さてさて、ご質問いただいた、ダックス四速とカブ系ニューロータリー四速のシフトドラムの互換性です。

以前、ニューロータリー三速については調べました。
 


今回は四速ではどうなん?って話です。

パーツリストではこんな感じです。


ダックス。


シフトドラムに付いてるプレートは位置規制のピンを押さえておくためのもので、位置を規制する機能はありません。
ダックスではシフトドラムの位置を決めるのはアームとピンの直接接触です。
完全なロータリーミッションです。

ピンを抜くと飛び込み防止になるという話も聞きますが、変速トラブルを゙起こしそうです。


ミッション。
良く見慣れた(私だけか(笑))部品たち。


12vCD50(CL50ですが共通)。


ダックス同様、アームがピンと直接接触して位置決めする構造。
完全なロータリーミッションです。

シフトフォークはダックスと共通部品です。
ってことは、12vのこの次代にして6vのあの、先端で変速するヤツが使われてたのですね。


メイン、カウンターとシャフト径は17mmです。
 


12vC50(最初はエコノパワー初期のカブから始まってますが、ジョルカブ、リトルカブ共通)


シフトドラムは構造が異なり、位置決めは星型プレートとアームが担います。



ミッションも違いが多数。
最大の違いがシフトドラムを走行中四速だけロックする、シフトドラムロックプレートであることは当然ですが、カウンターシャフトが中太のφ20mmです。
三速では普通にφ17mmなんで大きな違いですね。
C90は中太カウンターシャフトなんで一クラス上と同様の丈夫さにしてあるんでしょうか。



主要スペックを抜粋します。



さて、ここで分かること、これまで私が知っていることは…

1.クランクケースは基本的に12v CD50とC50は共通。
(セル有無で左は共通ではないが)

2. 12vのこれらのケースはベアリングケースであり、ダックス(およびモンキーキャブ車OHC全年式)とはクランクケースのミッション部の内幅が異なる。
(12vケースの方が広い)

3. 1.2にも関わらず、CD50(完全ロータリーミッション)ではストッパーアーム、シフトドラムは互換性がある。

4. 12vCD50ではギアの多くがCD50の追い番違いである。
※適用車種を示す機種コードが065。
ダックスも同様。
機種コードが同じでも互換性が無い場合、逆もありえるが、少なくともホンダとしては同系統の扱いである。

5.C50ではダックス、CD50と共通なのはシフトドラムピンくらいで他は共通部品が無い。

6. 2.の通り、クランクケースの内幅が異なるが、CD50ではメインシャフトのローギア側が段付きになっており、カウンターシャフトもツバ付きで、実際のロー側のギアの左端はケース左側内面より離れていると考えられる。

一方、C50はベアリングに直接メインシャフト端がはまる構造。
カウンターシャフトもφ20の中太部にカウンターローギアがハマり、スラスト方向の位置規制は17番のスラストワッシャー17mmで実施していると思われ、ローギアのスラスト方向の位置の開始が左側クランクケース左側内面に近いと考えられる。

従い、ミッションの各ギアのスラスト方向の位置がダックス/CD50系とC50では異なると考えられる。

7. 6.より、ダックスにC50のシフトドラムはもしかすると取りつけられるかもしれないが、ギアのスラスト位置関係を正しく決めるというシフトドラムの機能は、対するギアのスラスト方向の位置がそもそも違うため、果たせない可能性が高い。


C50の四速だけは現物が手元に無いので検証できませんが、そんなことで多分、ダックスミッションにC50四速のシフトドラムはポンド出来ないと思います。
また、飛び込み防止機能はシフトドラム単体でなく、カウンターシャフトに付くプレートが走行中は緩やかにカウンターシャフトから力を受けてシフトドラムにもたれかかることで、シフトドラムのトップ位置に切られた溝にハマり、ローに入らないようになっているもの。
よって、カウンターシャフトも移植しないと機能しません。
しかし、カウンターシャフトはケースの内幅も違えばギアのスラスト位置も異なり、メインとカウンタ両ローギアの研磨加工でもしないと(してもうまく行くか分かりません)ダックスケースには入らないと思います。


どのような形で破損したのか分かりませんが、何とか元のものを修正するか、高値であっても純正のシフトドラムを購入する、もしくはモンキーなどのリターンシフトドラムに交換することかと思います。