私の千倍は女性に厳しい美輪明宏さん | 高澤 一成 「真の哲学者とは」

高澤 一成 「真の哲学者とは」

■哲学・社会学・社会思想に基づく「社会衰退の克服論」
■成人道徳教育(啓蒙)の必要性と、道徳と自由の両立

 日本ルネッサンス4 美輪明宏の女性論


 11月8日の朝日新聞に美輪明宏さんが人生相談の記事を執筆された。
 
 何を隠そう私は常に美輪明宏さんを手本に生きている。

 過去10年くらいに出演されたTV番組の一言一句を頭に記憶しているので、スーパーで食料を選ぶときも、「美輪さんが「私焼肉召し上がりませんから」と言っていたから、肉はやめよう。」などと内観するほどである。

 もちろん、何から何まで手本と言っても、さすがに女装はできないが、哲学本の出版や、道徳教室の開設などは、「美輪さんのように音楽で大成されてから」と考えているのである。

 どのみち、そうじゃないと説得力がないし、竹田恒泰くんみたいな知名度になってそこから音楽をやろうとしても、音楽が知名度を利用した副業みたいになってしまうためである。
 私の音楽は完全に欧米向けである―。


■私の千倍は女性に厳しい美輪明宏さん



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(2014年11月8日 朝日新聞より)


 今回の相談内容は、真面目な夫が寝たきりになって、これからの人生をその介護に費やさなければならない70代主婦からの疑問と悩みである。

 私であれば、女性が男性に親切な世代の女性であり、長年夫に尽くして、苦労ばかりで、非常に同情するところだが、美輪さんは私の千倍は手厳しい。

 「いたわり、慈しみが相談者の文章には感じられません。」
 「ご主人から見たら、わがままな奥さんだったのではないでしょうか。」
 「立場を変えて考えてください。」
 「今のうちに発想を変えるべきです。」



 理性道徳をモットーとする私も、「相手の立場に立って物を考える」美輪さんと全く一緒なのだが、私は正直70代の介護に苦しむ真面目な主婦にここまで言うことはできない。

 美輪さんの言われることは120%正しいのだが、この方は相対的に見ても、日本の女性の中でも立派な部類に入る女性である。

 ただひたすら家庭を支え、老後には夫の介護をする…。
 
 美輪さんは、「夫の稼ぎに頼って生きてきたのだから…」という理由かもしれないが、そんなことを言ってしまったら、私の世代の女性なんてもうムチャクチャである。
 
 私はこの相談者の世代の、今は70代の親切な女性をいっぱい見たことがある。

 今の50代くらいまでの女性はコミュニケーション能力が高く、社会性もあって、経済感覚も優れている人が多い。 

 しかし、私の団塊ジュニアくらいになると、受験戦争と道徳の不在の影響がモロに出て、親切な女性はおろか、日常の挨拶といった人としての最低限のコミュニケーションを取れる女性すらほとんどいなくなってしまうのである…。

 江角マキコあたりからもう完全におかしい。
 すさまじ過ぎる世代間ギャップだ。


■道徳を必要としなかった団塊世代 

 今60代半ばの団塊世代は、ほとんど道徳を必要としなかった。

 学生運動でほとんどが左翼の世代だ。

 我が日本哲学会も、「男女共同参画推進」で、完全に左翼である。

 しかし、千葉県のフェミナチ堂本暁子知事が、2004年だけでなんと 5,835億円を男女共同参画だけに費やして、県の財政をメチャクチャにしたことは有名である。

 確かに、フェミニズムはイスラム圏やインドならどんどんやるべきだが、宮台真司さんの言う通り、日本では80年代半ばあたりからもうコミュニケーションの主導権が完全に女性に移ってしまっている…。

 今はもう、かわいい女性であれば何でも許される時代で、ペニオク騒動や、小保方、塩村の事件が記憶に新しい。

 また、曽野綾子さんが男女共同参画に反対である。

 そんな日本哲学会の広島大学の総会で、私は高山会長(当時)と話す機会があった。

 私はあらやる哲学者が主要なテーマに取り上げている道徳について切り出し、今の日本の社会衰退と道徳退廃の話をしようとすると、完全に関心がない素振りで立ち去ってしまった。

 団塊世代は文化系、いわゆるオタクの男でも、バンバン彼女ができて結婚できた世代である。

 ゆえに団塊ジュニアがある。しかし、当の団塊ジュニアで結婚しているのは、男では1割いないだろう。

 西日本では少し状況が違うが、女子とは話すらしてもらえず、結婚して子供がいるのは美容師かイケメンのガテン系くらい。そんな世代である。

 それでも、完全に女性優位で、(私の知り合いで同い年の二宮和也似の美容師など)「奴隷以下の扱いだ」と愚痴をこぼしているイケメン男性が大半である。
 
 美輪さんの言う「獅子の座布団」(一家の大黒柱である主人の座布団)なんてとんでもない。夫は煙草も外に出て吸う。…というか、夫のいない間に不倫しまくっている女性が誠に多いのである…。
 
 女は女というだけで、この国では王様なのである。
 美輪さん、曽野さんの80前後の世代がいなくなったら、この国に男のまともな居場所はなくなるだろう。

 もちろん、見た目だけで、バカ過ぎる悪い男を選んでDVされたり、幼児虐待をするような男を選ぶ女も少なくない。世界の歴史が、フランシス・フクヤマの言うように、中・ロの専制国家の暴力の時代に逆戻りしているように、日本人そのものも、動物に完全に逆戻りしている真っ最中なのである…。


 話を60代半ばの団塊世代に戻すと、価値観で言うなら、彼らは「巨人、大鵬、玉子焼き」と、価値観が共有できた世代である。

 男女間で共通項が多くて、今の若者に近く、ガンガンわかり合えた。

 南こうせつさんなどは、無名の学生時代、アパートにいきなり女の子が押しかけてきて、その人と結婚したくらいである。私の世代なら120%有り得ない話である。

 美人の安藤和津さんに面倒を見てもらっていた、無名のころの奥田瑛二もそうである。


 しかし、我々の世代は、テレビやマンガ、ゲームもあるが、女子には、他の世代にはいなかったような「光GENJI」「SMAP」などのメガヒットアイドル、それ以外にもさまざまなビジュアル系のミュージシャンや俳優、スポーツ選手(女子アナの大半が結婚するような)などの著名人が五万といて、つまり、そんなにかわいいと言われない子でも、学校にそれらアイドルグループの下敷きを持ってくるなど、光GENJIやSMAPの熱狂的な信者なので、普通の男が普通の子と付き合うことなどは当然できなかったのである。
 さらには外にいても、携帯電話のメールだけに集中しているようなよそよそしい社会になると、同世代間の男女間の距離はとてつもなく遠かったのである。

(ちなみに私が2000年の加藤の乱で自民党の公募に応募したのは、「コミュニケーション強者」である女性の携帯のメールに税金をかけようと思ったためである。フィリピンでは携帯のメールに税金がかかっている。女性でも、高齢の女性はほとんど携帯でメールをやらないので、社会的稀少価値の高い女性だけにかけることになり、社会のよそよそしさ・閉塞感も半減され、それなりの税収が見込める。今でも坂上忍さんなどは、女性の携帯メールに対して、テレビで否定的な意見を言っている。もちろん、「男女差別」と言うなら、男性にもかけてもいい。私のような男はほとんど携帯でメールをやらないだろうから。)


 私が日本のドラマや映画をほとんど見ないのは、若くて美人の女性がガンガン話しかけてくるためである。まずそこで見ない。そんなことは絶対にあり得ないからである。

(仲間由紀恵さんなんかをテレビで見ても、全く実在している女性とは思えないほどである。
 プロ野球を全く見なくなったのも、有名なアイドルや女子アナと結婚して、何億ももらっている人が多すぎるためである。
 「感情移入できるか!」と。
 「そんなやつらわざわざ高いお金払って応援する必要ないよ」と。
 私は120%完全にサッカー派、それも「ド」がつくほどの欧州サッカー派だが、野球で見るなら、黒人が人種差別に苦しんでいたころの、昔のメジャーリーグなど、そういう社会的な、人間的な、真の戦いのあるものではないと全く見る気がしないのである。
 ゆえに地元の野球少年を見ると「視野が狭い」と思ってしまうのである。)


 しかも、団塊ジュニアの女性(~今30代の子ギャル世代まで)は、道徳的価値観も完全に崩壊しているので、とにかく人の悪口を言うのが好きな性格が悪い子ばっかりだった。私が頑なな女性不信になったのも、40年間、人として信頼できる女性を一人も見たことがないことが原因である。あいさつもしない、悪いことをしても謝らない、親切なことをされてもお礼を言わない、そんな女性しかいないのが当たり前の世代なのである。
 
 それが海外から見ると少し状況が変わる。たとえば、私が日本で何を言っても、「普通の日本人」と思われて誰にも相手にされないが、外人が言うとまた違った見方であらゆる日本のメディアから注目される。海外では、有名なサッカーのベテラン監督と同じマンションに住んでいた青年が、いきなり監督に手紙を渡しただけで、超ビッグ・クラブの監督になれる(ビジャス・ボアス)が、私の場合は、どんなに哲学、社会学、社会思想の引用を引っ張って、投書を受け付けているメディア、政府、省庁、自治体に投書を繰り返しても、全く何十年も誰にも相手にされない。

日本には全く夢がない。

 政治は世襲、音楽は見た目とアイドル、そして哲学も結局は学位だけで決められてしまう。

 要は何ができるかではなく、見た目だけなのだ。学会に行ってもわかるが、学位を持つが、全く何も主観的に物事を考えられないバカな学者は五万といる。…というか日本哲学会にそうではない人はいない。

 テレビに出ている論客も、俗物的な「オール左翼」。

 残念ながら、メディアや企業に道徳的な責任を主張するカレ・ラースンと同じ意見を持つ美輪明宏さんのような人は、美輪明宏さんを除いては一人もいない。
 だから、私は日本を捨てるのに十分な理由と大義を持つ。


 話は脱線してしまったが、私の世代の不親切な女性でも、外人に対してはなぜか親切なのである。ほぼ単一民族国家ゆえの物珍しさと憧れ、国際感があるのか知らないが、「日本人ではない」というだけで魅力的に見え、その嫌日感こそが不覚にも東京オリンピックを招致できた理由の一つではないかと私は思うほどである。
 
 そんな老人と、日本人が嫌いな女性しかいない日本で、誠にはかない期間の東京オリンピックが開催される。美輪明宏さんも東京五輪には大反対である。ロンドンでは五輪が終わっても、イギリスは毎年一年中プレミアリーグで全世界の注目を浴び続けて盛り上がれるが、日本は北京オリンピックの中国、それ以下になる可能性が非常に高いのである。さらに極端な少子高齢化、財政赤字、道徳退廃、アメリカの政治力の極端な低下で、それこそその中国が攻めて来るかもしれないのである。

 美輪さんの話に戻るが、80になろうとする美輪さん、60代半ばの学会長と、立場のある上の世代の人は、下の世代の現状をどうも把握できないようである。

 まして、これだけ物を知っている人たちですら、下の世代の現状には関心がないのだから、政治家や官僚、地方はさらに疎いということになる。
 自殺や少子化、幼児虐待などの社会衰退が進んでいるのも、この辺に原因があるのだろう。

 道徳がない日本においては、美輪さんの人生相談はこの国の唯一無二の処方箋と言っていい。だが、あまりにも壁が高すぎる処方箋である。
 私と同世代以下の女性で、この壁を越えられる人はほとんどいないだろう。

 美輪さん流に言うなら、シリアやイラク、北朝鮮などで生まれ変わって、魂の修行を一からやり直さなければならない人たちばかりである…。 

   



 私がこの相談者の寝たきりの夫なら、自分に尽くしてくれた妻に「もう十分だよ」と言うだろう。そしてそのような状況なら迷わず安楽死を選びたい。

 終始孤独で女性と話すことすらできなかった人生の私にとって、結婚できて妻がいるだけ大変うらやましい話である。

 ただ、美輪さんなら、介護の苦悩と人生への疑問を持つ、模範的に生きたこの女性に対しても、さらに上の女性像を求めるのである。