小説のテーマに入る前に、発想力、想像力、創造力について書いておきたいと思います。
最近になってやっと、発想力で価値を生み出す、ということが正しく理解され始めたのではないかと感じています。
今までの長い間、ずっと誤解されてきた発想力。
その真の力が必要な環境が、世の中に急激に広がり始めているからなのだと思います。
誤解されてきた最大の理由は、発想力の無い人が発想力を求めたり、本質とは異なる利益のためにその発揮を支援したり、耳目を集める場としてだけに使おうとしてきたからだろうと思います。
その影響で発想力のように見えるけれども違うものが評価され真の発想力の理解が歪められてしまったことで、かえって発想力が発揮し難い環境がつくられてしまった。
けれども、やっとそこから抜け出せる可能性が、社会のさまざまな領域で見え隠れし始めているのを感じます。
ずいぶんと時間がかかってしまいましたが、世界を良い方向に進めるために、発想力、想像力の真の力を十分に発揮できる環境が広がると良いなと思います。
最近、にわかにAIが創造力を発揮し始めたかのように思える場面が増えてきましたね。
ですがそれは、実際には私たちの想像力の賜物です。
想像力の発揮を感じるのは、変わらぬ日常の現実とは何か違うところを感じるから。
その違いが、脳の中であるべき姿として定着している情報のつながりを超えて、
こんなつながりが許されるんだ!
という驚きをもたらすことで、生命の安全を維持するために必要な認知の制限の枠が外されるからですね。
ですから、AIが生み出す少し変なところにも想像力を感じてしまいます。
その力を私たちにとってプラスの方向に使っていければいいですが、扱い方には気をつける必要がありますよね。
今後ますます高度されると考えられるAIが作った文章や物語にも気をつける必要があると思います。
心理学の領域でも物語の効果は様々に定義されていますが、物語には個々の知識を関連づけて記憶に定着させる効果があります。
つまり、AIが作り出す物語が人の記憶や判断に影響を与える可能性が高まるということです。
今のところAIが出力しているのはデータの学習の結果ですが、高度な量子コンピューティングと多様なセンシングデータのインプットが得られた瞬間に、AIは人間と同等以上の想像力に見える力を発揮するようになるでしょう。
個人にとっての様々な判断を、外に委ねることなく自分の自身の思考に基づいて出来るようになることがとても大切になると思います。
そして、そのとき人間に残される大切な要素は、個性だと思います。
個別の時間を積み重ねてきたことで得られる違いこそが大きな価値になるはずです。
同じような空間と時間の中だけにいたのでは、その価値はなかなか高まらないということになります。
その違いは、しばらくの間はデジタル空間を利用することによっても高めることが可能だと思います。
そして、その結果は次第にリアルな世界にも反映されるようになるはず。
それぞれの個人にとって最適な、専用の不思議な道具や構造空間が、デジタルとリアルの両方でつくられる世界が生まれてくるだろうと考えています。
個性を強化するには、まず自分の想像力だけを頼りにして考えることが大切。
ですが今の世の中は、素早く答えを出すことのほうが強く求められてしまいます。
確かに、正しいデータを基に素早い判断や決断をすることは大切ですし、社会の発展においても、それはとても重要な要素だと言えます。
しかし同時に、自分の想像力だけを頼りにして考えるということを続けなければ、創造力は鍛えられないでしょう。
想像力から生まれる創造的な答えでなければ、自分自身が本当に求める根本的な解決には至りません。
企業や組織でも、学校でも、現状を打破するために今、高める必要があるのは想像力から生まれる創造の力だと思います。
その発揮を今後さらに強力に支援する必要がありますよね。
実現に向けた課題があるのなら、そのこと自体を問題点として整理し、想像力を発揮すべき一つの解決目標にしてしまえば良いと思います。
臆することなく改善を訴求することが可能な場があれば、想像力と創造力が必ず解決をもたらすはず。
そのために国や行政が支援できることも沢山あると思います。
すこしの工夫で出来ることの幅は大きく広がるでしょうし、効果も大きく変わるはず。
発想に効果的な仕組みをさらに追加して、プラスのスパイラルが継続して発生するように。
あらゆる分野の技術を高めて繋ぎ、アイディアの実現を支援することが出来るように。
個性の力を信じてみんなで前に進めると良いですね。