震災により被害を受けた人の所得税の取り扱いについて(雑損控除等) | 税理士 K-nosuke の言いたい放題

震災により被害を受けた人の所得税の取り扱いについて(雑損控除等)

3/11に発生した東日本大震災により亡くなられた方の

ご冥福をお祈りいたします。

また、被災された皆様に対しては心よりお見舞い申し上げます。


東日本大震災が発生してから、はや4カ月がたとうとしていますが、

いまだに多くの方々が避難所生活を強いられており、

原発の問題も終息されていないといった状況です。


さて、このような震災により、自宅建物や家財などに被害を受けた場合に、

所得税の特例があるのはご存知でしょうか?


震災による資産の損失や災害復旧にかかった費用などは、

所得税や住民税の計算で減額することができます。

これは、東北地方のみならず、関東地方などで被害を受けた人も

対象となります。

2種類あるので紹介します。


1.雑損控除

   災害により資産について損害をうけた場合には、一定の金額の

  所得控除を受けることができます。これを雑損控除といいます。


   雑損控除として控除できる金額は、次のうちいずれか多い金額です。

   

   (1) 差引損失額 - 総所得金額×10%

   (2) 差引損失額のうち災害関連支出の金額 - 5万円


   ※ 差引損失額 = 損害金額 + 災害関連支出の金額 

                 -保険金などで補てんされる金額


    ①損害金額

       損害を受けた直前における資産の時価を基にして計算した損害の額

       建物や家財の取得価額がわかる場合には、

       取得価額から減価償却費を控除して計算した金額に被害割合を乗じた

       金額となります。

       被害割合は、市区町村から交付される「り災証明書」で示された

       被害区分に応じた割合となります。

       取得価額が分からない場合には、国税庁で発表している「損失額の

       合理的な計算方法」により計算することができます。


       「損失額の合理的な計算方法」   

       http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/tokurei/pdf/shotoku_03.pdf


    ②災害関連支出の金額

       災害により滅失・損壊した住宅や家財などの取り壊し・除去した費用

       土砂や障害物を除去するための費用

       原状回復のための費用

       損壊防止の費用

       被害の拡大を防止するための緊急に必要な費用


       ※避難生活をするための旅費や、生活品で新品に買い替えるための

        費用は対象外となります。


    ③保険金などで補てんされる金額

       震災により保険金を受領した場合には、受領した分は負担していない

       ことになるため、差引損失額から控除することとなります。


    また、所得金額から控除して控除しきれない金額がある場合には、

    5年間の繰越控除が認められています。


2.災害減免法による所得税の軽減

   災害により住宅又は家財について被害を受けた者で、  

  被害を受けた年分の合計所得金額が1,000万円以下である者に対しては、

  その年分の所得税を次の区分により免除する。


   (1) 合計所得金額が500万円以下 ・・・ 所得税額の全部

   (2) 合計所得金額が750万円以下 ・・・ 所得税額の10分の5

   (3) 合計所得金額が750万円を超える場合 ・・・ 所得税の額の10分の2.5


雑損控除と災害減免法は有利なほうを選択して適用できます。


また、これら雑損控除、災害減免法については、今回の被害を受け、

平成22年分と平成23年分のどちらかで確定申告を受けることが

できるようになりました。

平成22年の確定申告をすでに行った人も、更正の請求による還付を

受けることができます。

もし被害にあわれた方がおりましたら、ぜひ検討してみてください。


(参考)東日本大震災により被害を受けた場合の税金の取扱いについて

http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/tokurei/zeikin.htm


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