私を突き落としたのは誰? みらあじゅの恐怖博物館⑦ | 星導夜

星導夜

何気ない日常にも素敵なことが満ち溢れているように思います
日常のささやかなよろこび、楽しみを書き留めてみたいと思います


わたしは「恐怖博物館」の学芸員(キュレーター)をつとめるみらあじゅです。

ようこそ当恐怖博物館においでくださいました。  

私の創作した恐怖話がたくさん

この博物館には収められておりますよ。

本日は
「私を突き落としたのは誰?」ですよ。







僕が住む町外れに、かつては廃ビルがありました。
そこの屋上には、女の幽霊が出ると言う噂がありました。

なんでも飛び降り自殺をしたと言うことでしたが、真相はわかりません。
しかし実際に見たと言う人の話はあとを絶たず、地元の人たちは恐れて決して足を踏み入れる事はありませんでした。

ある晩、僕は友達の家で飲んでいて

肝試しをしてみようと言う話になりました。

「あの廃ビルに行ってみよう」と誰かが言い出しました。

普通ならば恐れて決して行く事はなかったでしょうが、酔いも手伝って誰も反対する者はいませんでした。

男性2人と女性2人が、お酒の飲めない友達の車に乗り込み、出発しました。

廃ビルには鍵がかかっていなかったので、簡単に侵入できました。

9階建てのビルの屋上に座りこみ、飲み会の続きとなりました。

お酒の勢いも手伝ってか

誰かが

「こんな場所怖くない。幽霊なんているわけない」と叫んだその瞬間に、屋上全体の空気が急に淀んで行くような、なんともいえない嫌な雰囲気が漂い始めました。

ある一点に皆の視線が集まった瞬間、皆は我先にと逃げ出そうとしました。

屋上の隅の方に、全身が鮮血に染まり、顔がぐちゃぐちゃに潰れた女がいつのまにか立っていたのでした。

そして
「私をこの屋上から突き落として殺したのは誰なの?この中にいるのでしょ」と凄まじい形相で聞いてきました。


「いません、いません。」

皆は腰が抜けそうになるのを、やっとの思いでこらえて、階段を転げ落ちるようにして降りました。

廃ビルからどうやって帰ったのか

僕たちにはその後の記憶がないのです。