夢の中で私は小学生くらいの小さな子供で
しかも病気のために、ある陰気臭い
さながら牢獄のような病院に閉じ込められていた。
私の父親は、勝手に病気になったと責め
母親と優しい祖母が、たまに父親の目を盗んで来ては、足早に帰って行くのみだった。
他の子供とは違っていた。
私はいつも一人だった。
三日月が空に研きたての鎌のように光るある晩のこと。
消灯時間をとっくに過ぎたのに、何か胸騒ぎがして眠れない。
そっと足を忍ばせて薄暗いロビーに出ると白い人影が。
昔の看護師、いや看護婦という服装の人が佇んでいた。
むろん、今のこの病院の制服ではない。
その人は驚いたように、私の顔を見つめて言った。
「あなた、私が視えるのね」
鳴らない筈のロビーのグランドファーザークロックが鮮やかに時を告げた。
それから毎晩、その看護婦は私の病室に来ては慰めてくれた。
そう、退院するその日まで。
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この話は私の小さな時の、実際の入院体験と、子供の私がイマジナリーフレンドを作っていたことが元ネタです。