■ 街のジャズ喫茶 ■
仕事が終わると僕は大抵、独りで街を彷徨した。
寮は会社の敷地内にあって、部屋に帰ってもなんとなく落ち着かないからだ。
それに、旧式のラジエーター・ヒーターに重油を送る音が朝早くからうるさくて眠れないのだ。
街へ出ると、いつも入るジャズ喫茶で音楽を聴くでもなしに、ぼんやりとする。
新聞を乱読してから、英会話の本のページを辿るもすぐにあきらめて鞄に放り込み、席を立つ。
あの頃は疎水や南禅寺、銀閣の辺りをよく歩いたものだ。
途中で湯豆腐をつついたり、骨董品屋を覗いたりした。
それに飽きるとオールナイトの映画館に入り、コートをかぶって眠った。
映画を見ない時はガレージから中古のマツダ・RX-7を出して、六甲山や高速の環状線を夜明けまで走る。
そして明け方、部屋に戻りアラームをセットするとそのままベッドに潜り込んで眠った。
目覚めると熱いシャワーに入って、制服に着替え、今日も僕はホテルに帰って行くのだった。
■ SA22C mazda RX-7 ■





