久々の吉村昭
彼の表現する「人間の極限、精神の極限」には鈍く重い迫力がある。
『逃亡』
戦時中、霞ヶ浦航空隊で整備兵だった少年が、ふとした運命の糸のもつれから軍用機を爆破する。
真犯人であることの露呈を恐れ、怯えながらの逃亡生活を続けるが、その苦難のドラマは、私たちに これでもかと少年の精神に肉迫させる。
自分が少年と同じ立場なら、はたしてこのように、逃げ続ける勇気(?) があるだろうか。
苦しみながら「生」を求め続ける少年に、なぜか今の自分がオーバーラップすることがある。
普通のありふれた、当時の少年が、過酷な運命に翻弄する展開に、目が離せない。
