駄文1
さて、ベンストン論文の翻訳が終わって、またもや私の駄文コーナーとなった。
この論文の最終部分を訳し終わった日がちょうど、オバマ大統領の就任演説の日であった。超個人的だが、ある種の感慨を禁じえない。彼の演説の中で、「自分のお父さんが六十年前にこの国で、レストランに入ることを拒否された。そしてその息子が今この壇上にいる」と語ったとき、さすがに涙腺がゆるみそうになった。おりしも、岩波書店の月刊誌「世界」に、オバマ大統領に関して、
アメリカ黒人に関する特集記事があり、その中で、黒人文化の研究家である女史が、ラルフ・エリソンの「インビジブル・マン」にふれた箇所があった。「インビジブル・マン」とは、見えない人ではなく、諸権利をもたない、あたかも存在していないような二級市民という意味であると述べられている。このことは、現在からは隔絶した感があるが、これも五十年代から始まる「公民権運動」という黒人大衆の政治運動だけではなく、その背景には、多くの詩人、小説家、哲学者、音楽家(ブルースマンとジャズマン)といった黒人の大いなる思想的営為があることが、ベンストン論文を読むと、そう感じられるのだ。
ところで、私は著者のキンバリー・W・ベンストンに対して、この論文への礼状をメールで送ったところ、彼自身から「興味をもってくれてありがとう」という返事を得た。
とりあえず、上記報告まで。