副長のモノローグ

号泣して膝を抱え、ワルキューレからのテレパシーにも反応しなかったみらあじゅ艦長。
そんなみらあじゅ艦長の涙を止めたのは、思いがけないことにグリズリー星人である機関長だった。
身長2メートルもありグリズリーにそっくりな機関長は、一旦機関室から出てくると、みらあじゅ艦長の華奢な身体を無言で抱きしめた。
そして抑揚のない声で
「キャプテンみらあじゅ、ワープ航法の御支持を」と行って機関室へのっしのっしと戻って行った。
その後ろ姿を見送ったみらあじゅ艦長の目には秘めたる決意が見て取れた。
「ブリッジからエンジンルームへ 」
「メインエンジンを起動に待機ワープ航法起動に待機」
いつもは強面の機関長がニヤリと笑っていた。
副長の私も艦長の指示が来て忙しくなると予測している。
記憶喪失のはずの艦長だが、こういう時にはテキパキした指示を出して来る。
いよいよワルキューレはワープに突入する。