根拠発掘屋
「アイスで降りた。」
子どもの頃。
近所の子どもたちと、
小学校の校庭で、
野球をしていました。
当時、
野球は、
子どもたちにとって、
特別な遊びでした。
でも、
その日は、
楽しくありませんでした。
何があったのか、
細かくは覚えていません。
年上の子たちに、
からかわれたのか。
いじめられたのか。
そこは、
よく覚えていません。
ただ、
悔しかったことだけは、
覚えています。
⸻
気づくと、
ぼくは、
バックネットによじ登っていました。
そして、
上から叫びました。
「自殺するー!」
大人たちも集まってきました。
ちょっとした騒ぎになりました。
みんなが、
ぼくを降ろそうとしました。
でも、
ぼくは降りませんでした。
しばらくして、
誰かが言いました。
「アイス食べよう。」
ぼくは、
降りました。
子どもでした。
アイスには、
勝てませんでした。
⸻
根拠発掘。
昔は、
ただの恥ずかしい思い出だと、
思っていました。
今振り返ると、
分からないことが、
いくつもあります。
なぜ、
バックネットに登ったのか。
なぜ、
「自殺する。」
という言葉を使ったのか。
当時の【ぼく】は、
その言葉の意味を、
どこまで理解していたのか。
本当に死のうとしていたのか。
記憶をたどる限り、
そうだったとは思いません。
覚えているのは、
悔しかったことです。
そして、
自分から降りられなくなっていたこと。
最後は、
「アイス食べよう。」
その一言で、
降りたことです。
なぜ、
あんな行動をしたのか。
今でも、
分かりません。
分かっているのは、
バックネットに登り、
大騒ぎをして、
最後はアイスで降りた。
それだけです。
続く。
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