いちろーさんのまきばーで、言い合い、言い合いをー。

じーろーさんのまきばーで、言い合い、言い合いをー。

 

泣いてるのはヒヨコとアヒル。

何を言い合っていたのでしょうか。

気になります。

 

 

 

 

 

 

(前回の続きです)

 

 

 

シロヤギが、再び街に帰って行ったのは秋も深まりかけた頃だった。

 

クロヤギは、シロヤギの住む街には行かないことを伝えた。

 

けれど、春になったら必ず会いに行くと約束した。

 

シロヤギは大げさなほどに喜んだ。

 

それがクロヤギには悲しかった。

 

その約束が、ただ、シロヤギの自尊心を満たすだろうことを理解していたから。

 

 

 

だから、クロヤギは街への旅には期待していなかった。

 

あの頃の思い出は今でも大切に感じている。

 

久しぶりの再会からの日々にも、無くしていた時のかけらを取り戻したかのような感覚を持っていた。

 

でも、シロヤギは今でも自分勝手な思いやりを押しつけてくるだけだ。

 

私が思いのすこしも正直に伝えないのは、シロヤギさんが本当の私を理解しようとしないからなのに。

 

私がずっと想いを力に変えられずにいたのは、シロヤギさんの思いやりが、悲しいくらいに私の苦しみからずれていたからなのに。

 

 

 

クロヤギは満面の笑顔で、シロヤギを見送った。

 

シロヤギは、素晴らしい休暇を得ることができたと感じていた。

 

皆、幸せそうに暮らしていた。

心配だったクロヤギ君の元気な姿も、実際に確かめることができた。

 

不自由なことがあれば、これからも力になる。

そのために私は、あの日、牧場を離れたのだから。

 

やはり、来て良かった。

 

シロヤギは、満足のうちに多忙な日常へと戻っていった。