派イデオロギーの、道徳を否定・破壊する人権主義、男女共同参画、ジェンダー、MeToo運動、LGBT、そして体罰の一律禁止法制化で、日本社会に分裂や対立を持ち込んで、主に国連に巣食う左翼と、日本の主権を無視して、国連の権威を盲目的に信仰、崇拝して放送するメディアの影響によって、社会秩序の破壊が行われているのは日本「だけ」なのである。


「新奇な犯罪の多くは人権主義の帰結 (P.400-401) 

 道徳を破壊する道徳、それが人権主義 (P.406-407)」 

 (西部 邁  著「国民の道徳」産経新聞社)

 

 そして体罰の一律禁止によって、法権力を拡大したとしても、親に道徳がなければ、他の子と差別をしたり、ネグレクトして食事を与えないなど、合法的に子どもの面倒を看ないことはいくらでもできるし、また、宮迫博之さんの母親の「この子嫌いや」ではないが、「どこまでが児童虐待で違法か」という線引きは、法律の専門家ではない全国の児相の現場ではできないのである。

 

 また逆に、体罰を一律で禁止してしまえば、非行に走った男子に対して愛のあるしつけができなくなって、親の言うことを聞かない反抗期の少年に対するしつけを阻害することにもなり、道徳に目を背け続ける限り、道徳を否定して法制化を進めたり、賛成する全ての日本の官僚、政治家、メディアは日本の社会衰退を進めるに等しいのである。

 

 児童虐待の問題は、「親か子どものどちらかに権利を付与すればいい」という単純な話ではなく、ましてや人権闘争の問題では全くなく、社会学の代表格であるデュルケムの言うような、社会全体の道徳が退廃して起きている問題なのであって、こうした「アノミー(混沌状態)」を克服するには、デュルケムの言うように、道徳しかないのである。


「あらゆる豊かさの増大から生じる道徳的な危険は、たとえそれを救うすべがあるとしても、見のがされてよいものではない。

…法律的条項をもうけることによっては、どのみち人びとの道徳的感受性をめざめさせることはできないだろう。
…もし道徳的環境が腐敗していれば、教師自身もそのなかに生きているのであるから、かれらにもそれが浸透しないわけにはいかない。
…社会じたいが改革されないかぎり、教育の改革も行われえないのである。」

(デュルケイム著 宮島 喬 訳 「自殺論」 中央公論新社)

 

 また、繰り返しになるが、私は左派にあっても「※自己正当化」しない、道徳的な宇都宮健児弁護士、湯浅誠氏、そしてアニメーターの宮崎駿さんを尊敬している。
※キリスト、ヘーゲルが批判する「自己正当化」とは、愛なく、道徳なく、社会的背景を顧みず、「立憲主義」や「ジェンダー」などの概念を利用して、「自分たちだけが正しい」として他者を攻撃し、大衆を味方につけようとして、支配しようとし、社会に分裂と対立を煽ることであり、基本的に道徳のない左翼が他者を攻撃する概念である。
 例を挙げれば、キリストが批判したユダヤ教の律法主義、ヘーゲルが批判したロベスピエール、最近ではイスラム教を利用するイスラム国が「自己正当化」の典型であり、日本では、財務省事務次官による、被害者のいない、言葉だけのセクハラに対する「MeToo運動」がその最たる例であろう。野党とテレビ朝日による「自己正当化」は本当にヒドかった。

 近年の安倍首相は「自己正当化」とまではいかないまでも、「自己弁護」かな。
 

 そして、残念ながら道徳的な保守論客というのはほとんど存在しない…。
 西部邁亡き後は、日下公人、曽野綾子、西尾幹二くらいか。鈴木邦男が保守というなら、鈴木邦男も。いずれも、かなりご高齢の方々である。
 道徳的ではない保守論客は足立康史議員を筆頭に五万といるけど…。

 

 

 

 


■2019年に発生した公人、公職者、大手企業の非道徳不祥事、児童虐待、いじめ自殺

(赤字は若者による重大犯罪、斜体は統計)


1月3日 警視庁原宿署交通課の36歳の警部補が拳銃自殺 
1月5日 茨城県係長が19年間、無免許運転をして起訴され休職
1月5日 東京都稲城市の69歳の市議が酒を飲んで軽トラックを運転して逮捕
1月6日 大阪府和泉市の57歳の医師が酒気帯び運転でひき逃げをして逮捕  
1月7日 大阪府松原市の聴覚支援学校校長が15歳の少女にわいせつな行為をして逮捕 
1月7日 横浜市鶴見区で歯科医師が治療中の女性にわいせつな行為をして逮捕
1月8日 群馬県前橋市で母親が中学生の娘の首を絞めて殺害しようとして逮捕
1月10日 純烈の友井雄亮が交際女性に暴力を振るい3000万円を使い込むなどのトラブル
1月10日 (NGT48山口真帆が新潟市内で2人組の男に押しかけられていたことが判明)
1月10日 東大医学部付属病院の医師(38)が山手線で女子高生の胸などを触り逮捕
1月10日 渋谷区の整体院院長が施術中に女性客の胸を触って逮捕
1月10日 福井県敦賀市の女性職員(23)が高齢女性から600万円をだまし取って逮捕
1月10日 3億円超を集めた可能性がある日大サークル「TL」の学生3人が恐喝で逮捕
1月11日 厚労省の勤労統計不正で、雇用・労災保険567.5億円が支払い不足
1月13日 名古屋刑務所の刑務官があおり運転をして男性にけがをさせ逮捕
1月15日 戸田市の30代の両親が11ヵ月の次女を浴槽に放置して死亡させ書類送検  
1月15日 横浜市西区の32歳の父親が3ヵ月の長男を激しく揺さぶり重傷を負わせ逮捕
1月15日 茨城県古河氏の35歳の母親が6歳の娘を布団たたきで殴打し逮捕 
1月15日 福岡市の「あかつき保育園」が保育士の園児に対する暴言と体罰で改善勧告
1月15日 尼崎市の30歳の両親が2~7歳の子ども3人に暴行して逮捕
1月15日 山口県山口市の24歳の母親が2ヵ月の長女に暴行して死なせ逮捕
1月16日 野村証券の元社員が顧客のキャッシュカードで現金を引き出して逮捕
1月17日 栃木県の中学校臨時教員が元教え子の少女にみだらな行為をして逮捕  
1月18日 都立町田総合高校の教員による暴力を撮影した動画がツイッター上で拡散
1月18日 バンダイの元社員二人が水増し請求で同社から2億円をだまし取って逮捕
1月19日 町田総合高の男性教諭が高1男子に体罰を加える動画がツイッターに投稿
1月19日 服役中の羽賀研二が詐欺被害者への賠償を免れるために資産を隠して逮捕
1月20日 私立金沢高の25歳の教諭が10代後半の少女にみだらな行為をして逮捕 
1月21日 去年11月仙台市泉区で母親と小2女児の心中した事件で、父親がいじめ相談に対応しなかった学校の調査を求める要望書を市教委に提出
1月21日 JA若狭は、男性係長が約10人の顧客の貯金を着服していたと発表
1月22日 アイドルグループ「さくらシンデレラ」の元メンバー有田ゆのが万引きで逮捕
1月24日 前橋市の25歳の職員が元交際相手の女性を切りつけて殺害し逮捕
1月24日 富山大生(22)が富山市の駐在所の警察官をハンマーで殴り殺人未遂で逮捕
1月25日 千葉県野田市で父親が娘の10歳女児を浴室で死亡させ逮捕 
1月25日 目黒区立中学の教諭(29)が電車内で女性のスカートを盗撮して懲戒免職
1月25日 杉並区立小学校の主事(65)が41万円相当の物品を横領して懲戒免職
1月25日 区立中学の主幹教諭(55)が通勤手当など49万円を不正受給して減給処分
1月25日 横須賀市の介護福祉士の男(31)が老人ホームの入居者の現金を引き出し逮捕
1月26日 群馬県伊勢崎市の25歳の母親が赤ちゃんの遺体を自宅に遺棄して逮捕 
1月29日 兵庫県明石市の泉市長が立ち退き交渉の担当者に暴言を吐いて謝罪
1月29日 元光GENJIの大沢樹生の22歳の長男が20代女性に暴行し、傷害で逮捕
1月30日 静岡県浜松市の38歳の母親が3歳の長男を殺害した疑いで逮捕
1月30日 鳥取県の陸上自衛官(23)が女子小中学生に裸の動画を送らせて逮捕
1月30日 千葉県の小6女児が教諭からのわいせつ行為でPTSDになったとして提訴
1月31日 山口県警下関署の女性巡査が風俗店で働き処分されていたことが判明
1月31日 元総合格闘家の児玉己吏人が面識のない男性に技をかけて現金を奪い逮捕
1月31日 大阪回生病院の若見朋晃医師が準強制わいせつで医師免許取り消し
2月1日  朝日新聞が連載記事に道新の出版物から多数の盗用があったとして謝罪
2月2日  俳優の新井浩文(朴慶培)がマッサージ店の女性に対する性的暴行で逮捕  
2月2日  伊達公子の元コーチで元テニス選手の男(53)が覚醒剤を使用して逮捕
2月5日  豊島区課長が交流サイトで知り合った女子中学生に性的暴行を加えて逮捕 
2月5日 岐阜県高山市の介護施設の元職員が入所者5人を死傷させた疑いで逮捕
2月5日 ANAの子会社、全日空商事の元部長が2900万円を着服して懲戒解雇
2月6日 山口県高2男子がいじめで自殺した問題で教職員によるいじめが認定
2月6日 東京ディズニーリゾートの社員の男(34)が結婚詐欺で逮捕
2月6日 福岡地裁で防衛大学校でのいじめが認定され元学生7人に賠償命令
2月6日 山口県検証委が2016年の高2男子自殺で、いじめがあったと認定
2月7日 大阪市東淀川区で2歳女児を死亡させ起訴された父親が性的暴行で再逮捕
2月7日 兵庫県加古川市の44歳の父親が10歳の三男の腹を複数回殴るなどして逮捕
2月8日 愛知県津島市で23歳の父親が2カ月の長男に硬膜下血腫を負わせて逮捕
2月8日 豊島区で24歳の母親が出産した直後に赤ちゃんを窒息死させ再逮捕
2月9日 佛教大学の教授が学生からの借金を返さず、威圧的なメールを送り解雇
2月10日 昭和大医学部生(20)がタイ人女性を金属製のレンチで殴って殺害し逮捕 
2月15日 兵庫県尼崎市で30歳の両親が子どもをハエたたきで叩くなど して逮捕
2月15日 茨城県古河市で35歳の母親が6歳の娘を布団たたきで殴打し逮捕
2月15日 横浜市西区で32歳の父親が生後3カ月の長男に重傷を負わせ逮捕
2月15日 埼玉県戸田市で30代の両親が11カ月の次女を浴槽に放置して死亡させ書類送検
2月15日 元千葉ロッテの大嶺翔太がスポーツライターに対する恐喝未遂で逮捕 
2月16日 福岡市が暴言や虐待があった認可保育園を運営する北斗会に改善勧告
2月16日 横浜市西区で32歳の父親が生後3か月の乳児に重傷を負わせ逮捕
2月16日 国交省職員が電車内で女子高校生のスカートの中を盗撮して逮捕
2月18日 新潟市私立高校の生徒への、複数の生徒による暴行動画がネットで拡散
2月19日 大阪府松原市で元プロボクサーの橋詰知明が元力士を殴り死亡させ逮捕 
2月19日 ジュニアサッカーチームの監督(43)が中2男子の頭蓋骨を骨折させ逮捕
2月20日 三重県伊勢市の48歳の医師が中2の息子の顔を十数回殴って逮捕  
2月21日 広島中央署の8500万円盗難事件で、死亡した警察官が関与した疑い
2月21日 自民党の田畑毅衆院議員による交際女性への暴行と盗撮が報じられる
2月21日 福岡県筑紫野市で母親と同居の男が8歳の長女を水風呂に入れ暴行し逮捕
2月21日 大手ゼネコン大林組の社員が就活の女子大生に対する強制わいせつで逮捕 
3月3日  茨城県ひたちなか市の43歳の養父が小3女児の顔を平手打ちして逮捕  
3月5日  南野陽子の夫(47)による2億円の横領と運転手への暴行が報じられる
3月5日  定食チェーンの大戸屋がアルバイト従業員による不適切動画の投稿で一斉休業
3月6日  横浜市鶴見区の母親(22)と同居の男が3歳女児に熱湯をかけて放置し逮捕
3月9日  前橋で自殺した高2女子がメモに「いじめに耐えられない」と残したことが判明

3月13日 愛知県豊田市で小6女児2人がマンションから飛び降り自殺し、いじめに関する遺書が見つかる

3月13日 ミュージシャンで俳優のピエール瀧が東京都またはその周辺でコカインを使用して逮捕

3月14日 東京都板橋区で、45歳の母親が6歳の長女を絞め殺して逮捕 

3月14日 2018年に全国の警察が摘発した児童虐待事件は1380件で、被害に遭った子どもは1394人であり、ともに過去最多。また、2018年に警察が児相に通告した子どもは過去最多の8万252人であり、2017年より22.7%増えた

3月19日 カンボジアのシエムレアプで、元自衛官の23歳の二人の男が強盗殺人で逮捕 

3月24日 讀賣新聞富山支局の男性記者が他社の女性記者にセクハラ行為をして懲戒処分 

3月25日 世田谷年金事務所所長がツイッターで差別的な書き込みをして更迭 

3月26日 熊本市の認可保育所「マリア幼愛園」の一部の保育士が、複数の園児に暴言や長時間の叱責などを繰り返していたことが判明

3月27日 神奈川県大和市消防本部の職員 (21)が万引き後に警備員にケガを負わせ逮捕

3月27日 2017年度の65歳以上の高齢者に対する虐待が1万7588件で過去最多に

3月27日 東京福祉大留学生700人所在不明で、文科省が調査の不備を認める

3月27日 最高検職員の30代の男が新宿駅で小2男児(7)を突き飛ばしてケガを負わせ送検

3月27日 都立高バレーボール部顧問の教諭が、生徒に別の生徒を叩かせて懲戒処分

 

 

 

 





■「少子化は経済問題だけが原因」とする三橋貴明、山本太郎両氏に対する反論

 私は反グローバリズム(=日本人の財産、社会システムの切り売り、日本解体)、反移民(=外国人の奴隷制、日本国民の賃金低下、治安の悪化、外国人街)、反緊縮・増税(財務省内の因習と出世競争による国民の貧困化)の三橋貴明氏と山本太郎議員を強く支持している。
 だが、彼らも「全知全能の神」ではなく、哲学者として、最近の言論に対しては、いくつか指摘しておかなければならない点がある―。
 少子化の原因は残念ながら、統計的に見て、団塊ジュニア世代に問題がある。

 たとえば、団塊ジュニア世代の女性が出産適齢期の年の出生数は明治時代を入れても過去最低である。

 これは当該世代の女性たちが悪いというのでは全くなく、社会全体の問題であり、価値観の多様化と道徳退廃が最たる理由である。

 無論、三橋貴明の言うように東京の出生率は低いが、せいぜい1.2ほどであり、私の出身市である札幌は0.9をたたき出している。

 しかしながら団塊世代である私の母と叔母は、豊かではないにも関わらず札幌市でそれぞれ5人の子どもを産んだ。祖母に至っては戦時にも限らず、母の倍も産んでいる。経済的な理由だけではないようである。

 本当にお金だけが問題なら、少子化対策担当大臣だった福島瑞穂の子ども手当てでも多少の結果が出るはずである。

 でも人間はベンサムの言うような「豚」ではない。

 そして私の出身地である北海道の人口減は残念ながら、いかんともしがたい。

 三橋氏は、男性がコミュニケーションの主導権を握っていて、出生率の高い九州のご出身なので、「道徳が理由」と言ってもおわかりいただけないかもしれないが…(高1からテレビに出まくっていた人気者の山本太郎には尚のことであるが。また彼は女性のコミュニケーション能力が高い関西の出身である)。

 

 また、価値観の多様化と道徳の希薄化とでは、道徳の希薄化の方が影響力が大きい。

 なぜならAKB48の影響が強い90年代生まれの女性は、出生率が低い東日本の都市部にあっても、明るくて、コミュニケーション能力が高い人が多いから。
 ただ、私が言いたいのは、コミュニケーション能力の高い団塊世代の70歳前後の女性や、90年代生まれの女性が素晴らしくて、70年代~80年代生まれの女性が悪いということでは全くなく、それはデュルケムによれば、「社会に影響を与える側」の問題である。

 たとえば戦時であれば、女性にとっての趣味や娯楽が少なくて、社会全体が子どもをたくさん産むという風潮にあって、その中にいる女性はその風潮に後押しされる。

 ところがテレビが広く普及し始めた70年代から人格障害という病気が突如現れて(宮台真司)、また90年代からは女性がコミュニケーションの主導権を握ってしまい(宮台真司)、それと同時期に北野武が「女は死ななきゃ治らない」(祥伝社)で指摘しているような、女性の晩婚化と、女性に「恥の文化」がなくなったことで道徳退廃が進み、それが芸能界から社会に影響しているというのである。

 

 また、私より上の世代の50代には、結婚して子どものいるYOUさん(1964)であったり、一般人と結婚して子どもを7人も産んだ堀ちえみさん(1967)がいるが、他方、私と同世代となると、テレビに出まくっている島崎和歌子、友近などは結婚すらしていない。

 一般人においても、木嶋佳苗(1974)、上田美由紀(1973)など、子だくさんはおろか結婚すらしていない悪名高い女性が際立っている。

  ママタレとしてテレビに出ているのは、北斗晶(1967)、ジャガー横田(1961)、坂下千里子(1976)、若槻千夏(1984)であり、最も人口が多いはずの団塊ジュニアの70年代前半生まれがスッポリいない。
 神田うのがギリギリ1975年生まれであるが、これらママタレの中でも、社会に対しても好悪(こうお)の情(性的な好き嫌い)を持ち込む女性の排他性(社会性の欠如)と、セレブ感とが際立っている。


 また団塊ジュニアの芸能界にあっては、後藤久美子(ジャン・アレジ)、篠原涼子(市村正親)、宮沢りえ(V6森田剛)など、いずれも私と同じ1973年生まれであるが、年の近い日本人男性と結婚する風潮すらなく、一般人や無名な人と結婚する女性が少ないセレブ婚世代に突入しており、一般社会においても、特に極端に出生率の低い東日本の都市部においては、女性と男性とでは天と地ほども社会的地位が違うのである。70~80年代生まれのコミュニケーション強度や社会的稀少価値は圧倒的に女性の側にあるのである。

 

 私が同い年の島崎和歌子なら(かわいい女性なら一般人の誰でもいいが)、色目を使って、ものの数分で交際相手を見つけることができるが、男なら45年間、八方手をつくしても、全く完全に無理なのである。少なくとも私の周りや同僚にも彼女がいる人なんてほとんどいなかったし、そういう世代、地域であった。

 

「女子は、一般的にいって、精神生活がそれほど発達していないので、その性的欲求も、あまり精神的な性格をおびていない。彼女たちの性的欲求は、肉体の要求とごく直接に結びついていて、…女子は男子よりも本能に支配されやすいため、心の平安をみいだすには、ただ本能にしたがうだけでよいのである。
…社会の必要性という点については、女子はほとんど欲求をもたず、[かりに欲求をもったにしても]また難なくその欲求を充(み)たしてしまう。
…男子は、より複雑な社会的存在であるだけに、外部にいっそう多くの支持点をもたないかぎり、釣り合いのとれた生活を維持することができない。」
 (デュルケイム著・宮島喬訳「自殺論」)

 
  団塊ジュニアの男の側の頂点にいたメガヒットアイドル「光GENJI」の大沢樹生ですら、このような世代の喜多嶋舞(1972)と結婚してしまえば、自分と血のつながりのない子どもを、成人まで育てる羽目になっているのである…。

 無論、西日本、特に広島、九州、沖縄に至っては女性のコミュニケーション能力が高く、普通にコミュニケーションができる女性が多いため、出生率も軒並み1.6と高いが、それでも価値観の多様化によって、人口維持に必要な2.07には遠く及ばないのである―。

 

 また、東日本の都市部で女性の社会性が極めて乏しいのは、美輪明宏さんが指摘するような、西日本にはある「文化」が希薄であり、地域として無機的なためであろう(北海道は名城もなく、屯田兵しかない…)。

 新宿駅前を歩いていると、インドの民族衣装を着た女性を見て、初めて女性の笑顔を見た気がするし、現にフェイスブックで友達のいなかった私に、インドの民族衣装を着た女性から友達申請されたこともあったし、私が30代のときに、女性とフェイスブックでやりとりができたのは西日本の女性だけであった。また、私は共学、文系クラスにも関わらず、女性から謝られたり(埼玉で80年代生まれの日焼けした茶髪の女性の原チャリに轢かれても…)、お礼を言われたりしたことが一度もなかったが、39歳のときに、新宿pepeのエレベーターに乗ったところ、遠くから女性が走って来たので「開ボタン」を押して待っていたところ、綾瀬はるか似の20代の女性から、生まれて初めてお礼を言われたので、「私ごときにお礼を言う女性が日本にいるのか」と大変驚いたことがある…。

 

 それは70~80年代生まれの女性が悪いというのでは全くなく、戦後の長い間左翼メディアが、儒教道徳とともに、一切の社会道徳をも排斥して、人としての道徳(哲学、社会学で言う社会性)を教えてこなかったことに起因する―。

 ―であるから、私が中学・高校に通っていた1986年4月から1992年3月には、それぞれ1学年に12クラスもあるマンモス校だったにも関わらず、今の北海道は極端な人口減にあえぎ苦しんでいるし、結婚する以前に、そもそも彼女がいたことのある男すら大変少ないのである

 むしろ児童虐待で若い親たちが問題となっているように、若い頃には、経済的事情を一切顧みずに、意気投合した交際相手と勢いで結婚・出産する傾向が強いのである。

 現に児童虐待をするような若い親たちは、大半が経済的に困窮していて、少なくともそれほど豊かではなくて貯蓄が少ないが、それでもすでに結婚していて、「子どもがいる」のである。

 そしてそんなことを言ってしまえば、母子家庭の半分近くが「貯蓄50万円以下」であり、それら低所得の世帯には、すでに子どもがいるのである。

 「東京23区で働いている人で、貯蓄50万円以下の人ってどれくらいいるんですかね?」

 だがすでにして子どもを産み育てている母子家庭の半分近くが「貯蓄50万円以下」なのであると。

 年収1000万円以上もあれば、産む産まないは本人の意志であって、むしろ経済的な事情とは別の理由が考慮されるべきである。

 だから三橋氏や山本議員が朝日新聞などのメディアや福島瑞穂と同じようなことを言っていてはいけない(山本議員と福島瑞穂は近いけど)。

 そして、もちろんのこと、446兆円の内部留保を抱える大企業と、さらに財を貯えるためだけに法人税減税と消費増税を企む経団連、商工会議所、そしてその言いなりである自民党をブッ潰(つぶ)して、パートなどで働く母子家庭に多くを還元しなければならない。 


 また、三橋貴明は「高齢者が多くなっても何も問題はない」と言われるが、高齢化の問題は社会保障費はもちろん、介護の人手不足である。

 介護は倫理的にも自動化が大変難しい。そして、高齢化で一番問題なのは世代間バランスの悪さと地域間バランスの悪さである。
 但し、三橋氏に誤解されないでほしいのは、戦国時代の日本の人口はたったの1,800万人だが、製鉄技術、鋳造(ちゅうぞう)技術は世界一であり、鉄砲の生産量は世界一どころか、全ヨーロッパを凌(しの)ぐ十万挺(ちょう)もの鉄砲を生産しており、人口が少なくなること自体は、当たり前だが、三橋氏に指摘されずとも、全く問題なく、上野千鶴子のような拙劣なことを言っているのでは全くない。

 そして、13世紀に普及していた日本の鋳造(ちゅうぞう)技術がヨーロッパで見られるのは18世紀であり、戦後の高度経済成長、ノーベル賞受賞者の数も合わせて、団塊ジュニアから80年代生まれ(ガサツ、子ギャル世代)の、あいさつをしない、子どもを産まないなど、日本社会に関心のない世代の女性たちに言いたいのは、日本は素晴らしい国なんですよと…。

 この世代の女性で日本人男性にレスペクトのある女性を私は見たことがなく…。
 

 無論、三橋氏のように、地域間の方は「ビジネスチャンスが増える」という見方もできるが、いくつかの若手ベンチャーが儲かるというだけの話であり、私の父の出身市である夕張のように、過疎化して疲弊する場所も「現実的に」ある。

 もちろん、三橋氏と同様、私は介護分野を移民の方々の労働力で補うことには反対である。

 親日国である東南アジアの若い人を、日本の奴隷制に組み込もうとする自民党の試みは、倫理的に見ても非常に問題である。

 

 よって介護の人手不足が、現実的に解決のメドが立たない以上、三橋氏のような「高齢化が全く問題ない」という楽観的な見方に私は賛同できない。

 そして、三橋氏に言いたいのは、だからと言って「人口爆発のアフリカがいい」と言っているわけではない。でも、多分、アフリカでも高齢者の方がはるかに多かったら、それはそれで大問題であるから。

 つまりアフリカの場合は別の問題である。

 

 また、高齢者が3000万人にまで激増して社会問題となっているのが、高齢者による自動車事故である。

 その多くが重大な人身事故であり、ただでさえ極端な少子高齢化なのに、通学中の小学生が巻き込まれて死亡するなど、事故の犠牲者は当然、事故を起こした高齢者よりも相対的に若い。

 この状況はバタイユ哲学で語られるような、老人が新しい世代に富を譲るという、いわば自然の摂理とはまったく逆の状態であり、かつ子どもたちが大勢死んで、ブレーキすら正しく踏めない老人だけが交通刑務所に残るというのは、理性的でも何でもない。

 

「死は時間の中で諸世代の推移に区切りをつける。それは新生児の到来に必要な場所を絶えず残すのであり、それなくしては自分たちが存在しない…。」(バタイユ著「呪われた部分」二見書房)

 

 そしてバタイユに心酔していた三島由紀夫はこうも言った…。

 

「そしてわれわれの周辺には、日清戦争の死者をうわまわるといわれる交通戦争がたえず起こっており、人間の生命のはかないことは、いまも昔も少しも変わりはない。」(三島由紀夫 著 「葉隠入門」新潮社)

 

 そして三島の言う「交通戦争」に極限まで拍車をかけているのが、3000万人いる高齢者である。

 それを書き加えなければならないと思ったとき、テレビをつけたら、南池袋で、目撃者いわく「スーツを来たおじいちゃん」が重大な交通事故を起こした模様が放送されていた。

 10人がけが、二人が心配停止の重体だという。

 直近の「三橋TV」で三橋さんは、「高齢者が増えて何が問題なんですかね?」と言われていたが、「いやいやいやいや、何を言っているんだオマエは?」と。

 都市部の高齢者ドライバーには、電車やバスを利用してもらいたい。巣鴨にいるおばあちゃんは皆、車を運転されずともご生活されているのだから。

  

 

 

 

※本記事の前半部「①」は後日、投稿予定となります。