夏休みの帰省シーズンが
やってきましたね。
私が住む長野でも、
「孫が遊びに来てるの」
「久しぶりに親戚が集まるの」
と、うれしそうに話してくださる方が
増えてきました。
おじいちゃん、おばあちゃん。
いとこ、はとこ。
久しぶりに会う親戚との時間を、
楽しみにしているご家庭も
多いのではないでしょうか。
でも、その一方で。
親戚の家に着いた瞬間、
さっきまで車の中でしゃべっていた子が、
急にママの後ろに隠れる。
「こんにちは」も言えない。
「大きくなったね」
「ハグしてあげて」
「抱っこさせて」
そんなふうに言われた瞬間、
体がピタッと止まってしまう。
そんな姿を見て、
ママの方が焦ってしまうことも
ありますよね。
「失礼に見えたかな」
「わがままだと思われたかな」
「挨拶くらいしてほしいのに」
「せっかく会いに来てくれたのに」
そんな気持ちが出てくることも、
あると思います。
でもね。
久しぶりに会う人との距離感。
触れられることへの緊張。
感覚の敏感さ。
そんなことが関係している場合もあります。
夏休みの帰省で、子どもが親戚の前で固まる理由
久しぶりに会う親戚。
大人から見ると、
「家族なんだから大丈夫」
「親戚なんだから怖くない」
「前にも会っているから平気でしょ」
と思うかもしれません。
でも、子どもにとっては、
久しぶりに会う人は、
ほとんど初めて会う人に近いこともあります。
前に会ったことがある。
名前も聞いたことがある。
でも、今の自分にとって、
どのくらい近づいていい人なのか。
どんな顔をすればいいのか。
何を話せばいいのか。
急に触られたら、どう反応したらいいのか。
そこが分からなくて、
固まってしまう子もいます。
特に、まわりの空気を読みやすい子や、
相手の表情を気にしやすい子は、
「嫌だ」と思っても、
それをそのまま言っていいのか
分からないことがあります。
外から見ると、
ただ黙っているだけに見えても、
子どもの中では、
かなりたくさんのことが起きているのかもしれません。
子どもがハグや抱っこを嫌がるのはわがまま?
帰省や親戚の集まりで、
よくある場面があります。
「おばあちゃんにハグしてあげて」
「抱っこしてもらいなよ」
「ほら、久しぶりなんだから」
言う側に悪気はないんです。
むしろ、
会えてうれしいから。
かわいいから。
成長を感じたいから。
そんな気持ちで言ってくださることも
多いと思います。
でも、子どもによっては、
ハグや抱っこなどのスキンシップが
苦手なことがあります。
触れられる感覚が苦手。
急に距離を詰められると緊張する。
相手のにおいや声の大きさに疲れる。
その場のにぎやかさで、
もういっぱいいっぱいになる。
そんな理由で、
体が止まってしまうこともあります。
「ハグが嫌」
というより、
今はまだ、
心と体の準備ができていない
に近いのかもしれません。
ママが焦るのにも理由がある
子どもが親戚の前で固まった時、
ママが焦ってしまうのも自然なことです。
「せっかく会いに来てくれたのに」
「感じ悪く見えたらどうしよう」
「育て方を何か言われるかな」
「私の関わり方を何か言われるかな」
そんな不安が、
一瞬で頭の中を走ることがあります。
だからつい、
「ほら、挨拶して」
「大丈夫でしょ」
「ハグくらいしてあげて」
と言いたくなる。
私もきっと、
何も知らなかったら言っていたと思います。
でも、そこで少しだけ立ち止まって、
「今、この子は何に困っているんだろう」
と見られたら、
次にかける言葉が少し変わります。
「嫌だ」と感じる体の感覚を大切にしていい
ここで大切にしたいのは、
子どもが感じている
「嫌だ」
「こわい」
「近い」
「今は無理」
という感覚です。
これは、性教育にもつながる
大切な土台です。
性教育と聞くと、
特別な知識を教えることのように
感じる方もいるかもしれません。
でも、パンツの教室で大切にしている性教育は、
からだの話だけではありません。
自分の体は、自分のもの。
自分の気持ちも、大切にしていい。
触られたくない時は、嫌だと感じていい。
困った時は、信頼できる大人に戻ってきていい。
そういう感覚を、
日常の中で少しずつ育てていくことも
大切にしています。
ハグが苦手。
抱っこされたくない。
近づかれると固まる。
それは、失礼なことではなく、
今の自分の距離感を守りたい
というサインかもしれません。
性教育の入り口は、
帰省先のリビングにもあります。
ハグが苦手な子にできる、代わりのあいさつ
大きなことをしなくても大丈夫です。
まずは、
親子で少し話しておくこと。
「久しぶりに会う人がいると、緊張することある?」
「ハグや抱っこは、したい時としたくない時がある?」
「もし嫌だったら、どう伝えたらよさそう?」
こんなふうに、
帰省前に少しだけ聞いておく。
そして、子どもが言葉にできそうなら、
一緒に代わりのあいさつを決めておくのもおすすめです。
手を振る。
こんにちはと言う。
ハイタッチにする。
ママの横にいたまま挨拶する。
慣れてから近くに行く。
ハグができるかどうかだけを
ゴールにしなくていいんです。
その子にとって、
安心してできるあいさつの形を
一緒に探しておく。
それだけでも、
当日の親子の緊張が少し減ることがあります。
親戚に「ハグしてあげて」と言われた時の声かけ
もうひとつ、
ママが悩みやすいのが、
親戚にどう伝えるか。
ここですよね。
子どもの気持ちを守りたい。
でも、
相手に失礼に聞こえないようにしたい。
そんな時は、
子どもの前で責めるように説明するのではなく、
さらっと代弁する形が使いやすいです。
「久しぶりで、ちょっと緊張しているみたいです」
「慣れるまで少し時間がかかるタイプなんです」
「今日は手を振るあいさつでお願いします」
「近づきたい時は、自分から行くと思います」
こんなふうに、
子どもを否定せず、
相手も責めない言い方にしておく。
ママが間に入ってくれると、
子どもは少し安心できます。
そして、
「自分の嫌だをママが分かってくれた」
という経験にもなります。
「ハグしない子」ではなく、「距離感を大切にしている子」
子どもの姿は、
見る角度によって変わります。
「挨拶できない子」
「愛想がない子」
「わがままな子」
そう見えてしまうこともあるかもしれません。
でも、別の角度から見ると、
久しぶりの人との距離感に戸惑っている子。
触れられることに敏感な子。
相手に合わせたい気持ちと、自分の嫌だの間で揺れている子。
なのかもしれません。
そう思えると、
ママの声かけも少し変わります。
「手を振るだけでもいいよ」
「ママの横で挨拶しようか」
「嫌だったら、あとで教えてね」
そんな言葉が出やすくなるかもしれません。
子どもが自分の気持ちを大切にしていい。
でも、相手との関係も大切にできる。
その両方を、
日常の中で少しずつ練習していけたらいいなと思うんです。
Q. 親戚にハグを求められた時、子どもが嫌がったらどうしたらいい?
A. 無理にハグをさせる必要はありません。
「今日は手を振るあいさつにしますね」
「久しぶりで少し緊張しているみたいです」
「慣れるまで少し時間がかかるので、見守ってもらえるとうれしいです」
そんなふうに、
子どもを否定せずに、
代わりのあいさつを提案すると伝えやすくなります。
子どもがハグや抱っこを嫌がる時は、
「失礼」「わがまま」と決めつける前に、
自分の距離感や体の感覚を守ろうとしているサインかもしれない、
と見てあげることが大切です。
夏休みの帰省は、親子の会話を育てるチャンス
夏休みの帰省は、
楽しい時間である一方で、
子どもにとっては、
いつもと違う場所、
いつもと違う人、
いつもと違う空気の中に入る時間でもあります。
だから、
急に固まることがあっても不思議ではありません。
「なんで挨拶できないの?」
「ハグくらいしてあげなさい」
と言う前に、
「今、どのくらい緊張している?」
「どんなあいさつならできそう?」
「近づかれるのが苦手だった?」
そんなふうに聞けると、
子どもは少しずつ自分の感覚を
言葉にしやすくなっていきます。
そしてそれは、
これから先、
友だち関係でも、
防犯の場面でも、
思春期の体の変化でも、
「嫌だ」
「困った」
「助けて」
を言葉にする力につながっていきます。
性教育は、
特別な日の特別な話だけではありません。
夏休みの帰省。
親戚との再会。
ハグや抱っこをめぐる小さな戸惑い。
そんな日常の中にも、
子どもが自分を大切にする土台はあります。
今年の夏休み。
親戚の前で子どもが固まった時は、
「困った子」と見る前に、
「この子は今、自分の距離感を守ろうとしているのかもしれない」
と、一度見てあげられたら。
親子の空気は、
少しやわらかくなるかもしれません。
「自分の体は、自分のもの」
「嫌だと感じたことを、言葉にしていい」
「困った時は、信頼できる大人に話していい」
こうした感覚は、
急に思春期になってから育つものではありません。
小さな日常の会話の中で、
少しずつ育っていきます。
「これくらいで悩むのは大げさかな」
と思うことほど、
実は親子で話せる土台づくりに
つながっていることがあります。
でも、
「性教育って、何から話せばいいの?」
「わが子にはどんな伝え方が合うの?」
「感覚の敏感さや、距離感に戸惑いやすい子には、どう伝えたらいい?」
そんなふうに迷うこともありますよね。
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インストラクター|てらしまかおり
長野県在住。
発達凸凹のある小5の息子と、
マイペースな小2の娘の母です。
「私が何とかしなきゃ」と力が入りすぎて、
何度も迷い、立ち止まってきました。
管理より関係を、正しさより安心を。
思春期・発達凸凹の子育てを、
母の視点で綴っています。
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