
中山七里・作
連続殺人鬼カエル男を読みおえました。
表示のイラストや
カエル男🐸と言うタイトルからは、どこかユーモアな雰囲気を連想しますが、読み進めていくうちに、サイコサスペンス小説とわかりました。
ブログ管理人のわたしは、
サイコサスペンス小説は好きなのですが
なんだかこの小説は読んでいて
後味悪い



って思いました。





また、単なるサイコサスペンスにとどまらず
随所に「社会」や「群衆」の描写が見られていて、そこに問題提起が含まれているような気がしてなりませんでした。
本作品の中には
刑法第39条が出てきます。
刑法第39条についてはネットで調べたこちらの記事を参考にしてくださいね。
簡単に申しますと心神喪失者の犯罪行為についての刑法です。
殺人事件などのなにか犯罪行為をしても、責任能力が無いと判断されたら罪には問われないのです。
簡単なあらすじですが
🐸🐸🐸🐸🐸🐸🐸🐸🐸🐸
事件の舞台となるのは
埼玉県の飯能市です。とある
マンションで見つかったのは、一糸まとわぬ姿の女性が口からフックで吊られている死体でした。
その付近には、子どもが書いたようなまるで幼稚な犯行声明文がありました。
本の中より、その犯行声明文を引用いたします。
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きょう、かえるをつかまえたよ。
はこのなかにいれていろいろあそんだけど、だんだんあきてきた。おもいついた、みのむしのかっこうにしてみよう。くちからはりをつけてたかいところにつるしてみよう。
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ひらがなだけの幼稚な文章。そして、口からフックで吊るされた女性の他殺死体は文字通り、みのむしのかっこうでした。
これが、あとになって殺人鬼のカエル男と呼ばれる犯人によるはじめての殺人だったのです。
刑事の渡瀬と古手川は捜査に乗り出しますが、この事件はこれから起こる最悪の出来事の発端に過ぎませんでした。
犯人像はちっとも見えて来ないのに
死体から見えてくることがありました。それは犯人は死体を死体と思っていないこと。
単なるオブジェとしか考えておらず、それは異常者の考えでした。
この吊るされた死体の箇所で
JAZZのビリー・ホリディの
「奇妙な果実」の描写が出てきます。
やがて第2第3の事件が起きるのですが、被害者たちには、
全員が有る歯科の患者だったという共通点がありました。
この事と
ナツオという、男子とも女子とも解釈出来る名前が重要な手がかりになりますよ。
ブログ管理人が読み終えて思った事は、
「何が正常で何が異常なのか」という事でした。
真犯人はサイコパスには違いないのですが
真犯人が幼少期に実の親に虐待されていた事は
真犯人の心の奥底に潜んでいた
狂気を解き放つきっかけになったと思うと戦慄を覚えました。