サイコト(サイダーのように言葉が湧き上がる)を見てからかなり短期間ですが、前から予告を見て気になっていた「竜とそばかすの姫」を見ました。
サマーウォーズの細田監督の最新作です。
以下、ネタバレを含みますので、気を付けてください。
結論としては、予告で期待したほどの内容ではなかったが、面白かった。です。
面白いのですが、いろいろ細かい点で気になるところがあり、予告の期待ほどすんなり落ちなかった形です。
この映画は、かなり「歌」がテーマになっていて、キャスト陣も歌がうまい人が多く起用されています。
音楽の面で難点は全くありません。
主人公「すず」=「ベル」の歌声は力強く、独特なメロディーで、シーンによっては泣けるほど綺麗です。
<あらすじ(ネタバレあり)>
高校生のすずは、幼いころに母を水難事故で亡くします。その際、母は「川の中州に取り残された、見ず知らずの女の子」を助けにライフジャケットを着て濁流の川に進みゆき、女の子を救って亡くなります。
すずは、自らが引き留めた手を母が払いのけてまで他人を助けに行ったことに、自己肯定感が低下しメンタル的にだいぶやられて、好きだった歌が歌えなくなります。
そんな中で、「U(ユー)」というアプリに誘われ、利用することにします。Uでは、アバターが自動で合成され、「U」の世界に視覚や聴覚などを没入させることができます。
「Uはもう一つの人生」という触れこみで、はやっています。このあたりは、予告でも描かれ、サマーウォーズの「オズ」を思い出しました。
リアルでは歌えないすずですが、「U」の中では、Belle(ベル)として歌が歌えるようになります。その歌は、「U」でバズり、すずは瞬く間にUの正体不明のトップシンガーとなります。
◆
一方、「U」の中には、「竜」と呼ばれるバケモノのようなユーザーがいて、すこぶる評判がわるく、正義の味方を名乗るユーザーたちに追い掛け回されています。
すずは、竜がなぜ暴れているのか、気性が荒いのかが気になり、竜の住む城に入り、竜と心の交流をはかります。
このあたりは、まさに森を抜けた城で野獣と出会う「ベル」であり、「美女と野獣」そのものです。
徐々に交流をしていく竜とベルですが、正義の味方達はよく思わず、竜を追放(=アバターを剥ぎ、現実の姿を「U」の中で晒す「アンベイル」)しようと試みます。
◆
すずは、竜がアンベイルされる前に助けたいと探しますが、見つかりません。
ここが予告の「*億人のUのユーザーからたった一人を見つけ出すなんて無理だよ!」みたいなセリフです。
ネットの海を探す中で、「竜を応援する」という内容で、生配信している兄弟が、ベルと竜しか知らないはずのオリジナルソングを口ずさんでいるのを発見します。
竜を見つけて喜ぶすずですが、「すず=ベル」が竜にはわからないため、竜の中の人は懐疑的です。
そうしているうちに、兄弟の父親が、彼らをしかりつけに来ます。兄弟は、父親によって虐待を受けていました。
その後、すずは「すず=ベル」を立証し、リアルの彼らを助けに向かいます。
(ここは一番の盛り上がりポイントなので詳細は省きます。劇場でぜひ。)
<よかったポイント>
・すずは「母親が見ず知らずの女の子を助けにいって、命を落とした」ことがトラウマになっており、理解できず苦しんでいます。そのすずが、「見ず知らずの虐待を受ける竜の兄弟を助けに行く」というシーンで、ようやく母親の気持ちを理解します。
その心の動きと、成長に感動しました。
・ルカちゃんとカミシン
作中に出てくる美女るかちゃんと、破天荒男子高生カミシンくんの、淡い恋がかわいかったです。
また、すずと、幼馴染の「しのぶくん」も絶妙な距離感で幼馴染好きとしては良かったです。
<少し気になったこと>
・すずが竜を気にかけて寄り添う理由が希薄
「あなたは何を考えているの・・・?」でここまでもっていくのは無理があるような。しかし、このあたりは「美女と野獣」なのでまぁ、という感じかもしれません。
・恋愛で助けるわけではないので、メインの相手役に悩む。
「美女と野獣」でいえば、「ベル(=すず)と野獣(竜)」がカップルになるのですが、「U」の世界ではそのような関係を紡いでも、リアルでは年の差もある上、すずは幼馴染の男の子を意識しているのでちょっと視聴者として気持ちに惑う。
(しかし、作中で「アメリカに留学したころ、気になった男の子に歌を歌って笑顔にした、その子は中2だからどうもしないけど、空港で泣いてくれてうれしかった」というエピソードを大人の女性がすずに聴かせるシーンがあるので、竜との関係はあくまで「ほっておけないが、恋愛にはならない」という関係なのが推測できる)
・「U」への感覚共有時の肉体はどうなるのか
Uへダイブするデバイスは、ブルートゥースイヤホンみたいな機械です。装着すると、視覚情報や感覚がUの世界にリンクしていきます。
最初にUの世界に入ったときは、すずはベッドで寝ていました。そのあたりから、SAOのようにダイブ中は肉体はベッドに安置する形なのかな、と思いましたが、
走って目的地に向かいながらUにダイブ⇒Uで動きながら、次のリアルのシーンでは目的地についている。
Uの画面を大きいモニターでみながら、リアルで会話しつつアバターも操っている
というシーンがあり、Uに感覚はリンクされつつも、現実もそれはそれで動ける様子です。
資格情報や各種感覚がUにリンクされてしまったら、現実はどうやって認識して動かしているのか、見ていて疑問に思ってしまいました。
単にゲームのようにスマホで自分のアバターを動かしていじれる、とかならわかるんですが、「U」の世界に没入しているので・・・。(その点、オズはリアルと切り離した端末内の動きでしたね)
それにしても、曲が本当にいいです。
特に予告編で使われているキャッチーな曲「U」と、「導き」が好きです。
「歌よ」では、自分以外の周りが幸せに見えるという、人なら感じたことのある嫌な気持ちが歌詞にあり、ホロリとしました。
それらが収録されたオリジナルサウンドトラックを、アップルミュージックで聞いています。。。
それにしても、カズマ(サマーウォーズ)、雨くん(おおかみこどもの雨と雪)に続いて、竜は黒髪の中学生の陰のある少年なので、「監督ほんと、こういう少年好きやな」という感想です。
