旅行先で読み終えた一冊です。
真似のできない女たち ――21人の最低で最高の人生 (ちくま文庫) | 山崎 まどか
日本ではあまり名前が知られていないけれど、
太平洋戦争後40年代から70年代にかけて、
アメリカで活躍した女性たちが紹介されています。
最盛期には華々しい活躍をしたにもかかわらず、
21世紀に入ってからその仕事が評価され、
アメリカにおいても見出されたのが最近という方々。
大胆な配色で有名なテキスタイルデザイナー、フローレンス・ブロードハースト
シンガーソングライターの開拓者、コニー・コンバース
ケネデイ大統領夫人だったジャクリーヌの従妹イディ・ブービエは、
ハリウッド女優になる夢を見ながらマンハッタンにあるボロボロの邸宅で、
介護の必要な母親と貧しい暮らしを続けていましたが、
とある取材がきっかっけでその暮らしぶりが映画になりました。
その作品「グレイ・ガーデンズ」で二人は初めて女優として輝き、
現在でもドキュメンタリー映画の傑作として知られているそうです。
今でこそ男性までが登場するテレビの料理番組、
その元祖ともいえる女性がジュリア・チャイルドです。
もともと料理は得意ではなく夫とともに渡ったフランスで、
本格的フランス料理を学び論理的で実践的な料理本を出版します。
彼女を見出した編集者は、
上司が出版を見送ろうとしていた「アンネの日記」を世に出した女性。
その後テレビ番組「フレンチシェフ」の主役として大活躍しました。
カリフォルニア州にある「ロータスランド」という庭園の、
かつての持ち主である元オペラ歌手(?)ガナ・ワルスカ。
6度の結婚で裕福な夫たちから財産を取り立て、
中には邸宅や車はもちろん、離婚時にパリの劇場を譲渡した男も。
自身の肉体を武器に男から搾り取って贅沢の限りを尽くす女。
男=与えるべき強者、女=与えられるべき弱者、という構造は、
アメリカを男女平等だと思っている日本人には理解不能ですが、
その財産で彼女が作った庭園は今も園芸の世界に大きな影響を与えています。
あの時代だからこそのドラマチックなアメリカンウィミンの
<安定した家庭生活や経済状態とは無縁で世間的には幸せとはいえないけど、
夢やビジョンをかなえるために奮闘し周囲と軋轢を生じても、
頑固に自分だけの世界を守り続けた>強くてまっすぐな生き方。
前書きの中で著者は<今にも通ずる女性の普遍的なテーマ・・・
母親との関係、女性が一人で仕事をしていくことの難しさ、
独身者の孤独、世間から承認されたいという切なる願い・・・
彼女たちはひょっとしたら、私たちの鏡像なのかもしれない>
と述べておられましたがそこは「真似のできない女たち」
女性の人権を守る法律などなかった時代の話を読むと、
わが娘にはフツーの男とフツーに結婚して、
出来れば子供も産んでフツーに幸せになってくれればいいわ、
と思う、人生の一時期は結構ブッ飛んでいた節約社長夫人です。