墓の写真はネットからお借りしました。
なるべく怖そうなものにしました。
また、いつも留吉少年が災難なので、今回は、同僚の与作が主人公です。

春の彼岸のときに、与作は先祖の墓参りをした。
この地方は土葬で、最近亡くなった人がいるらしく、
土饅頭が盛り上がっていて、たくさんのお供え物があった。
朝早くにご飯を食べただけの与作は、
いけないとはわかっていても、ついついお供え物の饅頭に手を出してしまった。
その晩のこと。
『饅頭返せ。ワシのものを返せ』
割れ鐘のような気味の悪い声と、異様な重さにふと眼を醒ました与作は、布団の上を見て、白眼を剥いて気絶した。
経帷子の老人が、与作の上に載って、恐ろしい形相で睨みつけていたからだ。
翌日。
与作は饅頭を買って、土饅頭の主のところに詫びを入れた。
いくら空腹でも、故人に供えられたものを勝手に食べてしまった与作はおおいに反省すべし。