タイトルの大統領とはアメリカの大統領で、
決断とは大陸間弾道ミサイルを発射する決断。
ルポ アメリカの核戦力 「核なき世界」はなぜ実現しないのか :渡辺丘
の中で、元国防長官ウィリアム・ペリーが著者に語った言葉です。
誤警報によって核戦争を招く危険性があり段階的にやめるべき、
という立場で「核兵器を不道徳」とする93歳です。
アメリカの元国防長官が不道徳とする「核の傘」に、
今もこれからも守られたい日本人は、
一度、大陸間弾道ミサイルの発射基地を視察してほしい。
そこでは20代の若者たちが大統領の命令に従って、
核兵器を発射する任務を交代で背負っています。
<大統領が核兵器の使用を命じると、
核戦略を統括する戦略軍司令部を通じて発射が指示される。
軍司令部から発射管理センターに直接指示が下される。
部隊の上官は意思決定に加わらない。
一度決定が下されれば、この若者たちがすぐに命令に従い>
核兵器使用の責任を負う人が少なくて済むシステム。
唯一の核兵器使用国としてアメリカが背負っている罪の意識は、
一方的な被爆国である日本人には理解できないものです。
2010年にプラハで行われた演説でオバマ元大統領が、
「核兵器のない世界」を掲げたことに不安の声を上げたのは日本でした。
アメリカには、「日本の核武装が可能になると、
自分たちに復讐するかもしれない」という不安があるので、
アメリカの「核の傘」で守ってあげる、と約束しています。
それが核兵器のない世界をめざす、なんて言ってしまったら・・・
核保有国に囲まれた日本が不信感を抱く、と懸念したアメリカは
自国の核戦略について日本側と情報を共有する羽目に。
核兵器に反感を示しながらアメリカの核の傘を受け入れる
そんな日本は発言が偽善的に受け取られる、とペリー氏。
いざという時は核兵器使用を決定しなければならない立場のアメリカ。
発射実験を担当するコルバート大佐は、こう述べます。
<ほかの兵器は人工知能などで自動化されるかもしれないが、
核兵器は常に人の手で運用されなければならない>
他国の大統領に核発射の決断をさせて仮想敵国に対抗する日本。
この厚顔無恥ぶりには、ウの国の大統領に似たものを感じます。
核の実験場となった地域の被爆者のこともリメンバー