これは私の創作した物語です。
ジャンルとしてはファンタジーになるでしょうか。
なお、銀鼠色とは、ほんのり青みを含んだ明るい灰色のことです、
ネットからお借りしましたが、こんな色になりますよ。
ふと私が徹夜明けの眠い目をあげると
そこには一匹の銀鼠の猫がいました。
「猫ちゃん、どうしたの?どこから入って来たの?」
猫に訊ねても答えてくれる筈がありません。
お腹がすいているようなので
ミルクをお皿に注いでやると
猫は美味しそうに飲み干しました。
それから私のそばに来ると、
くつろいだように、
ゴロゴロと喉を鳴らしました。
外は霧雨です。
ふと電話がなったので出てみると
相手はなんと故郷に1人残して来た母親でした。
母親は、来週村の婦人会の親睦旅行で、私の住むこの市に来ることになった、お前のうちにも寄るからと、声が弾んでいました。
逆に、私の心は萎んだ風船のようでした。
なぜならば
私は母親に嘘をついていたからです。
母親には私は有名な作家になって
凄いお屋敷に住んでいると言ってしまっていたのです。
実は、小さな雑誌に物語をたまに載せて頂いているだけ、住んでいるところはボロアパートです。
「どうしよう、どうしよう」
私は頭を抱え込んでしまいました。
銀鼠色の猫はいつの間にか居なくなっていて
外の霧雨も止んでいたのです。
第2回目に続きます。