先日、NHK‐BSの番組で紹介されていた永井陽右さん。
大人に反発しクラスメートをいじめる側にいた高校時代、
海に沈みそうな島、ツバルのことをたまたま知って、
自分のこれまでの行いを反省し、他者の身になって考え、
世界で一番いじめられている人たちのためになろうと決意。
教科書でルワンダのことを知り、島より人の命を救おうと、
偏差値40からの早稲田大学合格。
受験勉強のモチベーションは、
ルワンダを救うんだ! という使命感だったそうです。
ところが大学に入って実際にルワンダに行ってみると、
内戦は17年前の話で、すっかり治安のいい国に。
目的を失うも、せっかくなのでケニアを訪れて、
そこで出会ったタクシー運転手との会話がきっかけで、
無政府状態で内戦が続きテロリストが横行するソマリアを知り、
僕が救わなければ、と新たな使命感を抱きます。
「大学1年時からソマリアを救うための団体を立ち上げ、
ソマリア人の若者ギャングの社会復帰プロジェクトを開始。
卒業後はソマリア紛争の最前線に立ち、
国連やアフリカ連合とともに、
カウンターテロリズムと武装解除に取り組んできた。
現在はソマリアだけではなく、
ケニア、ナイジェリア、新疆ウイグル自治区などで
テロ根絶と紛争解決に尽力している」(ネット記事より)
永井さんが悩んだときに背中を押してくれるのが、
「国境なき医師団」の元医師、山本敏晴さんの言葉です。
『本当に意味のある国際協力』とは、
自分がやりたいことをやって『自己満足にひたる』ものでも、
自分に専門性があることをやるのでもなく、
『それ』が必要なことであれば、
自分がどんなにやりたくないことでも実行し、
専門性が必要ならそれを身につけていこうと努力してゆく、
『姿勢』を言うのである」
番組の中で永井さんはこう語っていました。
元テロリストの若者の社会復帰支援に必要なのは、
指導や矯正ではなく、受け入れること。
大人に反発し苦い経験をしてきた永井さんだからこそ、
絶望の中で武器を手にしてしまった若者たちの心に、
自然と寄り添うことができるのかもしれません。
私の教え子で、何かにつけて反抗的だった少年も、
成人し、救急隊員として活躍しています。