「クライテリオン」3月号 但馬オサム氏のコラムより
<昨年大晦日のNHK紅白歌合戦が歴代ワースト視聴率を更新した
・・・なんとKポップ・グループが6組も出場していたという>
<とにかく結果が全てをあらわしている。
Kポップが日本の若者に大人気というマスコミの評判は
多分に作られたものであることがこれではっきりしたかと思う。
というよりもこういった「若者ねらい」のあざとさに、
一番敏感なのは当の若者たちではないか>
Kポップ=韓国芸能人 と受け取られるような書き方ですが、
出演した6チームのメンバーは半分近くが日本人です。
日本人だけのグループもあって、それがなんと、
韓国の芸能プロからデビューしているというのも悲劇です。
とにかく韓国は国内市場が小さいので、
海外、主に日本で活躍するしか道がないだけなのです。
ところで但馬オサム氏は、
今、日本のアバンギャルディにはまっています。
いわゆるギャルから人気がない系の制服。
2022年に発足した「謎の制服おかっぱ集団」で、
ネット上で世界中から人気を集めているそうです。
ビジュアルはダサいほどに保守的でありながら、
切れのあるダンスにコミカルな動きで見る者を圧倒し、
2023年には「アメリカズ・ゴッド・タレント」という番組で、
決勝戦まで進出し優勝は逃したものの、
会場からスタンディングオベーションも起こりました。
日本の良さはそのエキゾチックさなのです。
Kポップが西洋的な「かっこよさ」を求める一方で、
彼女たちはダサさで勝負、それが外国ではユニークに見えるのです。
たとえば映画「シン・ゴジラ」について但馬氏はこう述べています。
<超兵器も芹沢博士も・・・ヒーロー的な軍人も登場しない。
出てくるのは政治家と官僚、役人、自衛隊員で、
主人公もいまいち誰なのかも明確ではない。
西洋人から見たら黒い目の似たような顔立ちの日本人が、
似たような背広を着て会議ばかりしている・・・>
<しかして、イギリス人、フランス人の友人からそろって、
「面白かったよ。日本人があの震災をどのように耐え抜き、
コロナにどう打ち勝ったのかが何となくわかったような気がする」
と言われたときは自分が褒められたかのように面映ゆかった。
いわば『シン・ゴジラ』は日本人自身が思う
日本人的ダサさが人類を救う物語だったのだ。
我々はもう少し日本人的ダサさに誇りを持っていいのかもしれない>