何者/朝井リョウ

 

生きるのって何でこんなに難しいんだろう。

ただ、自分だって一生懸命やっている。

なのに、なのに。

 

あらすじ

就職活動中、何者にもなれない自分にぶち当たる主人公。

内定が、もらえない。

なんでだろう、わからない。

そう思いながら過ごしていたら、

「一緒に就活頑張ろう!」と数名のメンバーで集まることに。

人を馬鹿にしたり、

けなしたりしつつも、

自分が本当は一番「何者」にもなれないことに気づいている。

そんな、リアルで痛くて。

でも、特に就活生の人は読んで観る価値はあるのではと思います。

 

その他情報

映画化もされました。

主演は佐藤健。

他に菅田将暉、有村架純、二階堂ふみ、岡田将生、山田孝之。

豪華俳優陣が悩んだりぶつかったりする、

映像も必見です。

 

感想

ここからはネタバレを含みます。

主人公、タクトくんは事あるごとに、

スマホを持っていて、

Twitterにつぶやいている。

いわゆる裏垢的存在で。

やっぱりその内容は人を馬鹿にしたり、

けなしたりする内容が殆どで、

そして、どうして自分は内定がもらえないんだと嘆く内容。

 

タクト以外の就活頑張ろうメンバーは

徐々に内定をもらっていく。

やっぱり芽生えるのは、

どうして自分はもらえないのに、

こいつらはもらえるんだろうという焦り。

だから余計バカにしたり、

決まった内定先がブラック企業化調べたり。

 

そして、最後、同じく内定のもらえていない

リカさんという子に、

「わたしタクトくんが内定もらえない理由わかるよ」

と言われる。

リカさんはタクトの裏垢をすごくしっかり見ていて、

空で言えてしまうほど覚えている。

 

リカさんに、タクトは

「自分は何者かになれると思っているんでしょう?」

そう言われて、ムキになってそんなことをないと言うけれど、

徹底的なことを言われる。

 

「だから、二年目になっても内定ゼロなんだよ」

 

そう、タクトは就活浪人なのだ。

一年目で、内定が一つももらえなかった。

二年目で、周りが決まっていく中、

やっぱり内定は一つももらえなかった。

 

これが、このお話最大のネタバレですね。

 

最後の方は、タクトが何かとスマホを触っていたときに

Twitterに呟いたことが並んでいます。

やっぱり馬鹿にしたりけなしたりすることが多い。

 

でも、最後に「なんで自分は内定がもらえないんだろう」

そう思う、タクトを思うと胸が苦しくなった。

タクトだって、頑張っている。

一生懸命、取り組んでいる。

作りたくない笑顔を作ったり、

聞きたくない話に相槌を打ったり。

頑張ってるじゃん、タクト。

 

そう、思わずにいられなかったです。

 

生きるって難しい。

働くって、難しい。

働けるようになるまでも、難しい。

 

人生なんて、難しいだらけじゃない。

 

それでも、生きていかなきゃいけない彼らを、

心の底から応援したい。

 

そんな一冊です。

ネタバレ多くなっちゃったんですけど、

読んで観る価値大有り!!

なので、本屋さんで手にとってみてくださいね。