産前産後休暇と育児休暇について②(出産手当金と出産育児一時金) | 税理士 K-nosuke の言いたい放題

産前産後休暇と育児休暇について②(出産手当金と出産育児一時金)

出産・育児関連の第2章です。


今日は、出産時に支給される、出産手当金と出産育児一時金について

お話をします。


1.出産手当金

 出産手当金は、出産のために出産前6週間(※)と出産後8週間までの

範囲内に休暇をとり、その間給与の支払いを受けないときに支給されます。

出産手当金の額は、


  1日につき標準報酬日額の3分の2


を受けることができます。

標準報酬日額とは、標準報酬月額÷30日で求められます。

この標準報酬月額は、通常の給与から天引きされる健康保険料と厚生年金保険料の

基になっている数字で、求め方は、


  健康保険料÷0.0474(今日現在の協会けんぽ東京都の料率)

  または

  厚生年金保険料÷0.08029(今日現在の料率)


で求められます。この健康保険料と厚生年金保険料は、産前産後休暇に

入る直前のものとなります。


また、この期間中の給与の支払を受けた場合は、その給与の額を

控除した金額を、出産手当金として受けることができます。

したがって、標準報酬日額の3分の2以上の給与を受ける場合は、

受給対象となりません。

(それだけもらっていれば十分だと思いますが。。。)


なお、会社を退職した場合は、出産手当金を受けることができるのでしょうか?

この場合、出産前6週間(42日)が基準となります。

この日より前に退職した場合は、出産手当金を受給できません。

逆にこの日より後に退職した場合は、産前6週間と産後8週間のすべての期間

出産手当金を受給できます。

(ただし、退職前1年以上健康保険の被保険者であった人に限ります。)


また以前は、出産前6週間前に退職した後6か月以内に出産した人や、

出産前6週間より前に退職した後、任意継続被保険者になっていた人も、

受給対象となっていましたが、現在は廃止されていますので、ご注意ください。


あと、国民健康保険加入者は、出産手当金は支給対象外となります。


(※)多胎妊娠の場合14週間。出産日が出産予定日より遅れた場合は遅れた日数を加算



2.出産育児一時金

 出産育児一時金は、妊娠4カ月以上で出産した場合(死産、流産を含む)に

支給されるものです。

これは、出産する本人が被保険者である場合だけでなく、

被扶養者である場合(夫の扶養に入っている場合など)も含まれます。

 出産育児一時金の額は、以下のとおりです。


 子供一人あたり 42万円

 (ただし、産科医療補償制度に加入してない医療機関の場合は38万円)


 健康保険組合によっては、プラスアルファで受給できる場合があるので、

詳細は直接、その健康保険組合でご確認をお願いします。


 この金額は子供一人あたりの金額なので、双子であれば84万円、三つ子であれば

126万円ということとなります。


なお、会社を退職した場合は、出産育児一時金を受けることができるのでしょうか。

この場合、退職後6カ月以内の出産であれば、受給できます。

(退職前1年間被保険者である必要があります。)

ただし、扶養者である夫が退職して資格喪失をした場合は、

夫が退職後6か月以内の出産であっても、受給対象となりませんので

ご注意ください。



3.医療費控除

 さて、私の専門分野ですが所得税の医療費控除の取り扱いについては

どうなるのでしょうか?

まず、出産に係る費用は当然医療費控除の対象となります。

医療費控除は、年末調整では対応できませんので、

確定申告をすることとなります。

ただし、医療費控除では、保険金などで補てんされる金額は

医療費から差し引かなければなりません。

「出産手当金」「出産育児一時金」は以下のような取り扱いとなります。


「出産育児一時金」・・・・医療費から差しひきます。

「出産手当金」・・・・医療費から差しひく必要はありません。


出産育児一時金は、出産のための費用補てんの意味合いがあるため、

医療費から差し引かなければなりません。

一方、出産手当金は、出産時において休暇をとらなければならない

ことにおける、給与の補てんの意味合いがあるため、

医療費から差し引く必要はありません。



出産手当金や出産育児一時金は、もらわなければ損なので、

ぜひ手続きを忘れずに行ってください。


・・・つづく


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