ライオンのおやつ/小川糸

 

人は必ず死ぬ。

それを受け入れるのは困難なことだけれど。

それでも必ず人は死ぬ。

だから、少しでも、その時を優しく穏やかに迎えたい。

 

 
 

 

あらすじ

がんでホスピスに入ることにした主人公。

瀬戸内のとある島で、

穏やかに残りの人生を過ごしていく。

そのホスピスには、

生きてきたなかで、

もう一度食べたいと思うおやつをリクエストできるシステムが。

最後にもう一度、

食べたいおやつはなんですか。

 

感想

ずっとずっと読みたくて、

絶対泣くだろうと思っていたけれど、

やっぱり泣いた一冊でした。

 

人間は絶対にいつかは死んでいくけれど、

それがもうすぐだとわかっていて、

その死に向かって生きていくって並大抵のことじゃないと思うんです。

わたしだったら、できるかなぁ。

 

思い出の最後のおやつ、

わたしなら何にしようかなぁと考えます。

お菓子つくりが好きなので、

一番最初に作ったお菓子とか!

と思ったのですが、

正直もう全然覚えていないです。

甘いものは大好きで、

いっぱい食べているのに、

これを死ぬ前にもう一度食べたいと思うおやつって、

なかなか浮かばないんだなぁと

しみじみ思いました。

 

だからこそ、できるだけ、

おやつだけでなくごはんだって、

『美味しいなぁ』と思って食べたいなぁと思います。

美味しいなぁ、幸せだなぁって思いながら。

 

どんどん自分が弱っていくことを

受け入れること。

昨日できたことが今日はできない。

受け入れがたいなと思います。

でも、わたしもいつかそうなるのだ。

それまで、できるだけ楽しく生きよう。

笑って生きよう。

幸せを噛み締めよう。

 

自分の人生を祝福できるのは、自分。

そのことを教えてくれた一冊です。