☆AFP☆
中国の競泳選手23人が、禁止薬物に陽性反応を示しながらも東京五輪の
出場を認められていた問題で、元競泳のスター選手であるマイケル・フェルプス
(Michael Phelps)氏や現役のアリソン・シュミット(Allison Schmitt)
選手らが25日、米連邦議会の公聴会で証言を行い、世界反ドーピング機関
(WADA)の改革を訴えた。
2021年の東京五輪前の検査で中国の競泳選手23人がトリメタジジン
(Trimetazidine)に陽性反応を示したものの、WADAは食品汚染が原因
だったとする中国側の説明を受け入れて処分を科さなかった。
五輪5大会に出場して史上最多23個の金メダルを獲得しているフェルプス氏は、
議会の調査・監視小委員会の公聴会にシュミット選手、米国反ドーピング機関
(USADA)のトラビス・タイガート(Travis Tygart)最高経営責任者
(CEO)とともに出席し、現状をロシアの組織的なドーピング絡みで前回
公聴会に出席した2017年と比較した。
前回もWADAの改革を呼びかけていたフェルプス氏は、「私にとって
WADAを改革する試みがすべて失敗したのは明らかであり、国際スポーツの
品位や公平な大会を戦う選手の権利を繰り返し傷つけている、深く根を張った
体系的な問題が存在している」と話し、「議会には、WADAへの大きな影響力を
行使してWADAを独立した効果的な組織にしてもらいたい。WADAがまたしても
国際スポーツの圧力に屈し、選手を犠牲に便宜を図ったことは偶然ではない」と
述べた。
フェルプス氏はこの一件で親しい友人たちにも影響が及んだとし、「彼らの
多くは生涯を通じて『もしも』という気持ちを抱えて生きていくことになる。
アスリートとして、我々はもはやWADAを全面的に信頼することはできない」
と語った。
シュミット選手は、東京五輪では女子4×200メートルリレーの一員として、
中国に次ぐ銀メダルを獲得した。しかしこのレースは、トリメタジジンで
陽性となった選手が出場していた5種目の一つとされている。
シュミット選手は「われわれは彼女たちの泳ぎに敬意を払い、負けを受け
入れた」とした上で、「しかし今、中国のリレーメンバーに処分を受けなかった
選手が入っていることが分かり、
疑いとともにレースを振り返っている」と発言した。
「米国の選手を代表してお願いしたい。WADAと世界の反ドーピング
システムに責任を持たせてほしい。私たちの勝ちなら、私たちが勝ち取った
ものだからということにしてほしい。私たちの負けなら、公平な大会だった
からだということにしてほしい」
なお、WADAは4月、同機関から独立した検察官による調査を行うと発表。
中国は今月、パリ五輪に向けて31人の競泳選手の派遣を発表している。