税理士実務の上で、多くの税理士が気にかけるのは国税庁通達
とりわけ財産評価通達はややこしい
外部に公表されている財産評価基本通達や非公開通達(内部通達・事務連絡通達等)があったり
かつては、大阪国税局と東京国税局で取扱いが異なっていたりしてややこしかった
異なる取扱いとして思い出深いのは10%減額規定=利用価値が著しく低下している宅地の評価だ。
今では国税庁のタックスアンサー№4617(H24.07.03現在掲載)に記されているが、通達ではない
この規定は
1.道路より高い位置にある宅地又は低い位置にある宅地で、
その付近にある宅地に比べて著しく高低差のあるもの
2.地盤に著しい凹凸がある宅地
3.震動の甚だしい宅地
4.騒音・日照阻害・臭気・忌み等により、その取引金額に影響を受けると認められるもの
この基準に該当すれば、通達で評価した金額の10%を減額できるというもの。
この規定は、以前は東京国税局の評価通達にあった。大阪国税局には、そのような取り扱いはなく、東京の税理士さんが出した相続税申告書に接して初めて知った。
その後、地価税が導入されて、評価通達の一律化が行われた
他にも、大阪国税局は東京国税局への対抗意識丸出しで対応をしていたが、結果的に東京国税局プランで統一された。
このように、財産評価については、基本通達・個別通達以外に、国税庁HPのタックスアンサーや質疑応答事例集。国税局幹部編集とされている実務問答集などの書籍が考え方を外部に示している。
しかし東京地裁が国税庁通達の一部を否定した。
つまり、財産評価基本通達で定めた非上場株式の評価方法に合理性がないと判断したのだ。
東京地裁は財産評価の一律適用は合理性がなく、個別事情も勘案した判断をすべきと判示した。
画期的な判断と評価したい。国税庁通達は絶対ではないのだ。
しかし、考えて欲しい。租税法律主義を採用している日本では、課税の基準は法律で定めることとなっている。法律には「時価」としか定めていない。
相続税などの税額決定の基準は、路線価も含めて通達で定めている。これは、毎年1月1日現在の評価額を示している。これを12月31日に亡くなったかたに一律適用していいのだろうか。
国税側は評価水準を80%にしているから、下落の誤差は時価の範囲だという。
しかし、結果的に評価水準の異なる課税をよしとする国税側の論拠は、自らの都合を優先させる考え方でしかない。
相続税などの現在の課税システムは国税庁の考え方=通達で課税額が決定されるのだ。国会の審議を経ることなく、一方的に決めた通達で課税することの怖さを、みなさんは理解しているだろうか
この基準に合致しない申告書を出せば調査され、場合によっては加算税や延滞税などの罰則がかかる
法律を誤って申告すれば加算税がかかるのは理解できるが、考え方が違うからと罰則がかかるのは納得がいかない。
日本の税務行政のあり方を考える必要があると思う