経済学者の成田悠輔氏(アメリカの永住権あるなら早く本業に戻れ)が、
過去の「問題発言」を理由にキリンの広告を取り下げられましたが、
キリンもこの「発言」を知ってて話題性があるからと起用し、
ネットで「氷結無糖」の#不買運動が起きたからキャンセル、って、
相変わらずの「ジャニーズ性被害問題」ですなあ。
成田氏は2022年1月、日本の少子高齢化対策として
<『安楽死の解禁』や、将来的にあり得る話としては
『安楽死の強制』みたいな話も議論に出てくる」と語りました。
日本のマスメディアは「高齢化社会への対応策としての持論である」
として深掘りしませんでしたが、
翌年の2月に『ニューヨーク・タイムズ』が、
成田の発言は特定の年齢層(あるいは属性)の人々に対する
排除の思想に繋がると問題提起、各国のメディアが追随>しました。
欧米人が成田氏の「安楽死発言」を問題視したのは、
「安楽死」や「尊厳死」の問題が彼らにとっては身近であり、
ナチスによるユダヤ人や障害者の抹殺の歴史もあるからです。
安楽死が合法の国で起こっていること (ちくま新書) 児玉 真美
日本では安楽死も尊厳死も積極的安楽死も消極的安楽死も、
混同されたままで議論が進もうとしている、と著者は述べます。
現在いくつかの国や州で合法化されている「安楽死」は、
<救命不能となった終末期の人が、
耐えがたい痛みに苦しんでいる場合の最後の救済策>で、
本人が自分の意志で生命維持装置をはずすというものであり、
自殺願望を抱える高齢者を誘導するものではありません。
著者は、日本で安楽死が合法化されることは、
欧米以上にリスクが大きいと考えています。
何せ日本の医者と患者は対等な立場ではないし、
高齢者が死にたがる一番の理由は、
周囲に迷惑をかけたくないから、というもの。
自分のためではなく周囲のために死を選ぶのは、
「人権」を尊重する欧米の安楽死とは全く別物です。
生きることが苦痛だからと自殺を選ぶ人が多い日本では、
患者に自己決定権がある「安楽死」ではなく、
治る見込みのない患者の「尊厳死」の議論の方が盛んです。
しかも、その対象には痴呆老人や重度心身障害者も含まれつつあり、
ナチスによる障害者抹殺計画(T4作戦)と変わりません。
著者は自らも重度障害者の親ですが、
あくまでも障害者の親の立場ではなく、
医療従事者として患者に寄り添う専門的立場から、
日本で進められる安楽死・尊厳死の議論に警鐘を鳴らしています。
「安楽死」合法国での様々な実例を紹介する一冊。
周回遅れの日本では、今の高齢者よりも、
「将来の高齢者」にこそ降りかかる問題なのです。
人権国家アメリカに永住する成田氏には関係ないか・・・