あらまし

2017年以来6年をかけて、ルービックキューブに類する立体回転パズルで地球儀柄のものを14種を新たに考案・開発したのでここに紹介する。考案・開発したのは全ての正多面体5点(正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体)、半正多面体4点(立方八面体、二十・十二面体、菱形立方八面体、菱形二十・十二面体)およびカタランの立体4点(菱形十二面体、四方六面体、菱形三十面体、六方八面体または二重二方十二面体)と球体。正四面体と六方八面体を除く11点については、市販のパズルに3Dプリンターで作成した部品を取り付け、地球儀の図柄を付すことで誰でも入手可能である。立体の一つの面に図柄を一枚だけに限定した状態では8つの立体(正八面体、正二十面体、四方六面体、二十・十二面体、菱形立方八面体、菱形二十・十二面体、四方六面体、六方八面体)しか作れないが、二枚まで許容することで残る5点並びに全ての正多面体をデザインすることができた。私が考案・開発した地球儀パズルは何と言っても機能的な美しさがあり、幾何学、地球の地理学、地図作成学を楽しく勉強するのに役立つことが期待され、教育の分野を中心として多くの人に活用してもらうと良いと考えている。

 

背 景

ハンガリーの建築学者エルノー・ルービックが1980年にルービックキューブを開発して以来、立方体以外の様々な種類の立体や、ルービックキューブのような3層のもの以外の多様な層を持つパズルがこれまでに世界中で作られ、市販されてきた。地球儀柄のパズルも以下のようにいくつか市販されており、これらは地球儀を楽しく勉強するのに良い。しかし、市販されているものはそれぞれのピースに地球儀が細かく分断されすぎて美しさやわかりやすさが犠牲になっているか、または地図のわかりやすさを優先したものは幾何学的にはあまりにも単純化されている。このようなことから、筆者は地図の美しさを保ちながら多様な立体をデザインすることを思い立った。

 

普通のルービックキューブを地球儀柄にしたもの

 

球形にした地球儀柄の2層のルービックキューブであるルービックアース(メガハウス、日本)

 

同様の地球儀柄のパズル (V-cube、ギリシャ) 

 

デザインの方法

ルービックキューブに類する立体回転パズルで地球儀柄のものを新たに考案・開発した。原則として、市販されている立体パズルに3Dプリンターで作成した部品を取り付け、地球儀の図柄を付すこととした。地球儀柄が見えにくくならないように、パズルのそれぞれのピースに付す地球儀の図柄は二枚までとした。3Dデータは無料の画像ソフトであるBlender(オランダ)でデザインした。パズルのピースを出力する3Dプリンターは市販のDaVinci 1.0 (XYZ printing、台湾)を用い、材質は黒のABSとした。3Dプリンターで出力したパーツは市販のパズルにABSをアセトンで溶解したもので接着した。地球儀柄はこちらのNASAのBlue Marble Next Generationに基づくウェブサイト(現在は不明の理由により公開終了している)からダウンロードしたもの、およびそれらをAdobe Photoshopで加工したものを用いた。図柄はエーワン ステッカーNo. 29429に印刷して貼付した。

 

開発したパズルを見る