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ライフコーチのベルリン暮らし13年目
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今日のテーマは「子供のいない人生の歩き方」についてです。
初めてのことに向き合う時、何か参考になる情報を探しますよね。それが本だったり、その道を歩いている先輩だったりしますが、例えば本の場合、
・母親になる方法(妊活)
・子育てのアドバイス本
・子離れ親離れについて
・親子関係について
こういった子供を持つ親に向けての本はたくさんあるのに「子供がいない人生をどう歩くか」についてのアドバイスだったり、相談したりできる先輩っていうのは、これまでほとんど見かけませんでした。
実はそれほどマイノリティではないんですが、表に現れるロールモデルになるような女性が簡単に見つからなかった気がします。
これについてふと考えたきっかけは、学生時代のバイト先、ヴィドフランスでのある出来事を思い出したからです。
今でも忘れられないその出来事のポイントは「マニュアル」。
今日は、このマニュアルに関するエピソードを振り返り、それをきっかけに探して読んでみた本「誰も教えてくれなかった子どものいない人生の生き方」から、これからの人生を豊かにするヒントを二つ、ご紹介しようと思います。
どんな経緯があるにせよ、子供がいない人生が見えていて、それに対して社会の中で疎外感を感じていたり、どんな風に心の整理をしたらいいのかわからずに立ち止まっている方の道を少しでも照らすことができたら嬉しいです。
さて、くだんのヴィドフランスで何があったかというと...
大学時代、東京は巣鴨駅前の店舗で早朝アルバイトをしていた時のことです。
ある朝、開店前の準備で、フィルターコーヒーを作ろうとコーヒーマシーンをセットしたのはいいんですが、肝心のコーヒーを下で受けるサーバーをセットし忘れるという大失敗をしてしまったんです。ドリップされたコーヒーが、そのまま滝のように流れてしまって、コーヒーメーカーの電源が緊急停止!
巣鴨駅は開店と同時にコーヒーとパンをささっと食べて会社にいくサラリーマンのお客さんが多く、このタイミングでコーヒーメーカーが壊れてしまったら本当にやばい。
半泣きで副店長に報告すると、彼は一つも怒らずに、こう言ったんです。
「マニュアルは、こういう時のためにある!」
さすがチェーン店なだけあり、分厚いマニュアルがあったんですが、その中にコーヒーメーカーがこんな風に停止してしまった時の対処法も載っていました。詳しくは覚えていませんが、うまく再起動できて、早朝のピーク時に間に合いました。
この6月に一時帰国した際、ヴィドフランスを久しぶりに見て、このエピソードを思い出しました。
そしてね、思ったんです。
非常時のためにマニュアルはある!のはずなのにこんなはずじゃなかった人生、子供のいない人生になりそうだという時に、そのマニュアルは存在しない。
人間は機械じゃないですし、人の人生は十人十色なので、別にマニュアルが欲しい訳ではないですが、母親になった女性のためのいわゆる参考書はたくさんあるわけで、だったら母親になれなかった女性の参考書があってもいいんじゃないか、と思ったんですね。
今回一人で一時帰国をしていて、気持ち的にも身体的にも余裕ができたこともあり、子供のいない人生についての本を探して、一冊読んでみました。
タイトルは「誰も教えてくれなかった子どものいない人生の生き方」著者はくどうみやこさんです。
彼女は大人ライフプロデューサー/トレンドウォッチャーとして、自身もずっと感じていらっしゃった子供のいない女性が抱える生きづらさや苦悩を言葉にするため、多くの当事者とのインタビューで得られたリアルな本音を紹介しています。また、気持ちの整理や受け入れ方の参考になればと、子どものいない女性に限らず、子どものいる女性にもアンケート調査を実施し、多方面から見た子どものいない人生を浮き彫りにしています。
もしご興味があったら、ぜひ手にとっていただきたい一冊なのですが、今回私が読んで、特に心に響いた箇所を二つ選んで、ご紹介しますね。子供のいない人生がまだ100%確定した訳ではないという、いわば過渡期の自分の心を、少し強くしてくれた考え方です。
人生の正午でうまく転換できるように自分と向き合う
有名な心理学者ユングが提唱した考え方で、「人生の正午」というものがあるそうです。ライフサイクルを日の出から日の入りになぞらえ、少年期、成人前期、中年期、老人期と4つの時期に分ける考え方です。このうち、成人前期から中年期にさしかかる40代が人生の正午にあたり、この時期は「転換期」で、人生最大の危機であると説いています。
なぜ危機かというと、この時期は特に、今までのアイデンティティや常識が揺れ動き、これからの人生をどうしていくかを考えざるを得ない時期だから。
ここまでの人生でうまく行っていないこと、不満が残っていることに向き合って、変えたり手放したりしたほうがよい価値観を見極めたり、新しい可能性を試したりして、「自分」というものを、人生の午後に向けて軌道修正していく、みたいな感じでしょうか。
特に心に響いたことは、「子どものいない人生が決まる時期と人生の正午はちょうど重なる」ということ。
もちろん、スッキリとした切り替えはまだできなくても、子供がいない人生で終わるかもしれないということを真っ直ぐ見つめて、それなりの自分の生き方を考える時期にある、ということです。
子供を介して知り合うネットワークは期待できない訳ですから、自分が動いて、一生ものになる友人関係を温める、とか、熱中できることを探してみる。両親がもっと年をとった時のサポートをどうするか、今から検討し始める、というのも、子供がいないからこそできることだと思います。
さて、この本で心に響いた考え方のもう一つは、
つらい経験が人を成長させるPTG理論
PTSDというのは、聞いたことがあるでしょうか?
Post-Traumatic Stress Disorder(心的外傷後ストレス障害)という名で知られていますが、これは、戦争や自然災害、事故、虐待、犯罪など、命の安全が脅かされるような出来事によって強い精神的衝撃を受けることが原因で、ものすごい苦痛や、日常生活を送ることが難しくなるようなストレス障害のことです。
これに対し、PTGというのは、何の略かというと、Post-Traumatic Growth。いわゆる、心的外傷後成長。トラウマになるような出来事があっても、その辛い記憶と共存しながら、それを糧にして人間として成長することができる、という考え方です。
ここから少し本の内容を引用すると、
「つらい経験をしたけれど、そのおかげで今の自分がある」と感謝の念を持ったり、「つらいことが多かったけれど、いろいろ学ぶべきこともあった」と学ぶ機会を得たと解釈するなど、PTGは自分を成長させるための前向きな考え方として近年、注目されている概念です。
もちろん、流産とか、不妊治療、あるいは中絶など、産む、産まない、産めないというテーマに関して辛い経験をしたすぐ後は、そこから何か学びをえようとか、その経験の意味はなんだったのか、なんて考えるのは難しいですが、いわゆるアラフィフの仲間入りし、流産を三度経験した後一年ほど経って、その経験が今の自分のものの見方に大きく影響しているなぁと思うし、女性の生き方というものに広い視野が持てるようになったし、子供がいないからこそできることがあるんじゃないか、という前向きな考えにもなってきました。
艱難汝を玉にす(かんなんなんじをたまにす)ということわざがあります。
人間は、苦労や困難を経験して、それを乗り越えたり、なんとか共存しようと努力することで、人として磨かれていく。大きく成長していく、という意味です。これがまさに、PTG。
辛いことに潰されて、私の人生はもう明るくなんてならない、と絶望する瞬間があっても、悩み抜いて、その先に器がさらに大きくなった自分がいると思えば、ちょっと希望が持てますよね。
PTG、人生の正午に、ぜひ持って行きたい考え方だなと思っています。
さて、今日は、一時帰国中に読んだ本「誰も教えてくれなかった子どものいない人生の生き方」から、心に響いた考え方を二つご紹介しました。
・人生の正午でうまく転換できるように自分と向き合う
・PTG(心的外傷後成長)どんなに悲しくつらい経験であっても、自分を成長させてくれる人生の教訓として、生かせないものはない。過去の辛い経験と共存しながら、自分を磨いていくことは可能。
子供がいない、いる、に限らず、この二つの考え方は40代からをイキイキと、充実感を持って生きていくために背中を押してくれる考えだと思います。
ここまで読んでくださった貴方の、少しでも参考になっていたら嬉しいです。
〜自分の人生の作戦を練り直し
今年の後半を思い切り走りたい方へ〜