銀鼠色の奇跡第1回 みらあじゅの創作 | 星導夜

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何気ない日常にも素敵なことが満ち溢れているように思います
日常のささやかなよろこび、楽しみを書き留めてみたいと思います

銀鼠色の奇跡第1回

これは私の創作した物語です。

ジャンルとしてはファンタジーになるでしょうか。

なお、銀鼠色とは、ほんのり青みを含んだ明るい灰色のことです、

ネットからお借りしましたが、こんな色になりますよ。



ふと私が徹夜明けの眠い目をあげると

そこには一匹の銀鼠の猫がいました。

「猫ちゃん、どうしたの?どこから入って来たの?」

猫に訊ねても答えてくれる筈がありません。

お腹がすいているようなので

ミルクをお皿に注いでやると

猫は美味しそうに飲み干しました。

それから私のそばに来ると、

くつろいだように、

ゴロゴロと喉を鳴らしました。

外は霧雨です。

ふと電話がなったので出てみると

相手はなんと故郷に1人残して来た母親でした。

母親は、来週村の婦人会の親睦旅行で、私の住むこの市に来ることになった、お前のうちにも寄るからと、声が弾んでいました。

逆に、私の心は萎んだ風船のようでした。

なぜならば

私は母親に嘘をついていたからです。

母親には私は有名な作家になって

凄いお屋敷に住んでいると言ってしまっていたのです。

実は、小さな雑誌に物語をたまに載せて頂いているだけ、住んでいるところはボロアパートです。

「どうしよう、どうしよう」

私は頭を抱え込んでしまいました。

銀鼠色の猫はいつの間にか居なくなっていて

外の霧雨も止んでいたのです。


第2回目に続きます。