何がキッカケになるかは解りませんネ~。実はとあるホテルに入っているレストランの方から連絡があり、上海蟹のバラし方を教えて欲しい、との依頼がありました♪

 


中華野武士のサービス職人奮闘記-キラリ、輝いてるぜぃ  今年もコイツの季節到来!


中国料理の発展、それは俺の夢です。まぁ、そんな大げさな存在ではないのですが、少しでも貢献したいと考えていますので、モチロン快諾。今週(10/12金)にうかがう事になりましたー!!

 

そういう訳で、再確認の意味で上海蟹について取り上げてみました。こうやってパソコンに向かいながらカタカタやっていると頭に入りやすいので(笑)。

 

 

作:中華野武士(笑)

 

秋風賞菊 左手持蟹 右手挙杯 朋友団欒

 

「菊の花が咲き誇る頃 左手には旬の上海蟹、右手の酒杯は紹興酒 親しい友と和気藹々」、江南地方では、秋風一番が吹く頃が菊のお花見シーズン到来。よく育った旬の上海蟹を片手に、名産の紹興酒で気の合う仲間とワイワイガヤガヤ楽しみます。さぁ、日本の皆様も季節の味覚を召し上がれ~♪

 


中華野武士のサービス職人奮闘記-上海蟹だぁ  
オレンジ色の憎い奴♪

 

 和名ではシナモクズカニ、ちなみにモズクではありません(笑)。『藻の屑(モのクズ)』がハサミ(手)の部分についているという事が名前の由来です。モクズ蟹自体は日本にも生息しており、小粒の河蟹という存在で味噌汁の具、として親しまれているケースが多いようです。ちなみに加熱(蒸したり、煮たり)したモクズカニを殻事磨り潰して“ツミレ”状態にする事もあるようです。また四国のお客様が上海蟹を食べに来た際に自信満々で教えていただいたのですが、通常は小粒のが多いモクズカニ。大型の胴体は大人の拳一回り以上のサイズの場合、収穫量が限られているため、力のある料亭で数万円のコースで提供されているそうです。いやぁ~、国産も侮れませんなぁ~♪

 
中華野武士のサービス職人奮闘記-上海蟹日本上陸
 来た来た、日本上陸♪
 

 中国名は「大閘蟹(ダァザァシェ、ズゥダァハァ)」。名前の由来としては大きな貯水池の水門を開いている状態で鍬の爪のような部分から水が流れますが、この部分から逃げ出せないほど大きな蟹ですという説や、蟹を捕獲する時の竹製のカゴの名前だという説、za(現代の漢字では表記出来ないようなので俺もその漢字を見た訳ではありませんが)という昔の「茹でる(煮る?)」という意味の漢字を同じ読みの閘という漢字をあてたという説などなどありますが、実際には不明です(笑)。ちなみに中国での正式名称は「中華絨螯蟹」となり、前出した日本名の由来と同じ意味になります。

 

 そうそう、日中国交回復前は上海蟹とはいわれていませんでした。そりゃそうですよね、国交が正式にはないので直接空輸が出来ません。そのため香港経由だったそうなので香港蟹と呼ばれていました。そして日本到着までに時間がかかるので当初はお酒に漬けた「酔っ払い蟹」が主流だったようです。

 


中華野武士のサービス職人奮闘記-酔っ払い蟹だぜい  絶品の酔っ払い蟹~!!

 

※店によって大きく味が違う「上海蟹の老酒漬け」・・・画像BY 洌鎌昌次 作

※2012年も上海ダイニング で食べれますよ~、この味はここだけ♪

 

 さて『シナモクズガニ』。日本のモクズガニは外枠(笑)の部分が丸みを帯びているのですが、鋭角的な部分が多いのが外見的な特徴です。そして雄雌の違いはこれだぁ♪

 

中華野武士のサービス職人奮闘記-蟹 男女の見分け方  フンドシを見て~♪


お腹の部分を「褌(ふんどし)」といいますが、メスは丸みを帯びており、雄は鋭角的になってます。また画像をクリックして大きくして見てもらうとわかりやすいのですが、爪の大きさを見て下さい。メスの倍以上、オスは大きいのです。まぁ身自体がメスよりオスの方が一回りほど大きいのですが、この事から身を食べるならオスといわれています。また、鮮度がとても重要なので空輸で生きた状態で送られてきます。お店では死んだモノは使用出来ないので、コスト面で非常にリスクが高いので、こういう点でも扱える店が限られてしまうのですね。そしてそれに拍車をかけたのが外来種法です。現在は検疫なくして上海蟹は日本国内に持ち込んではいけません。さらに、販売を目的とする場合、小売は許可されておらず、お店(レストラン)への仕入れとしてのみ許可されます。結果として安全な上海蟹が入るようになりましたが、お店でしか食べれないのでアメ横などで同品質のモノを原価で買っていた方々お気の毒デース!!

 

※ちなみに、池袋や新宿に拠点を持つ某中国食材の販売店では上海蟹が売っているそうです...が、ここまで日本では取締していない(というかそこまで見切れないでしょ(笑))ようなので(一説によるとアメ横中央にあるビルの地下の有名中華食材店でも売っていた情報あり<未確認です>)違法ですが買えるのかもしれませんネ(笑)...(笑)でいいのかな...。

 

 「九雌十雄」という言葉は、上海蟹を紹介する時に良く使用されるのですが、旧暦の事でメスの旬は10~12月、オスの旬は11~翌年1月という雄雌各3か月のスパンがあります。なので上海蟹本来の旬は両方が食べられる11~12月の二カ月となります。ただし、毎年前後で最大二週間のラグがありますので、食べに行くお店にしっかりとご確認下さい(笑)。

 
中華野武士のサービス職人奮闘記-蟹の仕分ぇ  さぁて、ガッツリと♪
  

 生態としては汽水、淡水、海水、どのような状態でも生息出来、そして雑食です。この生命力の強さが美味しさに繋がっているのでしょうネ。海で生まれて川沿いを湖まで移動して産卵期に海に戻ると言われています。だいたい食用に適する大きさに成長するのに3~5年ですが、市場に出回っているのは大きいのや小さいの、メスとオスが混在しており、一山いくらで売っています。日本でバカ高いのを食べるなら中国に行って市場で買った方が賢いよ、と言っている人達はこういうのを食べているのでしょう。確かに安いのですが、「賢く」となる場合はアリガチな日本的買い方ではダメです。一杯一杯ちゃんと確認して交渉という努力をしなければいけません。なぜならば日本的感覚で言う「天然物」の怖さは、メスなのに卵がまだ出来上がっていなかったり、オスなのに身がスカスカで白子がなかっりします。つまり中国国内用に出回っているモノはベースとして天然物なのですが、安くてリスクが高いという事。では日本に出回っているバカ高いモノはなにかというと養殖モノなのです。これがいわゆる「陽澄湖(ようとうこ)産」で、価格的にも3~5倍はしています。なぜか? 人の手が介在する事でハズレがないのです(しかも3~5年間かけてしっかりした大きさに仕上げています♪)。時期になればメスならば卵びっしり、オスならば身がパンパンで白子もタップリ。いくら安くてもハズレをいっぱい食べても意味がないでしょう(笑)。だったら多少高くても美味しい方が良いですよね♪

 


中華野武士のサービス職人奮闘記-卵満載  メスは卵~♪

 


中華野武士のサービス職人奮闘記-白子たっぷり  くはぁ、オスの白子!

 

最近は中国人がお金持ちなので、一昨年あたりから中国国内優先の傾向が強くなってきました。実は2010年に上海に日本中国料理協会サービス部会の旅行に行ったのですが、昼にオス、夜はメスを食べる予定でした。ところが夜もオスが出てきたのです。ちなみに初心者はメスを好み、通はオスを食します。メスの卵はいろいろな料理で加工出来ますが、オスの白子は加工に向かないので蒸し蟹だからこそ美味しいのです。また身も一回り大きいので食べやすいし、卵はなくとも味噌が濃厚。オス、メスどちらを食べるかを聞かれれば、当然欲張り派はオスを選択します(俺も!)。しかし、しかしですよ。今回は中華料理の研究がメインの旅行なのでしっかりと確認したにも関わらず、この結果です。理由が皆様に喜ばそうと通好みのオスを用意しましたという事なら致し方ないのですが違いました。なんと、○○省から来た政府首脳がどうしてもメスを食べたいといい、料金を倍出すからなんとかしてくれと頼まれたようです。ハァー、さすが中国。しかもこのホテルのオーナーは日本通なので、国外の客よりも国内の特に政府関連客が現在は一番お金を落とすので、このチャンスを見事モノにしたのでしたー、ジャンジャン...まぁ、次の日別のところでメスは食べましたけどね♪

 


中華野武士のサービス職人奮闘記-これが上海蟹の鍋  美味そう、上海蟹の鍋♪

 

※ こちらの上海蟹の鍋は上海ダイニング にお問い合わせ下さい

 

 メスの良さは何と言っても「卵」にあり、その濃厚でありながらスッキリとした風味は世界中の美食家を魅了しています。ちなみに中国は広いので江南(ジャンナン)、長江の南側地域には馴染みのあるシナモクズカニは、他地方(特に、四川・北京など)ではお金持ちしかしらないのが現状でしょう。また、上海と北京は様々な意味で牽制し合っているのでこういう風刺があります。「上海人は不思議だ。あんな小さい蟹を北京に来る電車に持ち込んで、1杯の蟹を到着まで半日ほども時間がかかるのに(高速鉄道が出来る前の話です)半分しか食べ終えていない! ビックリするのは残りの半分を北京に到着してから宿泊するホテルで食べようってんだから、気がしれないよ!!」ってな感じで、揶揄しています(笑)。

 

 オスはメスより一回り大きいしっかりとした身、なかでも爪の中の身がグッドです。そして他に類を見ない味覚の「白子」。メスの卵は例えば、地鶏の卵よりも濃厚でありながらスッキリしているなどの言いようがありますが、この味は俺の語彙では書けません。食べてみるのが一番早いですね(笑)。

 

 

 思いつく限り、つらつらと書き連ねていたら、ちと長くなりましたので、また次回にまわします。最後にコレを書くキッカケになった上海蟹のバラ仕方をUPしておきます♪

 

 

と、いう事で、お客様も同業者の方々も、ぜひご参考にして下さい。やっぱり中華業界で上海蟹といえば特別な存在。この位の労を惜しんでどうするんだぁ、という事でサービスマン諸君、勉強したまえ、お客様は蟹を簡単に食べたいんダァ~~~!

 

【上海蟹・解体新書(笑) 白土バージョン♪】

 

 Skb01 足を根元からとります

当然、爪付きの腕も根元からとり、上海蟹を“ダルマ”状態にしちゃいます。かなり、熱いので使い捨て手袋の使用をオススメします。

 

 Skb02 爪先と根元を鋏で切る

向かって右が切る前で、左が切った後の状態。

 

 Skb03 麺棒で身を押し出す

面倒くさいので足の身を食べない人の多い事。嘆かわしいですね。こうすれば食べやすくなります。スベスベしてこの身が美味しいんだなぁ、コレが!

 

 Skb04  Skb05 ほーら!

箸で摘まんで一口でいきたいですなぁ~、ウ~ン贅沢ぅ~♪

この「足の身までこんなに食べやすくしてくれるんだ~」という事にお客様は感動するようです。ちなみにこれは厨房の仕込みを見ていた白土が「これはいい」と思い、取り入れた方法デース(笑)

 

 Skb06 爪部はこんな感じで!

蟹フォークでとるも良し、直接口で吸い込んでも良し♪

 

 Skb07 達磨さんを解体♪

胴体下部の“フンドシ”を根元から千切り、お尻の方から甲羅を剥がすとこういう状態になります。

 

 Skb08 砂袋を除去!

甲羅に付いてる場合は、まず卵と味噌の密集している部分に鋏を突き立て捻ると、なにやら塊が付いてくる。それが“スナブクロ(砂袋)”。ここは蟹の口の下にあり、何かを食べた時、砂等の蟹が食べられないモノをためておく所なのだ。ここに溜まっているモノは人間様も食べる必要がないので除去します。

 

 Skb09 肺部撤去!

どんな蟹でも共通なのが「カニは食べてもガニ食うな」という格言? とにかく口に入れると嫌な食感なので綺麗に取り除きましょう。

 

 Skb10_2

  ここまで食べやすくしてマース(笑)

 

基本的はオスも同様で出来ます。今回のようにどうせなら店に来て教えて欲しいとかいう方がいれば、お手伝いしますよ~♪ モチロン、ボランティアなのでお気軽にご連絡下さ~い(白土がお休みの日に対応となります)!!

 

 

 

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ks-management@nifty.com


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