人形は笑わない はやみねかおる | 星導夜

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何気ない日常にも素敵なことが満ち溢れているように思います
日常のささやかなよろこび、楽しみを書き留めてみたいと思います

あっしは


留吉親分の子分の猪鹿蝶ですぜ。


みらあじゅ姐さんに


ぼたん鍋にされるところ


本の紹介仰せつかって助けて貰ったんでさ。


じゃあいきますぜ。



人形は笑わない

とは


はやみねかおるさんの


名探偵夢水清志郎シリーズの第9作目に当たるんでさあ。


みらあじゅ姐さん、どうせならば

夢水清志郎シリーズ最初から読めばいいんですが、

余計な事をいうとまた、ぼたん鍋にされそうですんで、これはあっしの心の声ですぜ。


夢水名探偵は、もともとは大学の先生だったんでさ。


しかし、元先生にしちゃ


大食いだし


常識はなし


社会不適合者とさえ呼ばれる旦那なんですぜ。


夢水先生のお宅のお隣さんの


岩崎家の三つ子のお嬢たちは、


先生の世話でてーへんですぜ。


岩崎亜衣(あい)お嬢が話の語り手でさあ。


中学3年生で学校では文芸クラブの部長さんしてなさる。


真衣(まい)お嬢は陸上部。


美衣(みい)お嬢は星占い同好会。


顔は同じなのに趣味がまったく違うのは面白いやね。


夢水先生は雑誌の謎とき紀行の取材でG県にある廃村寸前の寂れた村の

毬音(まりね)村に行くことになったんでさ。


ひょんなことから

亜衣お嬢たち文芸クラブの部員たちもその取材に一緒に行って映画を撮ることになって、GWに出発進行でさ。


毬音村には、黒塗りの


人形の塔という不気味な建物があって、そこに飾られた人形たちには


夜動き回るというおっかねえ噂があるんでさ。


人形の塔に入ると呪われるという噂も、人形師の栗須(くりす)一族は

村人と仲良くしようともせず、吸血鬼なんではというオカルトめいたうわさもあるんでさ。


みらあじゅ姐さんならばオカルト好きだから、ちょうどいいやね。


しかも人形作家の栗須豪人(くりすごうと)は人形の塔の中で殺されていて


人形が殺したのではないかと言われているんでさ。


それだけでなくて、前にも


人形の塔からは

建設会社の社長さんが転落死してるんでさ。


夢水先生の名推理が生きて


社長さんの転落死は

殺人ではなくて事故。


栗須の死は自殺ってわかるんでさ。


恐れ入ったね。


転落死には


色彩心理学が関係してたなんて


フロイト博士が喜びそうな話でさ。


栗須一族も、決して他の人間を嫌ったり、吸血鬼じゃあなくて


誰よりも人間を好きってわかったところ、あっしはジンときましたぜ。


過疎の村も、夏祭りには、村を離れて行ったひとたちに祭りを呼びかけようとなってめでたしめでたしでさあ。


これ、童話ですが

横溝正史先生の

八つ墓村や


悪魔の手毬唄のパロディーもあるって


みらあじゅ姐さん言ってましたぜ。


みらあじゅ姐さん


どちらかというと


江戸川乱歩好きみたいでさあ。


でも


一応横溝正史にも目は通してるようですぜ。


さてと


姐さんこれで勘弁してくだせえ。