デンゼル・ワシントン主演のヒーロー映画の完結編です。

 原題は「The Equalizer 3」ですが、邦題には完結であることを示す「ファイナル」がつけられました。本当にファイナルかなと思います。

 本作はイタリアのシチリア島が舞台です。

 イタリアといえばマフィアですが、本作もマフィアの麻薬密売を巡り、CIAも巻き込みながらマッコールが活躍をします。
 CIS捜査官を演じるのは子役で名を馳せたダコタ・ファニングです。1作目に出演していたクロエ・グレース・モレッツに比べると印象が変わりました。
 また、1作目と同様に負傷してストーリーからは途中退場してしまうことでヒロインになりきらないのが本シリーズの特色です。
 あくまで一匹狼の活劇です。

 負傷して滞在することになった田舎町にすっかり馴染んで、ついに安住の地を見つけたマッコールでしたが、地元のマフィアに搾取される罪なき人々を見て、傍観できるわけもなく、マフィアの一網打尽に乗り出します。

 こうなるとまさに西部劇や日本の「座頭市」シリーズとおなじパターンです。

 それまで苦しめられてきた人々が外からやって来たヒーローに救われる物語です。そんな町の人々もただ泣き寝入りするのではなく、マッコールと共に立ち上がる展開が良いです。
 また、麻薬で荒稼ぎしていたボスを麻薬の過剰摂取で殺害するという方法論も皮肉的で秀逸です。
 そもそもなぜマッコールはシチリアまで来てマフィア組織と関わったのか、ラストで明かされるオチも魅力的です。

 人助けという人情噺は日本人が好むジャンルです。テレビ時代劇もスーパーヒーローものも、その多くは人助けという人情噺が骨子になっています。
 意外とハリウッド映画では扱われないテーマです。

 ハリウッドのヒーローは大きく世界を救うか、愛する個人を救うという物語が圧倒的に多く、通りすがりの困っているひとを助けるという「おせっかい」はあまり描かれてきませんでした。
 社会が個人主義化しているためかもしれません。

 本作の「自分にできることがあるならやりましょう」という動機は、ボランティア精神ということなのかもしれませんが、日本人の私にはやはりテレビ時代劇的な人情噺に見えます。

 元々はテレビシリーズだったということですが、どこかのプラットフォームでドラマ・シリーズが再開してもおかしくない作品です。