161119演劇女子部『ネガポジポジ』Aチーム千穐楽(加賀楓のりさとAのチームのみんなに寄せて) | カバオの現場探訪記

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ハロプロのこと、現場のこと

加賀楓さま、そしてAチーム出演者のみなさま

 

 千穐楽、そしてこれまでのAチーム8公演お疲れさまでした。おかげさまで、どうにかすべての公演を最初から最後まで観ることができました。

 

 最後の3公演くらい、最初は声がかすれ気味なのにどんどん声量を増していくかえでぃーを観ながら、ああ、この子はこの舞台のために命を削っている、とすら思いました。応援してきた身として、自分の身や魂を一緒に削られているような気持ちになりました。それくらい、熱のこもった演技で、りさを演じきっている姿に胸が震えました。

 初日を観た後、この舞台は加賀楓にとって

「大きな転機になるかもしれない。すべての日程を終えたとき、加賀楓はどんなことを思うだろう。成長という言葉では片付けられない。脱皮とか、もっと言えば変身。加賀楓にとってそんな舞台になる予感がする」

ということを書きました。

 

 千穐楽を終えてみて、初日に感じたことは正しかったなと思いました。ほぼゼロから積み上げた正解のない舞台で、加賀楓は見事なりさという人を立ち上がらせてみせました。後半にCを観に行けずAばかり観ている時は、加賀楓は舞台が終わってりさから戻ってこられるんだろうかと感じてしまうくらい、2人が溶け合ってひとつの人格を作り上げていました。

 

 かえでぃーにとっても初めてに近い感覚でしょうし、たくさんたくさん苦労したことでしょう。「必死で」と、最後のあいさつでも言っていましたね。それでも、何一つごまかすことなく真正面からこの舞台に挑んだあなたは、本当に美しかった。困惑した顔、怒った顔、泣いた顔、どんな顔でもりさの空気感をまとっていて「俺の推しはこんなにすごいんだぞ!」って叫びたくなりました(もちろん叫びませんけど)。

 

きっと不器用なかえでぃーは、同じ役をやった高瀬くるみちゃんや小片リサちゃんと比べても、稽古が進んでいくのは遅かったんじゃないかなと思います。でも、本番に間に合うならそのペースは人それぞれでいいんです。かえでぃーが見せてくれたりさは、間違いなくほかの2人と違う、加賀楓だけのりさでした。

 

 8公演、毎回のようにラストでは涙を流し、時には鼻をすすりながらの演技でした。その涙に、毎回心打たれていました。相方が、安心して山岸理子ちゃんだったことも良かったなと思います。全力でぶつかっても、背中を預けても、常に2人の間には信頼関係が見えました。りこりこもかえでぃーだからこそ、無茶ぶりができたって側面があると思います。

 

 息もぴったりと合っていました。第2幕で由美がお風呂から上がってきてステージ上にはりさと二人きり。その状態で多分3チームの劇中最長の沈黙が続くんですが、そこに漂う緊迫感といったら。2人の練り上げた演技力と、セリフを介さなくてもお互いの呼吸を読み取れる関係が、あの「間」をつくったなとつくづく思います。

 

 そこから大声を出し合うやり取りで、お互いを「あんた」って呼ぶ瞬間があるんですね。「りさちゃん」「由美ちゃん」で通すチームもあるんですが、Aの由美とりさは2人ともとても不器用なキャラクターで、感情を爆発させるといくとこまでいってしまう感じがありました。でも、それが良かった。 ポジポジに振り切ったりさの「私と仲良くなりに来たんだよね」は狂ったような雰囲気があったし、心では助けてほしいと言いつつりさの強い言葉をいなすことができず、売り言葉に買い言葉でどんどんヒートアップする由美の表情にもすごみがありました。

 

 「自信ないのに自信持つふりするのが一番かっこ悪い」。千穐楽まで観てやっと気づいたんですが、これってAでは由美がかつての自分に向けて言っているのかなと。由美の第1幕はお嬢様である自分を演じる虚勢で、第2幕ではりさが「何しに来たんだよ」って虚勢を張っている。なんか、演じている2人の正確なども込みでストンと腹に落ちました。

 

 身長差があることと衣装のデザインも相まって、第2幕でお互いの服を着るところ、お互い似合ってないんですよね。かえでぃーには上のニットが小さくて何度もずり落ちていたり、りこりこは丈の長すぎるスカートを引きずりそうになっていたり、あそこは演じにくかったかもしれないけど、ズレた感じ、チグハグな感じが出ていてよかった。

 

 Aって、お互い「ごめんね」を言って許し合うところで終わるんですよね。第3幕では「好きだよ」に注目しがちですが、Aの最重要セリフは「ごめんね」だと思う。2人の友情はこれから始まるんだな、というのが伝わってくる。

 

 千穐楽の最後に由美がもう一度逃げたのは、由美とりさの関係もあるし、山岸理子の「この舞台が終わってほしくない」って気持ちがああさせたのかなって感じます。加賀楓とのパートナーとして、相方として付き合いの長さが2人の間にいい状況をつくりあげたなと思いました。

 

 堀江葵月ちゃんも、どんどんアドリブが自由になっていきましたね。かえでぃーが、ほりえってぃいと目を合わせただけで笑いそうになっているの、きっと普段からこういう関係なんだなとほっこりしました。コケるところのキレや、ラジカセ大音量で流しながら「ネガポジポジ」って言ってみたり、メインと関係ないところでエアロビクスやっていたり、金八先生のモノマネとか、芸が細かいですね。ワニワニゲーム、最後に進化しました。ダンスが上手いと、変な動きにもキレがある。Aの笑いの多くの部分を担っていました。


 金津美月ちゃんは札束を切れてばらまくシーンが派手だったり、声変わりのシーンできっちり枯れた声を出し続けていたり、こだわりも感じました。途中でインフルエンザになってお休みがあったけど、それを気遣ってみづきち復帰公演の川上のシーンで「元気」って言葉でさり気なくエールを送ったかえでぃーとほりえってぃ、そして梨木智香さんの優しさ、さすがでした。いきなりの男役で大変だったろうけど、かえでぃーを慕ってくれる後輩ですし、これからも仲良くいろんな経験をしてほしいなって思います。

 

 清野桃々姫ちゃん、直前のアンジュルムの舞台でも観たけど、本当に器用な子だなと思ってました。でも、千穐楽の「ああ、話したいことはたくさんあるのに、胸がいっぱいで何を話していいかまとまらない」って雰囲気のあいさつを聞いて、ああ、この子も苦労したんだなと気づきました。かえでぃーと並んだときの身長差は自分の中で萌え要素です。歳が離れていても姉妹だから遠慮がないってところをうまく表現していたなあ。ボイパも良かった。こたつで教えてるところ、2人とも可愛かった。3チームの中で一番マセガキで、一番考え方が大人なるみ、好きでした。

 

 須藤茉麻のパワーには圧倒されました。なんというか、92年生まれなのにこんなにバブルが似合うって、さすがでした。かえでぃーとはアニメヲタクって共通項もあるし、また共演する機会もあるでしょうから、いろんなことを教えてあげてほしいなと思います。茉麻がハイキューの話を書いてくれたおかげで、かえでぃーの誕生日プレゼントが1つ決まりました(笑)

 

 梨木智香さんの演技の引き出しというか、もはや演技ではなく完全に和子になっているところはさすがでした。かえでぃーは梨木さんのことがすごく好きなんでしょうね。第2幕のフランス語っぽいところ、かえでぃーがガン見してましたよ。毎公演、ちょっとずつ違う梨木さんの演技も非常に印象に残ってます。あと2公演、渡米前の最後ですが心置きなく好きにやってくださってありがとうございます。帰国したらまたハローの舞台に出てほしいなって思います。

 

閑話休題

 

 兎にも角にも、今までの演劇女子部にないタイプの舞台で、今回が初舞台というメンバーもいる中、手探り状態から稽古を積んで、本番を重ねるごとにどんどん良くなっていたのが楽しくて毎回観てました。


 かえでぃーの演技、とても細かいところまでできあがっていました。アイスのシーン、由美の手元を見に行ってこたつに戻り、一旦間を置いて真顔から笑顔をつくって「いいよ」と言うところ、ああいう「間」を随所に置いて、細かい心中と実際のセリフにはギャップがあるんだよ、ってことを観客に伝えていく。

 

 他にも「天ぷら食べたい」の前に姉妹のセリフにうんざりするところ、「居間はだめ」の前フリで舞にポケベルと地図持っていかれた後も手だけその形で残すところとか、挙げていくとキリがないんですが、とにかく2時間ほぼ出突っ張りで気を抜くところなく、ずっと演じ続けていました。ああ、すごいな、そんな感情で観ていました。

 

 個人的に「就職は、就職は決めてやる、来いやー!」「せんべい屋の娘が芸術なんて語ってんじゃねえ!」がお気に入りでした。自分の観たことがない加賀楓の暴走モード。でも、怒り顔、泣き顔、困惑した顔、全部美しかった。巧拙を超えて絵になる子だなと、あらためて思いました。

 

 でも、一番好きなセリフは涙声で言う「もう、いいよ」かな。上にも書いたように、あそこに2時間の舞台の集大成がある。ああ、衣装は引きこもり感あるパジャマ姿が好きでした。オタクだって前情報が入っているせいもあるんでしょうが、見事な(?)引きこもり姿でした。お渡し会で間近で見てしまった。

 

 とりとめもなく書いてきましたが、ひとまずここまでにします。ともかく、素晴らしい舞台をありがとうございました。

 

 今日は大千穐楽。なにせ今日を含めると18公演に及ぶ自分の『ネガポジポジ』も終わりです。さて、荷物をまとめていざ池袋。