先日テレビ番組の中でロシア専門の中村逸郎氏が、
「ウクライナ侵攻は3か月で終わると予想してましたよね」
と杉村太蔵氏から嫌味を言われていました。
「文藝春秋」新年特大号に掲載された
「ウクライナ戦争の真実ー
プーチンの論理と日米関係の矛盾」は、
歴史人口学者のエマニュエル・トッド氏と、
元外務省主任分析官の佐藤優氏、そして、
慶応義塾大学教授の片山杜秀氏による対談です。
トッド氏は文藝春秋の5月号で、
「第三次世界大戦はもう始まっている」を寄稿しました。
当時の日本のメディアはウクライナ擁護一色で、
「勇気が足らない」佐藤氏は「文藝春秋」には、
思っていることが書けなかったそうです。
お二人とも、どちらが悪か正義かではなく、
双方の実状を分析して見解を述べているのですが、
なぜか西側諸国ではウクライナを擁護しないと、
親ロシア派だと決めつけられ、言論が制限されます。
佐藤氏は「プーチンの野望」という著書を、
<かなりの攻撃を覚悟>して出しました。
その刊行直後にトッド氏の本である、
「第三次世界大戦はもう始まっている」が出版され、
<おかげで助かった>と言います。
ところがそのトッド氏も、
<フランスではそこまでの勇気はありません。
同じ内容をフランスで同時期に発表していたら、
私は社会的に抹殺されていたと思います。
半年たって、ようやくこの戦争に関する自分の見解を、
「マリアンヌ」誌に少しずつ書き始めたところです。
私にとって日本は一種の安全地帯>
と説明します。フランスの自由ってわかりにくいわ~
日本の「報道の自由度」は世界的にも低く、
テレビや新聞の報道内容も、もどかしく感じますが、
出版については意外に自由なのですね。
トッド氏が「マリアンヌ」誌に載せた記事は、
<西側とロシアの間で、
それ以外の世界はロシアを選びかねない」
さすがに今の日本のマスコミでもなかなか言えません。
でも、日本はいつもアメリカと共にある、かと思いきや、
<ロシア極東の石油と天然ガス採掘プロジェクトである
サハリン1とサハリン2の権益も日本は維持しているし、
ロシアに入漁料を払ってサケマスを獲る仕組みも維持>
こちらも意外に自由というか懐が深い日本です。
フランス人のトッド氏は日本についてこうも語っています。
<大事なのは自分の価値観を押しつけない謙虚さです。
その点、日本は・・・やたらにメッセージを出さない、
その謙虚な態度自体が、
世界に対するメッセージになるかもしれません>
フランスでは禁止されているヒジャブの着用も日本ではOK。