夢の話3 | オーナーの読書室

夢の話3

 むこうに見えている緑をもう少し見ていたいと思ったので、目の前にある道を歩き続けることした。それは、私が少年のころよく歩いた六甲の山道のように細く続いている一本道であった。よく見るとそれは、川の土手の上にあった。それにしても、はるかむこうに見えている緑は何とすがすがしいのだろう。そうやってしばらく歩いていると、やがて、その小道が、谷の底のほうへつづく下り坂になっていた。下り坂は登るよりもずっと楽である。私は、思わずどんどんとその道を下っていった。そしてほぼ谷底に着いたと思われるころ、何気なく今歩いてきたうしろを振り返ると、その道は到底引き返して、登れないような構造になっていた。ほとんどだまされているかのように、それは崖(がけ)の急斜面の様相を呈していた。―――そんなはずはない。たった今、歩いて下ったのだから、登れるはずなのだが、今見ている光景は、それが不可能であることをものがたっていた。戻れないとしたら、前にすすむしかない。いやな不安が胸をよぎった。まるで罠にかけられたようだ。これは夢だとわかっていても不安が広がってくる。とにかく、谷の中央に行けば、水が流れているだろうと思って私は、やみくもに草むらの中を歩きだした。


 するとやがて、草むらの中に木で囲われた一角があるのを私は見た。そして、その囲いの中にいたのは、一人の裸女で、その女が私をじっと見ていた。


 ―――その瞬間、私は覚醒した。


(後日、その最後のイメージは、去年読んだ英国の女流作家ケイト・モスの

「ラビリンス」(迷宮)という小説に出てくる異教徒の姿であった)