2008年に公開された「アイアンマン」から数えて、アベンジャーズ・シリーズ22本目で、シリーズの完結編です。

 4作目の「マイティ・ソー」までは面白いなと思っていましが、さすがに10作を超えたあたりから、追いかけるのに体力が必要になりまして、20作目の「アントマン&ワスプ」を未見のまま「キャプテン・マーベル」「アベンジャーズ/エンドゲーム」と劇場鑑賞しました。
 本作は「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」と直結する作品で、「アントマン&ワスプ」「キャプテン・マーベル」は時系列的には過去の物語なので、本作の展開にはキャラクター紹介以上の影響はありませんでした。
 この膨大なシリーズは、ストーリー的に直結しているのは一部のみで、多くの作品はあくまでキャラクターやアイテムの紹介に徹していますので、途中参加がしやすいというのが製作会社の配慮です。

 とはいえ、「アベンジャーズ」だけ拾い見しても、キャラクターがごちゃごちゃと増加しまくって、誰がなにをしているのかよくわからないでしょう。

 また、2017年公開の17作目「マイティ・ソー バトルロイヤル」からコメディ要素が一気に増強されて、あからさまに路線変更をしています。
 こと「ソー」は完全にコメディ・キャラになってしまいました。

 アベンジャーズ・シリーズはアイアンマンとキャプテン・アメリカをツートップとするチーム構成がなされ、それぞれの確執と共闘が描かれました。
 けれど、物語を展開させるキーは、やはり強いキャラクターが担わざる得ないので、科学で強化された人類よりも、神様であるソーが本質的トップキャラとして機能していました。
 ところが、前述の通りいきなり3枚目キャラとなり、今作では完全にボケ役で、突如シリーズ参戦したキャプテン・マーベルが宇宙最強ヒーローとして横入りとなって驚きました。

 昨今のハリウッドの闇を感じます。女性が男性のアシストやフォロー役ということができないのでしょう。

 また、それぞれのヒーロー映画において似たような登場人物の配置がなされるという都合上、これが一堂に介すると、ポジションの被るキャラが多く、それぞれ1回しか見ていないと、バックボーンの思い出せないキャラも目立ち、キャラクター祭りの弊害を感じます。
 人類滅亡ではなく、半滅という設定が危機設定として面白かったのですが、キャラクターを整理したかったのかなとも思いました。

 アメコミヒーロー映画の名画「スーパーマン」で、時間を巻き戻して危機を救う演出に、それをやっちゃおしまいじゃないかと子供心に思ったものですが、今作もまさかのタイムスリップで事を成し遂げます。
 ただ、過去に戻るということは、それ自体も現時点から見て未来のことだから、現時点を変更することはできないというタイムパラドックスの解釈は面白かったです。
 ちなみに私が学生の頃に書いたSFでは、過去に戻る未来も結局は過去なので、未来は一切変えられないというもので、まぁタイムパラドックスなんて不可能図形みたいなものなので、結局は魔法で元通りと同じかなと思います。

 アメコミの原作は読んだことがありませんが、時々キャラクターが死んでしまい、中の人が代替わりをしているようです。

 今作でもアイアンマンが降板となりまして、後日談として「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」が公開され、全23作品の「インフィニティ・サーガ」が完全完結ということだそうですが、第2サーガの準備も始まっているとのことです。また10年掛けて、同じ物量でシリーズ展開がなされるのでしょうか。

インフィニティ・サーガ(全23作)
フェイズ1
『アイアンマン』(2008年公開)
『インクレディブル・ハルク』(2008年公開)
『アイアンマン2』(2010年公開)
『マイティ・ソー』(2011年公開)
『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011年公開)
『アベンジャーズ』(2012年公開)
フェイズ2
『アイアンマン3』(2013年公開)
『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』(2013年公開)
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014年公開)
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014年公開)
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(2015年公開)
『アントマン』(2015年公開)
フェイズ3
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年公開)
『ドクター・ストレンジ』(2016年公開)
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017年公開)
『スパイダーマン:ホームカミング』(2017年公開)
『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017年公開)
『ブラックパンサー』(2018年公開)
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年公開)
『アントマン&ワスプ』(2018年公開)
『キャプテン・マーベル』(2019年公開)
『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年公開)
『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(2019年公開)