👆昨日の拙ブログでチラッとご紹介した一冊。
中心になっているのは、高い費用を払って来日する、
ベトナムの技能実習生のリアルと闇のお話です。
朝から晩まで働いたのに給料が遅れる労働条件の悪い職場、
経営者から性的暴行を受けても口にできない精神文化、
ひどい扱いをされても転職することができないので
(金儲けではなく技能取得というのが建前の制度だから)
我慢できなければ失踪するしか方法がない技能実習生。
技能実習生はなぜそんなに我慢して日本で働くのか。
企業から技能実習生の依頼を受けた日本の「管理団体」は、
ベトナムの「送り出し機関」(民間)に求人票を出します。
それをもとにして「送り出し機関」は実習生を募集・選抜します。
技能実習生は「送り出し機関」に対して高額な紹介料を払いますが、
多くは借金で賄っているのでそれを返済しなければなりません。
自身の生活費、家族への仕送り、さらに貯金もしたい彼らは、
お金のためならつらいことも我慢してしまいます。
ネットや報道で「技能実習生は奴隷であり人身売買だ」
という日本の悪い評判が世界中に広がったため、
政府は紹介料を払わずに日本で働けるシステムを作りました。
それが外国人が直接日本の企業と労働契約を結べる、
<特定技能外国人>という制度です(2019年に新設)
「技能実習制度で国際貢献」なんてどうでもいいから、
外国から直接労働者を呼びましょう、と開き直ったのです。
ところが初年度の受け入れ人数は想定の2パーセント。
多くの国、特にベトナムがこの制度を受け入れない。
なぜかというと「送り出し機関が儲からない」からです。
ベトナムの政府からして、自国から日本に人材を派遣して、
そこで稼いだお金をベトナムに還元するのが目的ですし。
問題なのは労働条件以上に制度で金儲けを謀る輩なのです。
少しでも稼ぎたいので残業があって天候に左右されない職種が人気。
「送り出し機関」の紹介料が高くなる理由の一つが、
優先的に求人票をもらうために日本の「管理団体」に対して、
「接待」や「裏金」が必要だったことです。
この「自民党パーティー券問題」なみの悪習は、
以前の日本の「管理団体」が中国の「送り出し機関」から、
過剰な「接待」を受けてきた、その名残なのだそう。
中国からの技能実習生が減りベトナムがそれにとってかわり
中国の「送り出し機関」のノウハウが受け継がれたのです。
(中には「勘違いするな」と激怒する日本の管理団体もいますがんばれ)
今も、ベトナム人は相変わらず技能実習生として来日しています。
日本で働いてきた近所の人が新しい家を建てているのを見ると、
多少のことは我慢してしっかり稼ごうという励みにつながる。
それに日本語を覚えれば帰国したあとも、
自国よりは待遇がいい日系企業で働くことができる。
そのうち、ベトナムが豊かになると日本で働く人も減るでしょう。
もっと先が見通せるように「増税メガネ」の度数を上げていただきたい。