
海や、川や、山などに行ったとき、 なんとなく綺麗な石、いい感じの石を拾ってきてしまう、という事があります。 それは、例えば化石だとか水晶だとかいうものでは決してありません。 何の変哲もない、ただの石ころです。 よく理由は分からないけれど、気に入ってしまって、拾った石。 そんな石がいくつか、引き出しの隅に転がっていたりします。 遺跡の発掘調査などでも、 たとえば竪穴住居を掘ってると、たまにそんな石に出くわすことがあります。 白黒の縞々の石、整った球形の石、細い石英脈が入った石。 もちろんそれは、石器などに使うような石材ではありませんし、何か加工が施されているわけでもありません。どこからどう見ても遺物だと言える根拠はない。 でも何か気になる石。 昔の人も、そんな、ただの「いい感じの石」を拾ったりもしたのかな、とか想像しています。 今回ご紹介する2冊の本は、ただの石ころを対象にした不思議な本です。 1.『石はきれい、石は不思議 津軽・石の旅』(INAX BOOKLET)INAX出版 浴室やトイレなどの設備を扱うイナックスが所有する、イナックスギャラリーの図録という形で出されているブックレットシリーズの一冊。 津軽の海岸は美しい石が拾える場所として有名(!?)らしいのですが、その津軽の石(宝石でも鉱物でも水石でも化石でもない)をギャラリーに展示したというのだからすごい。 長年この地で拾い続けてきた方のコレクションがまた素晴らしい。でも何がどう素晴らしいのか表現できないので、これを書いていてもどかしいです。 文の執筆者は中沢新一さん、堀秀道さん、奥泉光さんと豪華。中里和人さんの写真が美しいです。 このイナックスブックレットのシリーズは他のも好きで、『世界あやとり紀行』『林丈二的考現学』『集落が育てる設計図』など、どれも読んでいて楽しいです。 (※現在はINAXからLIXILに名称が変わっています) 2.宮田珠己『いい感じの石ころを拾いに』(河出書房新社) 作家の宮田珠己さんが、糸魚川やら伊豆やら津軽やら、各地に石を拾いに行った、ただそれだけがメインの不思議なエッセイ集。 これを読んでも、石について何か知識が得られるわけではありません。 化石・鉱物の一大イベントである東京ミネラルショー(私も子供のとき何度か行きました)や、水石愛好家の雑誌である『愛石』編集部を取材されてますが、やはりメインはただの石ころです。 石器を勉強している人なら知っている、『川原の石ころ図鑑』の渡辺一夫さんにもインタビューしています。 読んでいてとても楽しめました。この本を読んで「楽しめる」人はあまり多くないと思いますが……。 以上、ただの石ころ、を扱った2冊の本でした。 下の写真は、昨年、七北田川で拾った珪化木。 これも拾ったからといって、何がどうなる、というものでもないんですが。 なぜ拾ってしまったのか……。
