入院して4日目にもなると、

初患の部屋から一般の相部屋へと移される..。


 酒の毒抜きと、離脱症状を抑える点滴が

外される日にもなる。

僕は次の部屋がどこになるか、決定を待っていた。


 ここでの日中、患者は全員普段着。

普通の病人としてこもる意識をもたせず、いち早く断酒をし、

社会復帰する為、病院側が意図的にそうしている。

・・僕は、棟内をブラブラしていた..。
 
しかし、足のふらつきは、イマイチおぼつかない..。

 アル症の怖いところは、長年の大量飲酒により、

体内に酒の血中濃度がある事で普通が保たれるようになっていく。

・・それは、5年、10年、20年と..

呑んでいた量と年月で、後遺症といったものが違う。

 僕もやはり、その時シラフの体に慣れていなかったのか、

体からすっかりアルコールが切れると、逆に平衡感覚に

障害が出ていた。

・・この現象は病の進行度によるが、

断酒して約1~3カ月で慣れる。

 慣れると言うのも変な表現だ..。正常になる。元の体に戻る。

ゆえに、怖いのは断酒した直後の運転で

事故や事件を起こす可能性が高い。

 また情緒不安定によって、突然キレやすくなったり、

人によっては、あまりの体の変化に順応できず『てんかん』を

起こす人もいる。

 例え、刑法上で酒が全く入っていなくても、

アルコールチェッカー数値『0』で、

酒気帯びではなくても集中力が切れた危険な状態だ。

 僕は入院前、最低の常識として酒を飲み終えてから、

12時間は運転をしなかった。

 ところが、医療的な資料を読むと、

アルコール依存症者の離脱症状は酒を断って、

まる1日位してから登り坂が始まり、

48時間後に肉体依存からの離脱症状が

ピークに達する..。

 僕は入院するまで、それを知らなかった。

今現在、患者と診断された人が日本で80万人。

予備軍を含めると440万人にもなると言う。

 ではなぜ、300万にを超える人が

治療を受けないのかと言うと、前にも述べた

『否認の病気』だからだ。

「俺はただの酒飲みで、アル中ではない」

・・と言う人が多い。

 僕もそうだった。そしてまた、自分が筋金入りのアル症と、

気づかなかった。

 
・・夕方位に軽くソワソワし始め、元気が無くなる..。

しかし、帰宅し一杯決めると、それが嘘のようになくなる。

・・重度の離脱症状が出る前に酒という最強の安定剤を

呑んでしまう毎日なので、気づきにくいのだ。

 翌朝、体はだるいが、ソワソワ感は無いし、

気持ちもネガティブではない。

 酒気帯び運転にひっかからない程度のアルコール血中濃度が

体内にあるからだ。

 そういった日々を過ごしていくうちに酒はジワジワと心身を蝕んでいく。

 上記を知らない事は、自分がアル症に気づかない最大の落とし穴だと思う。



読者登録してね

フォローしてね